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第6章 ダンジョンから始まる世界交流
第289話 メシューゼラの過去
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だが数日後、メシューゼラと将来を約束した男が反逆者として捕らえられてしまう。
まだ清い交際であり、男はメシューゼラと結婚するために手に職を付けようと、鍛冶屋に弟子入りしていたのだが、作った武器を販売した客に貴族の国の情報を売ったというのだ。
もちろん冤罪であり、その様な事実はない。
しかし貴族にとって事実など必要なく、気にくわない男を引き離すためだけにこんな事をしたのだ。
アイン・アール首長国としても、スパイ容疑をかけられた男をかばうのはリスクが大きいため、その貴族に処分を任せたようだ。
男は必死に無実を訴えるも聞き入れられず、街の真ん中で拷問にかけられることになった。
メシューゼラも必死に無実を訴えるのだが、交換条件が出されたのだ『側室になるなら慈悲をかけてやる』と。
目的を隠すつもりもない様で、メシューゼラを手に入れるためだけに男を陥れたのだ。
拷問にかけられれば間違いなく殺されるだろう、メシューゼラに選択の余地は無かった。
貴族の屋敷に連れて行かれ、側室とは名ばかりの性奴隷にされ、毎日毎日酷い扱いを受ける事になる。
それでも男が助かったのなら自分は人生を諦めてもいい、そう考えて日々を過ごしていた。
だが数か月後、貴族がメシューゼラばかりをかわいがるため、正妻はメシューゼラを目の敵にしていた。
そしてある事実を突きつけた。
「お前がこの屋敷に来たのは全くの無駄だというのに。あの男も浮かばれまいて」
メシューゼラと将来を約束していた男は……拷問で殺されていたのだ。
それを聞いたメシューゼラは怒り狂い、貴族の元へと詰め寄り問いただしたのだが、当たり前だと言わんばかりに殺したと白状する。
貴族に襲い掛かり、せめて1発はひっぱたこうとしたのだが、すぐさま護衛に取り押さえられ、貴族に手を上げた反逆者として捕らえられてしまう。
どうやら貴族はそろそろメシューゼラに飽きていたらしく、大人しくしていれば気が向けば抱くつもりだったが、手を上げようとしたので見せしめもかねて、メシューゼラの祖国・アイン・アール首長国の売春宿に売ったようだ。
そこで稼いだ金は貴族の元に送られ、しかも完全に手放す気はなかったから莫大な金額の身請け金額を設定した。
更には身請けさせようとする気さえ起こさせないように、貴族暗殺未遂、スパイ組織の一員、武器密輸など、全く関係のない罪まで追加し、それをひたすら言わせ続ける事で本当に自分は反逆者だと思わせたのだ。
見ず知らずの国に連れて行かれて性奴隷のように扱われ、邪魔になったからと冤罪で売春宿に売られた上に、稼ぎは全て貴族に巻き上げられてしまう。
そんな状態にもかかわらず、メシューゼラは腐らずに仕事をこなし、お得意さんまで出来ていた。
「ならお前は国を売っていないな」
「え? ですから私は……あら? でも、え?」
毎日自分の罪を言わされ続け、自分でも犯罪者になったつもりでいた様だが、別の力が加わる事で植え付けられた記憶にほころびが生まれたのだ。
「だがそうだな、お前に酷い事をした奴には報復をしないとな」
「あの、ご主人様お願いがあります」
「なんだ?」
「私がご主人様にお仕えするために、この手を汚すわけにはいきません。なので貴族の事は忘れて欲しいのです」
「お前が報復する訳じゃないぞ? 俺がやるんだ」
「それでも、です。私が貴族のオモチャという事は、貴族に近い人物なら知っています。私が身請けされた事で貴族に何かがあれば、間違いなく私が疑われ、ご主人様にもその手が伸びてしまいます」
どうやらメシューゼラは自分に悪の手が伸びる事よりも、修斗に迷惑をかける事が嫌なようだ。
だがそんな事を今更気にする修斗でもない。
「お前がいいというならやらないが、俺に貴族の手が伸びたところで相手が滅んで終わりだぞ?」
「そ、そういうのはあまり……」
「まあいいだろう。逆に考えれば、貴族はお前を俺に合わせたともとれる。そう考えればどうでもいいな」
貴族への興味が無くなったようで、メシューゼラはホッと胸をなでおろす。
元々は平民だったため、恨みつらみはあれども争い事は避けたいようだ。
だが貴族はそうでもなかったようだ。
数日後にはアイン・アール首長国の首都に到着したが、アイン・アール首長国は砂漠が多かったため、移動はかなり疲労が伴う。
修斗は良いがメシューゼラは疲れているようだ。
「も、申し訳ありませんご主人様」
「気にしなくていい。無理をさせてしまったな」
高級な宿に入り、メシューゼラはベッドで横になっていた。
道中は完全な砂漠ではないものの、ずっと同じ景色が続くうえ、初めての旅で疲労がたまったのだ。
そしてこの首都でも何者かが修斗を訪ねて来た。
「シュウト様でいらっしゃいますね? 首長がお会いしたいと申しておりますので、ご同行をお願いしたいのですが」
頭にターバンを巻き、赤いいベストには金色の刺繍が施されており、中には何も来ていない。
白いゆったりとしたズボンをはいて髭を生やした男が現れた。
そう、フィルヤールの叔父だ。
まだ清い交際であり、男はメシューゼラと結婚するために手に職を付けようと、鍛冶屋に弟子入りしていたのだが、作った武器を販売した客に貴族の国の情報を売ったというのだ。
もちろん冤罪であり、その様な事実はない。
しかし貴族にとって事実など必要なく、気にくわない男を引き離すためだけにこんな事をしたのだ。
アイン・アール首長国としても、スパイ容疑をかけられた男をかばうのはリスクが大きいため、その貴族に処分を任せたようだ。
男は必死に無実を訴えるも聞き入れられず、街の真ん中で拷問にかけられることになった。
メシューゼラも必死に無実を訴えるのだが、交換条件が出されたのだ『側室になるなら慈悲をかけてやる』と。
目的を隠すつもりもない様で、メシューゼラを手に入れるためだけに男を陥れたのだ。
拷問にかけられれば間違いなく殺されるだろう、メシューゼラに選択の余地は無かった。
貴族の屋敷に連れて行かれ、側室とは名ばかりの性奴隷にされ、毎日毎日酷い扱いを受ける事になる。
それでも男が助かったのなら自分は人生を諦めてもいい、そう考えて日々を過ごしていた。
だが数か月後、貴族がメシューゼラばかりをかわいがるため、正妻はメシューゼラを目の敵にしていた。
そしてある事実を突きつけた。
「お前がこの屋敷に来たのは全くの無駄だというのに。あの男も浮かばれまいて」
メシューゼラと将来を約束していた男は……拷問で殺されていたのだ。
それを聞いたメシューゼラは怒り狂い、貴族の元へと詰め寄り問いただしたのだが、当たり前だと言わんばかりに殺したと白状する。
貴族に襲い掛かり、せめて1発はひっぱたこうとしたのだが、すぐさま護衛に取り押さえられ、貴族に手を上げた反逆者として捕らえられてしまう。
どうやら貴族はそろそろメシューゼラに飽きていたらしく、大人しくしていれば気が向けば抱くつもりだったが、手を上げようとしたので見せしめもかねて、メシューゼラの祖国・アイン・アール首長国の売春宿に売ったようだ。
そこで稼いだ金は貴族の元に送られ、しかも完全に手放す気はなかったから莫大な金額の身請け金額を設定した。
更には身請けさせようとする気さえ起こさせないように、貴族暗殺未遂、スパイ組織の一員、武器密輸など、全く関係のない罪まで追加し、それをひたすら言わせ続ける事で本当に自分は反逆者だと思わせたのだ。
見ず知らずの国に連れて行かれて性奴隷のように扱われ、邪魔になったからと冤罪で売春宿に売られた上に、稼ぎは全て貴族に巻き上げられてしまう。
そんな状態にもかかわらず、メシューゼラは腐らずに仕事をこなし、お得意さんまで出来ていた。
「ならお前は国を売っていないな」
「え? ですから私は……あら? でも、え?」
毎日自分の罪を言わされ続け、自分でも犯罪者になったつもりでいた様だが、別の力が加わる事で植え付けられた記憶にほころびが生まれたのだ。
「だがそうだな、お前に酷い事をした奴には報復をしないとな」
「あの、ご主人様お願いがあります」
「なんだ?」
「私がご主人様にお仕えするために、この手を汚すわけにはいきません。なので貴族の事は忘れて欲しいのです」
「お前が報復する訳じゃないぞ? 俺がやるんだ」
「それでも、です。私が貴族のオモチャという事は、貴族に近い人物なら知っています。私が身請けされた事で貴族に何かがあれば、間違いなく私が疑われ、ご主人様にもその手が伸びてしまいます」
どうやらメシューゼラは自分に悪の手が伸びる事よりも、修斗に迷惑をかける事が嫌なようだ。
だがそんな事を今更気にする修斗でもない。
「お前がいいというならやらないが、俺に貴族の手が伸びたところで相手が滅んで終わりだぞ?」
「そ、そういうのはあまり……」
「まあいいだろう。逆に考えれば、貴族はお前を俺に合わせたともとれる。そう考えればどうでもいいな」
貴族への興味が無くなったようで、メシューゼラはホッと胸をなでおろす。
元々は平民だったため、恨みつらみはあれども争い事は避けたいようだ。
だが貴族はそうでもなかったようだ。
数日後にはアイン・アール首長国の首都に到着したが、アイン・アール首長国は砂漠が多かったため、移動はかなり疲労が伴う。
修斗は良いがメシューゼラは疲れているようだ。
「も、申し訳ありませんご主人様」
「気にしなくていい。無理をさせてしまったな」
高級な宿に入り、メシューゼラはベッドで横になっていた。
道中は完全な砂漠ではないものの、ずっと同じ景色が続くうえ、初めての旅で疲労がたまったのだ。
そしてこの首都でも何者かが修斗を訪ねて来た。
「シュウト様でいらっしゃいますね? 首長がお会いしたいと申しておりますので、ご同行をお願いしたいのですが」
頭にターバンを巻き、赤いいベストには金色の刺繍が施されており、中には何も来ていない。
白いゆったりとしたズボンをはいて髭を生やした男が現れた。
そう、フィルヤールの叔父だ。
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