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第6章 ダンジョンから始まる世界交流
第290話 誘拐されたメシューゼラ
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修斗がアイン・アール首長国の宮殿に呼ばれ、宮殿内の客室で待っている頃、メシューゼラが休んでいる高級宿の部屋の前に何者かが現れた。
ドアをノックするが反応がなく、ドアノブが回されるが、鍵がかかっているため動かない。
周囲を見回して誰もいない事を確認するとドアの前にしゃがみ込み、細い金属の棒を数本を鍵穴に差し込んだ。
ガチャリと鍵が開くと、何者かは静かに部屋に入って来る。
服装は宿のメイドの物だ。
それにしては鍵を持っていないようだ。
ベッドで眠るメシューゼラを確認すると、メイドらしき女はポケットからハンカチと小瓶を取り出し、小瓶の液体をハンカチにしみこませるとメシューゼラの口元に持っていく。
少し間をおいてメシューゼラの肩を揺さぶるも、全く反応する事なく眠っている。
布団をめくり、メシューゼラを肩に担ぐと窓を開けて飛び降りた。
それを修斗は映像として頭の中で見ていた。
以前買い物をした時に、アクセサリーとして腕輪を渡したのだが、それのステータスを変更して常にメシューゼラを監視できる物に作り替えていたのだ。
流石にこれほど早くに動くとは思っていなかったようだが、あらかじめ渡しておいて正解だったようだ。
修斗は客室から謁見の間に移動しながらも映像を見ているが、今のところメイドはメシューゼラに何かをする気配はなく、ようやく馬車に運び込まれた様だ。
謁見の間の前には大きな長方形の池があり、そのわきを通って謁見の間に入る。
大きな両扉が開いて中に入ると、両脇にはターバンを巻いた男が大勢並んでいた。
謁見の間は柱が多く、ターバンの男が前列に、柱の裏には兵士らしき者が並んでいる。
正面には玉座があるのだが、国王らしき50半ばの立派な髭を携えた男は玉座を立ち、2段の段差を降りて修斗に握手を求める。
「突然の呼び立てに応じてくださり、感謝している。ワシはアイン・アール首長国の首長、ズィー・アイハムだ」
「ザナドゥ王国の国王、修斗だ」
握手を交わしているが、修斗の頭の中の映像は流れ続けている。
どうやら首都を出て通ってきた道を戻っているようだ。
砂漠に近い道のりを戻るのは、今のメシューゼラにはきついかもしれない。
「さてシュウト国王、うちのわがまま娘がそちらにお邪魔している様なのだが、お会いになられたかな?」
「いや、知らないな。何日も前に国を出たし、アイン・アール首長国からは何の連絡も来ていなかった」
ズィー・アイハム首長は近くにいた男に確認すると、その男、フィルヤールの叔父だが、男はコクリと首を縦に振り1歩前に出る。
「フィルヤール第3王女が国を出られたのは手紙を送るよりも前です。ザナドゥ王国への道のりを考えると、シュウト国王が国を出られた頃かもしれません」
それだけ言うと、男は1歩下がる。
「そうか、手紙よりも先に国を出たとはな……すまぬ、こちらの不手際だ」
「気にしなくてもいいさ。俺がこっちに来たのは気まぐれだし、行き違いになっても仕方がない事だ」
「そう言ってくれると助かるよ。道中で会ったりしていないかとも思ったが、そうそう会う機会もないだろうしな」
「それで? 俺を呼んだのはすれ違いになった事の確認か?」
ズィー・アイハム首長が手を叩くと、謁見の間の隣の部屋へと続く扉が開けられる。
そちらには豪華な大理石で出来たイスやテーブルが置かれており、お茶の準備もされたいた。
「立ったままでは疲れるから、向こうで話をしまいか?」
隣の部屋に移動し、給仕が引いたイスに座ろうとした時、修斗は目を細めた。
誘拐され、馬車で移動しているメシューゼラの顔色が悪くなったのだ。
薬で眠らされているようだが、馬車の中とはいえ太陽の照り付ける中を走り続けるのは、メシューゼラには辛い。
「すまないが急用ができた。しばらく待っていてくれ」
「ん? 何があったの……!?」
首長が修斗を見ると、人が通れるほどの穴が中空に開き、その中へと入っていく姿が見えた。
修斗の姿が穴に消えると、穴は何も無かったように閉じてしまう。
「う、ウワサ通りの破天荒さだな」
「よぅ、この馬車はどこへ行くんだ?」
突如馬車内の空間に穴が開き、そこから現れた男に戸惑うメイド服の誘拐犯。
だがメイドは訓練されているようで、すぐさまナイフを構えて修斗に襲い掛かる。
しかし当たり前のようにナイフを指でつまみ、メイドの首を持って強く握ると暴れないように両腕を握り両足を蹴って折る。
悲鳴すら上げる事が出来ず、メイドは激痛と酸欠で意識を失った。
かなりの速度で走り続ける馬車なので、大して音もせずに終わった騒動に、御者は気付かない。
メイドを床に捨て、メシューゼラに回復魔法をかけると、顔色が良くなったことを確認する。
そして御者側の窓を割って御者の後頭部を鷲掴みにする。
「ぐあぁ!! な、なんだ!? だ、誰……ぎ が あ あ」
鷲掴みにした手が御者の頭に沈み、御者の目は忙しくあちこちを向く。
「……予想通りか。所詮は受け継いだだけの貴族の坊っちゃんだな。何のひねりもない」
馬車の前に大きな穴が開く。
中に馬車が吸い込まれると、メシューゼラを抱きかかえた修斗が穴から出て来る。
そして穴が閉じたのだが……馬車はどうなったのだろうか。
さらに別の穴が開いてその中に入っていくと、先ほどのアイン・アール首長国の別室へと修斗は姿を現す。
「待たせたな。すまないがベッドを用意してくれないか?」
突然の事で何が起きたのか理解できていないが、女性を抱きかかえた修斗を見て、使用人たちは慌てて大きめのソファーを用意し、まずはそこにメシューゼラを寝かせた。
ドアをノックするが反応がなく、ドアノブが回されるが、鍵がかかっているため動かない。
周囲を見回して誰もいない事を確認するとドアの前にしゃがみ込み、細い金属の棒を数本を鍵穴に差し込んだ。
ガチャリと鍵が開くと、何者かは静かに部屋に入って来る。
服装は宿のメイドの物だ。
それにしては鍵を持っていないようだ。
ベッドで眠るメシューゼラを確認すると、メイドらしき女はポケットからハンカチと小瓶を取り出し、小瓶の液体をハンカチにしみこませるとメシューゼラの口元に持っていく。
少し間をおいてメシューゼラの肩を揺さぶるも、全く反応する事なく眠っている。
布団をめくり、メシューゼラを肩に担ぐと窓を開けて飛び降りた。
それを修斗は映像として頭の中で見ていた。
以前買い物をした時に、アクセサリーとして腕輪を渡したのだが、それのステータスを変更して常にメシューゼラを監視できる物に作り替えていたのだ。
流石にこれほど早くに動くとは思っていなかったようだが、あらかじめ渡しておいて正解だったようだ。
修斗は客室から謁見の間に移動しながらも映像を見ているが、今のところメイドはメシューゼラに何かをする気配はなく、ようやく馬車に運び込まれた様だ。
謁見の間の前には大きな長方形の池があり、そのわきを通って謁見の間に入る。
大きな両扉が開いて中に入ると、両脇にはターバンを巻いた男が大勢並んでいた。
謁見の間は柱が多く、ターバンの男が前列に、柱の裏には兵士らしき者が並んでいる。
正面には玉座があるのだが、国王らしき50半ばの立派な髭を携えた男は玉座を立ち、2段の段差を降りて修斗に握手を求める。
「突然の呼び立てに応じてくださり、感謝している。ワシはアイン・アール首長国の首長、ズィー・アイハムだ」
「ザナドゥ王国の国王、修斗だ」
握手を交わしているが、修斗の頭の中の映像は流れ続けている。
どうやら首都を出て通ってきた道を戻っているようだ。
砂漠に近い道のりを戻るのは、今のメシューゼラにはきついかもしれない。
「さてシュウト国王、うちのわがまま娘がそちらにお邪魔している様なのだが、お会いになられたかな?」
「いや、知らないな。何日も前に国を出たし、アイン・アール首長国からは何の連絡も来ていなかった」
ズィー・アイハム首長は近くにいた男に確認すると、その男、フィルヤールの叔父だが、男はコクリと首を縦に振り1歩前に出る。
「フィルヤール第3王女が国を出られたのは手紙を送るよりも前です。ザナドゥ王国への道のりを考えると、シュウト国王が国を出られた頃かもしれません」
それだけ言うと、男は1歩下がる。
「そうか、手紙よりも先に国を出たとはな……すまぬ、こちらの不手際だ」
「気にしなくてもいいさ。俺がこっちに来たのは気まぐれだし、行き違いになっても仕方がない事だ」
「そう言ってくれると助かるよ。道中で会ったりしていないかとも思ったが、そうそう会う機会もないだろうしな」
「それで? 俺を呼んだのはすれ違いになった事の確認か?」
ズィー・アイハム首長が手を叩くと、謁見の間の隣の部屋へと続く扉が開けられる。
そちらには豪華な大理石で出来たイスやテーブルが置かれており、お茶の準備もされたいた。
「立ったままでは疲れるから、向こうで話をしまいか?」
隣の部屋に移動し、給仕が引いたイスに座ろうとした時、修斗は目を細めた。
誘拐され、馬車で移動しているメシューゼラの顔色が悪くなったのだ。
薬で眠らされているようだが、馬車の中とはいえ太陽の照り付ける中を走り続けるのは、メシューゼラには辛い。
「すまないが急用ができた。しばらく待っていてくれ」
「ん? 何があったの……!?」
首長が修斗を見ると、人が通れるほどの穴が中空に開き、その中へと入っていく姿が見えた。
修斗の姿が穴に消えると、穴は何も無かったように閉じてしまう。
「う、ウワサ通りの破天荒さだな」
「よぅ、この馬車はどこへ行くんだ?」
突如馬車内の空間に穴が開き、そこから現れた男に戸惑うメイド服の誘拐犯。
だがメイドは訓練されているようで、すぐさまナイフを構えて修斗に襲い掛かる。
しかし当たり前のようにナイフを指でつまみ、メイドの首を持って強く握ると暴れないように両腕を握り両足を蹴って折る。
悲鳴すら上げる事が出来ず、メイドは激痛と酸欠で意識を失った。
かなりの速度で走り続ける馬車なので、大して音もせずに終わった騒動に、御者は気付かない。
メイドを床に捨て、メシューゼラに回復魔法をかけると、顔色が良くなったことを確認する。
そして御者側の窓を割って御者の後頭部を鷲掴みにする。
「ぐあぁ!! な、なんだ!? だ、誰……ぎ が あ あ」
鷲掴みにした手が御者の頭に沈み、御者の目は忙しくあちこちを向く。
「……予想通りか。所詮は受け継いだだけの貴族の坊っちゃんだな。何のひねりもない」
馬車の前に大きな穴が開く。
中に馬車が吸い込まれると、メシューゼラを抱きかかえた修斗が穴から出て来る。
そして穴が閉じたのだが……馬車はどうなったのだろうか。
さらに別の穴が開いてその中に入っていくと、先ほどのアイン・アール首長国の別室へと修斗は姿を現す。
「待たせたな。すまないがベッドを用意してくれないか?」
突然の事で何が起きたのか理解できていないが、女性を抱きかかえた修斗を見て、使用人たちは慌てて大きめのソファーを用意し、まずはそこにメシューゼラを寝かせた。
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