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第6章 ダンジョンから始まる世界交流
第288話 身請け金額は10億円
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ベッドで横になる修斗の腕を抱きしめ、メシューゼラは静かに寝息をたてている。
結局5回ほどしたら足腰立たなくなったようで、無理はさせまいと額にキスをして眠らせたようだ。
しかしこの女メシューゼラは気になる事を言っていた「国を売った」と。
修斗を裏切るとは思わないが、国を売るほどの何かがあったのだろうか。
「ん……シュウト様? シュウト様ですよね? よかった、夢じゃなかったんですね」
目を覚ましたメシューゼラは修斗の体に覆いかぶさり、少し筋肉質な胸に耳を当てるように顔を置く。
詳しい事情はのちのち聞けばいいだろう。
今はメシューゼラを連れてアイン・アール首長国の首都へ向かうのが目的だ。
「メシューゼラ、荷物は多いのか?」
「荷物とは何ですか?」
「お前の私物だ。俺はこのままアイン・アール首長国の首都へ向かうから、お前も付いてこい」
「荷物は着替えと化粧品程度ですが、必要な物だけ持って行きますからバッグ1つで」
「お前の部屋へ案内しろ。それと途中で買い物もしよう」
修斗の言っている意味がイマイチ理解できないでいるが、まずは自分の部屋へ案内する事にした様だ。
服を着て店の受付でメシューゼラを身請けする旨を伝えると、店長らしき男が現れて修斗をジロジロと舐めるように見回す。
「アンタがメシューゼラを身請けするのかい? どこの坊っちゃんか知らないが、こいつを身請けする意味をわかってるのか?」
「国を売ったんだって? その罪も俺が持っていく」
「は! それだけじゃない、メシューゼラはとある貴族のお気に入りでね、身請け出来ないように膨大な身請け金額が設定されているのさ」
「いくらだ?」
「1億Gさ」
その金額なら上の方の貴族でも手が出ない額だろう。
街の貴族が都合のいい時に呼び出せるように、誰にも身請けさせず、自分も身請けするつもりが無いのだ。
そう、今までなら誰も身請け出来なかった。
そして身請け額は本人も知らなかったらしく、メシューゼラは目を大きく見開いて驚いている。
「流石にそれだけの硬貨は持っていないな……これでいいか?」
ズボンのポケットに手を突っ込むと、その手にはポケットに入っていたにしては大きな宝石が握られていた。
3センチほどの大きさのダイヤモンドカットされた宝石を、店長に投げて渡す。
いぶかしげにソレをルーペで確認するのだが……小さな悲鳴があがる。
「だっ! だだだ、ダイヤモンド!? こ、これほど大きなダイヤなんて見たことがない!!」
「それなら1億Gの価値は十分にあると思うが?」
「え? あ、あれ? いいのかな……1億G以上の価値があるし、貴族からは売るなとは言われてないし……はい! メシューゼラはあなた様のものです!!」
微かに葛藤があったようだが、どうやら問題は無かったようだ。
この後店長は貴族にこっぴどく叱られるのだが、1億Gのダイヤモンドの魅力には勝てなかったのだ。
大手を振って店を出ると、メシューゼラは改めて修斗に礼を言う。
「ありがとうございますご主人様。この先は私のせいで問題が発生すると思いますが、面倒だと思ったらいつでも好きに扱ってくださって下さい。それこそ命を奪われても構いません」
身請けされた喜びはあるが、これから主人に降りかかるであろう不幸を考えると、メシューゼラはもろ手には喜べなかった。
国を売った女の罪、それは想像以上に大きいのだろう。
「1つ言っておくことがある」
「何でしょうか?」
「俺に奴隷は必要ない。ご主人様と呼ぶのは構わないが、何でも命令されるとは思うな。自分で考えて行動しろ」
「承知しております。ご主人様とお呼びしたのは、シュウト様を尊敬しているからです。尊敬し、お仕えする主だからこそ、ご主人様とお呼びしたのです」
「それならいい」
下着が見えそうなスケスケの衣装ではなく、ドレスとまではいかないが白く高そうな細かな刺繍の入った服装は、メシューゼラの清楚さを一層引き立てるとともに、気品を与えてくれる。
今のメシューゼラをみて、売春婦だと思う者はいないだろう。
これからの旅に必要そうな物を買い集め、メシューゼラの着替えも何着も買いそろえる。
いったいどれだけ金を持っているのだろう、そうメシューゼラが疑問に思うのだが、1億Gの宝石を用意出来る時点で、自分の知らない数字の金額を持っているのだろうと思い考えなくなる。
ちなみに修斗個人が持っている金額は50兆円であり、ザナドゥ王国の年間予算は10京円だ。(1兆の万倍)
高そうな馬車を買い、2人で旅を始めて直ぐ、メシューゼラは気になっていた事をたずねる。
「ご主人様、私は何番目の女でしょうか?」
御者を雇っていないので、修斗が手綱を握り、隣にメシューゼラが座っている。
その質問は当たり前で、修斗の指にはいくつかのシンプルな指輪がはめられているのだ。
「それは結婚している人数の事か? 城に囲っている女の数か?」
「……お城? ご主人様はどちらかの貴族か、大手商会の経営者なのでは?」
「俺はザナドゥ王国の国王だ。そして妻は3人居るが、お気に入りの女は……何人だろうな」
ザナドゥ王国、国が出来てから数年で大陸を支配し、その影響力は全世界に及ぶ。
そしてその国の国王はシュウト……そう、メシューゼラは初めて自分の主の素性を知ったのだ。
よりにもよってある意味伝説の、おとぎ話のように感じていた国だ。
「シュウト陛下、とお呼びした方がよろしいでしょうか?」
「呼び方は好きにしろ。俺の事をご主人様と呼ぶ者もいるからな」
それはそうでしょうね、と思いながらも口には出さず、改めて修斗の顔をまじまじと眺める。
ザナドゥ王国と言えば9人の悪夢の騎士であり、ザナドゥ王国は騎士達のお陰で繁栄したともっぱらのウワサだ。
しかし目の前にいる国王はどうだ、自身に満ち溢れ、護衛もつけず1人で他国を旅している。
女好きとのウワサだが、それだけで危険を顧みず旅など出来るだろうか。
しかしメシューゼラにはどうでもいい事だった。
目の前にいる主人は自分の恩人であり、自分の罪をかぶせてしまった人物なのだ。
何とかそれに報いるよう、主人の為に働くしかないのだから。
「ご主人様、私達はアイン・アール首長国の首都へと向かっているのですよね?」
「そうだ。疲れたか?」
「いえ、まだ数日かかりますので、ゆっくり2人で旅が出来ると思うと楽しみで」
「そうだな、お前がいるお陰で、俺もつまらない1人旅ではなくなった」
静かな会話だが、いつ聞かれるのかとずっと待ち構えているようだが、中々聞かれない事にしびれを切らしたようだ。
「何も利かないのですか? 国を売った事」
「俺はいくつもの国を蹂躙し、破壊し、従属させてきた。国を売るよりも酷い事をやっているが……しかし少しは興味がある」
「では私の独り言にお付き合いくださいませ。あれは3年前の事です」
3年前、メシューゼラはアイン・アール首長国の田舎に住んでいた。
そこで平民として暮らしていたのだが、ある日、家に他国の貴族の使いが現れたのだ。
なんて事は無い、美しい娘だから側室に迎えようというのだ。
しかしまだ若いメシューゼラは愛する人がいるからと断り、その場は貴族の使いは帰っていった。
だが数日後、メシューゼラと将来を約束した男が反逆者として捕らえられてしまう。
結局5回ほどしたら足腰立たなくなったようで、無理はさせまいと額にキスをして眠らせたようだ。
しかしこの女メシューゼラは気になる事を言っていた「国を売った」と。
修斗を裏切るとは思わないが、国を売るほどの何かがあったのだろうか。
「ん……シュウト様? シュウト様ですよね? よかった、夢じゃなかったんですね」
目を覚ましたメシューゼラは修斗の体に覆いかぶさり、少し筋肉質な胸に耳を当てるように顔を置く。
詳しい事情はのちのち聞けばいいだろう。
今はメシューゼラを連れてアイン・アール首長国の首都へ向かうのが目的だ。
「メシューゼラ、荷物は多いのか?」
「荷物とは何ですか?」
「お前の私物だ。俺はこのままアイン・アール首長国の首都へ向かうから、お前も付いてこい」
「荷物は着替えと化粧品程度ですが、必要な物だけ持って行きますからバッグ1つで」
「お前の部屋へ案内しろ。それと途中で買い物もしよう」
修斗の言っている意味がイマイチ理解できないでいるが、まずは自分の部屋へ案内する事にした様だ。
服を着て店の受付でメシューゼラを身請けする旨を伝えると、店長らしき男が現れて修斗をジロジロと舐めるように見回す。
「アンタがメシューゼラを身請けするのかい? どこの坊っちゃんか知らないが、こいつを身請けする意味をわかってるのか?」
「国を売ったんだって? その罪も俺が持っていく」
「は! それだけじゃない、メシューゼラはとある貴族のお気に入りでね、身請け出来ないように膨大な身請け金額が設定されているのさ」
「いくらだ?」
「1億Gさ」
その金額なら上の方の貴族でも手が出ない額だろう。
街の貴族が都合のいい時に呼び出せるように、誰にも身請けさせず、自分も身請けするつもりが無いのだ。
そう、今までなら誰も身請け出来なかった。
そして身請け額は本人も知らなかったらしく、メシューゼラは目を大きく見開いて驚いている。
「流石にそれだけの硬貨は持っていないな……これでいいか?」
ズボンのポケットに手を突っ込むと、その手にはポケットに入っていたにしては大きな宝石が握られていた。
3センチほどの大きさのダイヤモンドカットされた宝石を、店長に投げて渡す。
いぶかしげにソレをルーペで確認するのだが……小さな悲鳴があがる。
「だっ! だだだ、ダイヤモンド!? こ、これほど大きなダイヤなんて見たことがない!!」
「それなら1億Gの価値は十分にあると思うが?」
「え? あ、あれ? いいのかな……1億G以上の価値があるし、貴族からは売るなとは言われてないし……はい! メシューゼラはあなた様のものです!!」
微かに葛藤があったようだが、どうやら問題は無かったようだ。
この後店長は貴族にこっぴどく叱られるのだが、1億Gのダイヤモンドの魅力には勝てなかったのだ。
大手を振って店を出ると、メシューゼラは改めて修斗に礼を言う。
「ありがとうございますご主人様。この先は私のせいで問題が発生すると思いますが、面倒だと思ったらいつでも好きに扱ってくださって下さい。それこそ命を奪われても構いません」
身請けされた喜びはあるが、これから主人に降りかかるであろう不幸を考えると、メシューゼラはもろ手には喜べなかった。
国を売った女の罪、それは想像以上に大きいのだろう。
「1つ言っておくことがある」
「何でしょうか?」
「俺に奴隷は必要ない。ご主人様と呼ぶのは構わないが、何でも命令されるとは思うな。自分で考えて行動しろ」
「承知しております。ご主人様とお呼びしたのは、シュウト様を尊敬しているからです。尊敬し、お仕えする主だからこそ、ご主人様とお呼びしたのです」
「それならいい」
下着が見えそうなスケスケの衣装ではなく、ドレスとまではいかないが白く高そうな細かな刺繍の入った服装は、メシューゼラの清楚さを一層引き立てるとともに、気品を与えてくれる。
今のメシューゼラをみて、売春婦だと思う者はいないだろう。
これからの旅に必要そうな物を買い集め、メシューゼラの着替えも何着も買いそろえる。
いったいどれだけ金を持っているのだろう、そうメシューゼラが疑問に思うのだが、1億Gの宝石を用意出来る時点で、自分の知らない数字の金額を持っているのだろうと思い考えなくなる。
ちなみに修斗個人が持っている金額は50兆円であり、ザナドゥ王国の年間予算は10京円だ。(1兆の万倍)
高そうな馬車を買い、2人で旅を始めて直ぐ、メシューゼラは気になっていた事をたずねる。
「ご主人様、私は何番目の女でしょうか?」
御者を雇っていないので、修斗が手綱を握り、隣にメシューゼラが座っている。
その質問は当たり前で、修斗の指にはいくつかのシンプルな指輪がはめられているのだ。
「それは結婚している人数の事か? 城に囲っている女の数か?」
「……お城? ご主人様はどちらかの貴族か、大手商会の経営者なのでは?」
「俺はザナドゥ王国の国王だ。そして妻は3人居るが、お気に入りの女は……何人だろうな」
ザナドゥ王国、国が出来てから数年で大陸を支配し、その影響力は全世界に及ぶ。
そしてその国の国王はシュウト……そう、メシューゼラは初めて自分の主の素性を知ったのだ。
よりにもよってある意味伝説の、おとぎ話のように感じていた国だ。
「シュウト陛下、とお呼びした方がよろしいでしょうか?」
「呼び方は好きにしろ。俺の事をご主人様と呼ぶ者もいるからな」
それはそうでしょうね、と思いながらも口には出さず、改めて修斗の顔をまじまじと眺める。
ザナドゥ王国と言えば9人の悪夢の騎士であり、ザナドゥ王国は騎士達のお陰で繁栄したともっぱらのウワサだ。
しかし目の前にいる国王はどうだ、自身に満ち溢れ、護衛もつけず1人で他国を旅している。
女好きとのウワサだが、それだけで危険を顧みず旅など出来るだろうか。
しかしメシューゼラにはどうでもいい事だった。
目の前にいる主人は自分の恩人であり、自分の罪をかぶせてしまった人物なのだ。
何とかそれに報いるよう、主人の為に働くしかないのだから。
「ご主人様、私達はアイン・アール首長国の首都へと向かっているのですよね?」
「そうだ。疲れたか?」
「いえ、まだ数日かかりますので、ゆっくり2人で旅が出来ると思うと楽しみで」
「そうだな、お前がいるお陰で、俺もつまらない1人旅ではなくなった」
静かな会話だが、いつ聞かれるのかとずっと待ち構えているようだが、中々聞かれない事にしびれを切らしたようだ。
「何も利かないのですか? 国を売った事」
「俺はいくつもの国を蹂躙し、破壊し、従属させてきた。国を売るよりも酷い事をやっているが……しかし少しは興味がある」
「では私の独り言にお付き合いくださいませ。あれは3年前の事です」
3年前、メシューゼラはアイン・アール首長国の田舎に住んでいた。
そこで平民として暮らしていたのだが、ある日、家に他国の貴族の使いが現れたのだ。
なんて事は無い、美しい娘だから側室に迎えようというのだ。
しかしまだ若いメシューゼラは愛する人がいるからと断り、その場は貴族の使いは帰っていった。
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