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第6章 ダンジョンから始まる世界交流
第279話 小柄だけど大きいんです
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その頃、魔の森に道を作っていたヴァージニアとアモーリが難関に差し掛かっていた。
そろそろ魔の森を半分近くまで道を通したのだが、この先はとある魔物の縄張りになっているのだ。
「……ヴァージニアさん、失礼ながら、本当にアレを説得されるのですか?」
アモーリは深い森の中で上を見上げ、立ちすくんでいた。
肌の色は少し濃く、額に赤い指でつけた印がある
頭に白いターバンを巻き、衣装もゆったりとした布を肩から垂らし、体に巻き付けている。
目は鋭く肌の色は濃いめ、女性も同じような服装でスカートをはいているが、少しだけ布が少なくヘソが見えている。
大きな胸に押し付けるように腕をあて、震える手を押さえつけている。
「ん……何とかなる」
ヴァージニアは目の前にそびえ立つように存在する魔物を見上げている。
亀のようにも見えるが甲羅はなく象に似た背中、足は4本で腕が2本、腕で大木を雑草のようにちぎって歯のない口でゆっくりと食べている。
全高は20メートル、全長25メートルほどもある巨大な魔物、マロケリスだ。
「コレが移動するまで待つ、という事は出来ないのでしょうか?」
「無理……数日間はここで食事して……10日ほど寝る」
「予定が遅れてしまいますね」
とはいえアモーリにはどうしたらいいのか想像もつかない。
どうやら人間に敵意は無いようだが、逆に人間の言う事を聞くとも思えない。
そもそも意思の疎通は出来るのだろうか。
「待ってて」
ヴァージニアがマロケリスの前に進むと、アモーリは慌てて手を掴んで止めるが、一瞬だけ止まって優しく腕を振りほどくと、そのまま前進する。
マロケリスが腕を伸ばし、ヴァージニアのすぐそばの木を引き抜くとその木に飛び乗る。
マロケリスは気にせず口に運ぶのだが、食べる直前に頭の上に移動した。
アモーリは両手を口に当てて慌てているのだが、当の本人はいたって冷静のようだ。
そして頭の上で何かを喋っているようだが……内容までは聞き取れない。
だがマロケリスは地響きをたててゆっくりと前進を開始する。
どうやら通じ合えたようだ。
大木をなぎ倒しながら進むので、そのあたりの伐採は少し楽になるだろうか。
道を作る予定の場所から完全にいなくなると、マロケリスはまた食事を再開する。
そしてヴァージニアが頭から飛び降りて戻ってきた。
「作業……再開」
あっけにとられるアモーリをよそに、職人たちは慣れた光景だといわんばかりに作業を再開させた。
あの小さな体に、一体どれだけの可能性を秘めているのだるか。
腰まである真っ直ぐな薄い金髪、身長は低く140センチほど、身長とは不釣り合いなほど大きな胸、幼い顔立ちに見えるが言葉数が少なく、とても落ち着いているため大人びて見える。
服装は白い半そでシャツと膝上の茶色い革のズボン。
ズボンにはポケットや小物を下げる輪が複数あり、肩から斜め掛けしている帯にいくつもの道具が付けられている。
帯のせいで胸がより強調されているため、男ならず女までも思わず目が行ってしまう。
日が暮れそうになり作業は終了。
料理人たちが夕食の準備をしていたのだが、訪問者が現れたようだ。
「ヴァージニア様、エルフの使者がいらっしゃいました」
大きめの三角テントのそばで、木を切っただけのイスに座りアモーリや隊長格と食事をしていると、伝令兵が現れた。
どうやら近くにあるエルフの村から来たらしいが、何やらソワソワしている。
「ん……通して」
「は!」
敬礼をして小走りに去っていくが、すでに何回かエルフ・ハイエルフの使者が来ているため、特に慌てる様子もない。
「以前はハイエルフ様がいらっしゃいましたが、今回は普通のエルフでしょうか?」
「ん……近くにあるのは……エルフの村だから」
食事の手はとめないので、どうやら食事をしたままで会うようだ。
少しだけ待つと伝令兵がエルフを連れて現れた。
どうやら長老の男エルフと、女エルフが3人。だが女エルフは随分と薄着に見える。
「初めましてヴァージニア様。私は小さな湖畔の村、長老のマールと申します」
長老と言っても青年にしか見えないが、恐らくは数百年生きているだろう。
軽く会釈をして、優しく微笑んでいる。
「ヴァージニア……よろしく」
「わ、私はアモーリと申します。よろしくお願いします」
アモーリはまだ慣れないのか、少し緊張しているようだ。
「シュウト様の御配慮により、我が村を避けて頂けたこと、まことに感謝いたします」
「気にしない……当たり前の事」
魔の森には複数のエルフ・ハイエルフの村が存在し、今回の道を作る際にも最短距離で作るとエルフの村のすぐそばを通るか、村を破壊しなければいけなかった。
なので少し大回りにする事で避けた様だ。
「ありがとうございます。つきましては食料を提供させていただきたいと存じます」
「たすかる……食料は……あっても困らないから」
「それと数日間ではありますが、娘達を連れてまいりましたので、ご自由にお使いいただいて結構です」
ここには女エルフ3人しかいないが、どうやら10人以上の女エルフを連れてきたようで、別の場所で待機しているようだ。
そして例外なく……薄着だ。
しかしどうやらこの女エルフ達はヘッポコではなく、普通のようだ。
ルルナラや学園長のように外に出ようとするエルフは好奇心が旺盛すぎるが、森に残るエルフはどちらかというと物静からしい。
とはいえ修斗のせいで性行為に積極的になってしまったが。
「ん……じゃあしばらく借りるね……ご主人様にも伝えておく」
「はい、よろしくお願いします」
エルフ・ハイエルフは古代龍を崇拝しており、その古代龍を使役する修斗はさらに上の存在なのだ。
だから媚を売るというよりも、お供え物を出したという感じだろう。
簡単だが挨拶が終わると長老は村へと帰り、3人の女エルフは伝令兵と共にいそいそとどこかへと行ってしまった。
そしてしばらくすると、あちこちのテントから嬌声が聞えて来るのだった。
「あのエルフ達は、本当はシュウト大王の元へ行きたいのではありませんか?」
「そう?……会ってみたいとは……思ってるけど……森からは出たくない……みたい」
「エルフは保守的なのでしたね」
翌日はとてもスッキリした顔の兵士や職人たちが、仕事に励むのだった。
そろそろ魔の森を半分近くまで道を通したのだが、この先はとある魔物の縄張りになっているのだ。
「……ヴァージニアさん、失礼ながら、本当にアレを説得されるのですか?」
アモーリは深い森の中で上を見上げ、立ちすくんでいた。
肌の色は少し濃く、額に赤い指でつけた印がある
頭に白いターバンを巻き、衣装もゆったりとした布を肩から垂らし、体に巻き付けている。
目は鋭く肌の色は濃いめ、女性も同じような服装でスカートをはいているが、少しだけ布が少なくヘソが見えている。
大きな胸に押し付けるように腕をあて、震える手を押さえつけている。
「ん……何とかなる」
ヴァージニアは目の前にそびえ立つように存在する魔物を見上げている。
亀のようにも見えるが甲羅はなく象に似た背中、足は4本で腕が2本、腕で大木を雑草のようにちぎって歯のない口でゆっくりと食べている。
全高は20メートル、全長25メートルほどもある巨大な魔物、マロケリスだ。
「コレが移動するまで待つ、という事は出来ないのでしょうか?」
「無理……数日間はここで食事して……10日ほど寝る」
「予定が遅れてしまいますね」
とはいえアモーリにはどうしたらいいのか想像もつかない。
どうやら人間に敵意は無いようだが、逆に人間の言う事を聞くとも思えない。
そもそも意思の疎通は出来るのだろうか。
「待ってて」
ヴァージニアがマロケリスの前に進むと、アモーリは慌てて手を掴んで止めるが、一瞬だけ止まって優しく腕を振りほどくと、そのまま前進する。
マロケリスが腕を伸ばし、ヴァージニアのすぐそばの木を引き抜くとその木に飛び乗る。
マロケリスは気にせず口に運ぶのだが、食べる直前に頭の上に移動した。
アモーリは両手を口に当てて慌てているのだが、当の本人はいたって冷静のようだ。
そして頭の上で何かを喋っているようだが……内容までは聞き取れない。
だがマロケリスは地響きをたててゆっくりと前進を開始する。
どうやら通じ合えたようだ。
大木をなぎ倒しながら進むので、そのあたりの伐採は少し楽になるだろうか。
道を作る予定の場所から完全にいなくなると、マロケリスはまた食事を再開する。
そしてヴァージニアが頭から飛び降りて戻ってきた。
「作業……再開」
あっけにとられるアモーリをよそに、職人たちは慣れた光景だといわんばかりに作業を再開させた。
あの小さな体に、一体どれだけの可能性を秘めているのだるか。
腰まである真っ直ぐな薄い金髪、身長は低く140センチほど、身長とは不釣り合いなほど大きな胸、幼い顔立ちに見えるが言葉数が少なく、とても落ち着いているため大人びて見える。
服装は白い半そでシャツと膝上の茶色い革のズボン。
ズボンにはポケットや小物を下げる輪が複数あり、肩から斜め掛けしている帯にいくつもの道具が付けられている。
帯のせいで胸がより強調されているため、男ならず女までも思わず目が行ってしまう。
日が暮れそうになり作業は終了。
料理人たちが夕食の準備をしていたのだが、訪問者が現れたようだ。
「ヴァージニア様、エルフの使者がいらっしゃいました」
大きめの三角テントのそばで、木を切っただけのイスに座りアモーリや隊長格と食事をしていると、伝令兵が現れた。
どうやら近くにあるエルフの村から来たらしいが、何やらソワソワしている。
「ん……通して」
「は!」
敬礼をして小走りに去っていくが、すでに何回かエルフ・ハイエルフの使者が来ているため、特に慌てる様子もない。
「以前はハイエルフ様がいらっしゃいましたが、今回は普通のエルフでしょうか?」
「ん……近くにあるのは……エルフの村だから」
食事の手はとめないので、どうやら食事をしたままで会うようだ。
少しだけ待つと伝令兵がエルフを連れて現れた。
どうやら長老の男エルフと、女エルフが3人。だが女エルフは随分と薄着に見える。
「初めましてヴァージニア様。私は小さな湖畔の村、長老のマールと申します」
長老と言っても青年にしか見えないが、恐らくは数百年生きているだろう。
軽く会釈をして、優しく微笑んでいる。
「ヴァージニア……よろしく」
「わ、私はアモーリと申します。よろしくお願いします」
アモーリはまだ慣れないのか、少し緊張しているようだ。
「シュウト様の御配慮により、我が村を避けて頂けたこと、まことに感謝いたします」
「気にしない……当たり前の事」
魔の森には複数のエルフ・ハイエルフの村が存在し、今回の道を作る際にも最短距離で作るとエルフの村のすぐそばを通るか、村を破壊しなければいけなかった。
なので少し大回りにする事で避けた様だ。
「ありがとうございます。つきましては食料を提供させていただきたいと存じます」
「たすかる……食料は……あっても困らないから」
「それと数日間ではありますが、娘達を連れてまいりましたので、ご自由にお使いいただいて結構です」
ここには女エルフ3人しかいないが、どうやら10人以上の女エルフを連れてきたようで、別の場所で待機しているようだ。
そして例外なく……薄着だ。
しかしどうやらこの女エルフ達はヘッポコではなく、普通のようだ。
ルルナラや学園長のように外に出ようとするエルフは好奇心が旺盛すぎるが、森に残るエルフはどちらかというと物静からしい。
とはいえ修斗のせいで性行為に積極的になってしまったが。
「ん……じゃあしばらく借りるね……ご主人様にも伝えておく」
「はい、よろしくお願いします」
エルフ・ハイエルフは古代龍を崇拝しており、その古代龍を使役する修斗はさらに上の存在なのだ。
だから媚を売るというよりも、お供え物を出したという感じだろう。
簡単だが挨拶が終わると長老は村へと帰り、3人の女エルフは伝令兵と共にいそいそとどこかへと行ってしまった。
そしてしばらくすると、あちこちのテントから嬌声が聞えて来るのだった。
「あのエルフ達は、本当はシュウト大王の元へ行きたいのではありませんか?」
「そう?……会ってみたいとは……思ってるけど……森からは出たくない……みたい」
「エルフは保守的なのでしたね」
翌日はとてもスッキリした顔の兵士や職人たちが、仕事に励むのだった。
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