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第6章 ダンジョンから始まる世界交流
第259話 マグマ浴び
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「はて、どうしてこうなったのでございましょうか?」
「あははははは! たまにはこういうのも悪くないの!」
修斗の命令でフェニックスの調査に向かった残念エルフのルルナラとサキュバスのラライラだが、船の上で男共に囲まれていた。
まあ2人の美貌のせいでもあるが、主な原因は服装にあった。
修斗以外は意識していない2人だが、ルルナラは背中も肩も丸出しで胸元が強調されたワンピース、ラライラはミニスカートに上はビキニと言った格好だ。
幸い、というか当然ながら手を出そうとする男は叩きのめされ……こんな風に呼ばれている。
「姉さん! 酒の準備ができやしたぜ!」
「あねさん! 盃が空いてますね、お注ぎします!」
「野郎ども! 姉貴たちに芸をお見せするんだ!」
などなど、すっかり祭り上げられてしまっていた。
船旅は3日だったが、陸に着いてからも『2人が戻ってくるまで出港しない!』と言い出す始末。
流石に何日かかるか分からないため、用事が終わったら出港しろと命令したようだ。
そもそも大型船が長期間停留できる港でもない。
さて、着いた港は大きくはなく、どちらかというと漁村と言った方がいいだろうか。
貿易や商業が盛んでも無く、これといった特産品もないため、寂れてはいないが物寂しい。
こんな場所にフェニックスが居るのだろうか。
「ねぇねぇルルナラ、鳥さんはどこにいるの?」
「情報によれば火山に住んでいるようでございますね。なので住民に聞き込みをして、火山の場所を聞いてみましょう」
住民に聞き込みをするのだが、どうやらこの近辺には火山は無いようで、一番近い火山はどこかと聞けば、全員が同じ方角を指差す。
遠く遠くに見える山、晴れていて空気が澄んでいるから見えているが、天気が悪ければ見えないであろう距離だ。
直線距離にして約300km。
「え~? どうやってあんな場所まで行くの?」
「そうですね……ラライラさん? あなたは飛ぶことが可能でございましょう?」
「うん! 空を飛んでると気持ちがいいの!」
「ではよろしくお願いしますね」
そういってラライラの後ろにまわり、腰にしがみ付くルルナラ。
「えー! 私が運ぶの!?」
「私は飛ぶことはできませんので」
ブーブー言いながらも隠していた翼が背中から現れたが、以前よりも随分と大きな翼が現れた。
片翼だけでも5メートル以上あるだろうか。
ルルナラを腰にしがみ付かせたまま、大きく羽ばたくとふわりと宙に浮く。
「じゃあさっさと行くから、しっかり掴まってるの!」
あっという間に小さくなり、少しして爆発音が聞こえた。
どうやら音速を超えたらしい。
ものの10分ほどで到着し、火山の真上で火口を見ていた。
「あの中なの?」
「火山とは言われましたが、まさか火口の中にいるという事は無いのではないでしょうか」
「でも何か動いてるの」
「え?」
火口をよく見てみると、マグマの中で何かが動いているのが分かる。
マグマが飛び散り、泡がポコポコと出ている。
その中心では何かが水浴びならぬ、マグマ浴びをしていた。
「ラライラさん、マグマで水浴びをした事がございますか?」
「あるはずがないの! あんなの相手に出来ないの!」
急いで火口から離れようとするが、どうやら何かは逃がす気はないようだ。
身の危険を感じて全速力で飛ぶものの、何かはそれを上回る速度で飛び接近してくる。
「真っ赤に燃えるような鳥……あれがフェニックスでございますか!?」
「知らないの! そんな事より今は逃げるの!!」
全力で飛んでいるがフェニックスの方が速度がはやく、じわりじわりと距離を詰めてくる。
距離が100メートルを切ったあたりだろうか、これ以上逃げても無駄だと悟ったのか、ルルナラが手を離す。
「シュウト様にお伝えください、私はここで囮になりますので」
「ええ!? ちょ、ちょっと待つの!」
そう叫んだ時にははるか後方に落下しており、フェニックスはルルナラに向けて急降下していく。
「んもう! バカなの! バカバカ、大バカなの!!」
だがルルナラ自身もただの囮になるつもりはないようで、魔法戦が開始され、水の魔法や土の魔法で攻撃し、風の魔法を使って落下速度を調節・移動している。
「少しだけ我慢するの! すぐにハニーを連れてくるから待ってるの!!」
荷物の無くなった体は更に速度を上げ、ザナドゥ王国へと向けて飛んで行く。
「あははははは! たまにはこういうのも悪くないの!」
修斗の命令でフェニックスの調査に向かった残念エルフのルルナラとサキュバスのラライラだが、船の上で男共に囲まれていた。
まあ2人の美貌のせいでもあるが、主な原因は服装にあった。
修斗以外は意識していない2人だが、ルルナラは背中も肩も丸出しで胸元が強調されたワンピース、ラライラはミニスカートに上はビキニと言った格好だ。
幸い、というか当然ながら手を出そうとする男は叩きのめされ……こんな風に呼ばれている。
「姉さん! 酒の準備ができやしたぜ!」
「あねさん! 盃が空いてますね、お注ぎします!」
「野郎ども! 姉貴たちに芸をお見せするんだ!」
などなど、すっかり祭り上げられてしまっていた。
船旅は3日だったが、陸に着いてからも『2人が戻ってくるまで出港しない!』と言い出す始末。
流石に何日かかるか分からないため、用事が終わったら出港しろと命令したようだ。
そもそも大型船が長期間停留できる港でもない。
さて、着いた港は大きくはなく、どちらかというと漁村と言った方がいいだろうか。
貿易や商業が盛んでも無く、これといった特産品もないため、寂れてはいないが物寂しい。
こんな場所にフェニックスが居るのだろうか。
「ねぇねぇルルナラ、鳥さんはどこにいるの?」
「情報によれば火山に住んでいるようでございますね。なので住民に聞き込みをして、火山の場所を聞いてみましょう」
住民に聞き込みをするのだが、どうやらこの近辺には火山は無いようで、一番近い火山はどこかと聞けば、全員が同じ方角を指差す。
遠く遠くに見える山、晴れていて空気が澄んでいるから見えているが、天気が悪ければ見えないであろう距離だ。
直線距離にして約300km。
「え~? どうやってあんな場所まで行くの?」
「そうですね……ラライラさん? あなたは飛ぶことが可能でございましょう?」
「うん! 空を飛んでると気持ちがいいの!」
「ではよろしくお願いしますね」
そういってラライラの後ろにまわり、腰にしがみ付くルルナラ。
「えー! 私が運ぶの!?」
「私は飛ぶことはできませんので」
ブーブー言いながらも隠していた翼が背中から現れたが、以前よりも随分と大きな翼が現れた。
片翼だけでも5メートル以上あるだろうか。
ルルナラを腰にしがみ付かせたまま、大きく羽ばたくとふわりと宙に浮く。
「じゃあさっさと行くから、しっかり掴まってるの!」
あっという間に小さくなり、少しして爆発音が聞こえた。
どうやら音速を超えたらしい。
ものの10分ほどで到着し、火山の真上で火口を見ていた。
「あの中なの?」
「火山とは言われましたが、まさか火口の中にいるという事は無いのではないでしょうか」
「でも何か動いてるの」
「え?」
火口をよく見てみると、マグマの中で何かが動いているのが分かる。
マグマが飛び散り、泡がポコポコと出ている。
その中心では何かが水浴びならぬ、マグマ浴びをしていた。
「ラライラさん、マグマで水浴びをした事がございますか?」
「あるはずがないの! あんなの相手に出来ないの!」
急いで火口から離れようとするが、どうやら何かは逃がす気はないようだ。
身の危険を感じて全速力で飛ぶものの、何かはそれを上回る速度で飛び接近してくる。
「真っ赤に燃えるような鳥……あれがフェニックスでございますか!?」
「知らないの! そんな事より今は逃げるの!!」
全力で飛んでいるがフェニックスの方が速度がはやく、じわりじわりと距離を詰めてくる。
距離が100メートルを切ったあたりだろうか、これ以上逃げても無駄だと悟ったのか、ルルナラが手を離す。
「シュウト様にお伝えください、私はここで囮になりますので」
「ええ!? ちょ、ちょっと待つの!」
そう叫んだ時にははるか後方に落下しており、フェニックスはルルナラに向けて急降下していく。
「んもう! バカなの! バカバカ、大バカなの!!」
だがルルナラ自身もただの囮になるつもりはないようで、魔法戦が開始され、水の魔法や土の魔法で攻撃し、風の魔法を使って落下速度を調節・移動している。
「少しだけ我慢するの! すぐにハニーを連れてくるから待ってるの!!」
荷物の無くなった体は更に速度を上げ、ザナドゥ王国へと向けて飛んで行く。
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