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21.リアを訪ねて馬二日
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エリクセンに到着しギルドへ報告に向かう。
ギルドマスターと話しをして足跡・足の大きさなどから、街道で見つかった足跡はネイル・ライオンで間違いないだろうと結論が出た。
報酬は山分けだが、国からも資金が出ているので結構な額になる。
さて、アニタさんにリアの様子を聞こう。流石に釈放されているはずだからな。
「アセリアさんはジョザ・マルーザへ向かっています。皆さんが出発した日の昼に釈放されたので、まだ道中だと思います」
あー当日に釈放されたのか。なんてタイミングの悪い。
「ところでジョザ・マルーザってどこですか?」
「エル・ド・ランとは別のルートで王都へと繋がる街です。湖に行く途中で道が分かれていた先ですね」
そういえば分かれ道があったな。エル・ド・ランの近くには山があるらしいから、湖と山を迂回して王都へ向かう道かな。
「ジョザ・マルーザへは馬車で何日ですか?」
「四日~五日です。今から追いかけてもすでに街へ入っているでしょう。冒険者に追跡をさせていますから、居場所は直ぐにわかると思います」
「流石アニタさん。出来る女は違いますね」
「もっと褒めてもいいですよ。とはいえお願いしたのはこちらですし、今回もユグドラさんがいないと危なかったらしいですから。これ位はね?」
「では早速行ってきます」
「お気をつけて」
食料だけ買い足してリアの後を追う。
すでに昼を回っているので、二泊はしないとダメかもしれないな。
途中何回かモンスターに襲われたが特に問題なく、二日後の朝早くにジョザ・マルーザへと到着した。
エリクセンと同じか少し大きい街だ。外壁もしっかりしている。
ギルドへ向かい受付嬢に自己紹介をすると、早速リアの情報を教えてくれた。
「現在アセリアさんは王都へ向かう準備をしています。馬車乗り場で待っていれば会えるでしょう。案内をさせます」
案内をする冒険者に付いて行くと、馬車乗り場は沢山の荷馬車と沢山の人でごった返していた。
まだリアは来ていないようなので、路地に姿を隠して待つことにした。
暫く待つとどこかからか合図が鳴ったらしい。
どうやらもう一人冒険者がいてリアを追跡しているらしく、冒険者同士でしか分からない合図があったんだとか。
案内人が指を差した先を見ると……リア……ああやっと会えた。一番最初に出会った時の服装だ。
居ても立ってもいられず、人ごみをかき分けて走り出す。
「リア!」
後ろから声を掛けるとリアは立ち止まり、ゆっくりこちらを振り向いた。
「ユー……さん」
リア、リア。近づいて抱きしめようとするが、顔を見て手が止まる。
「どうして……そんな表情をするの?」
怯えている訳ではないだろうが、戸惑っている。なぜだ?そうかまだ気にしているのか。
「リア大丈夫だ、俺は怪我なんてしていない。それよりリアの傷の方が」
「来ないでください!」
そういって走り出してしまった。
「り、リア!?」
慌てて後を追いかけるが、人が多すぎて中々進めない。
しかしリアも同じで、走ろうにも走れないため距離は離れはしなかった。
「まって!リア!リアー!」
「追いかけてこないでください!」
どうして、なんで?やっと会えたのに、やっと笑顔を見れると思ったのに!
「まって、話しを聞いて!リア!リうわっ!」
やっと人ごみを抜けた時、一人の男の足に引っかかり転んでしまった。
「すみません、急いでいるものでグアッ!」
起き上がろうとすると蹴り飛ばされて、数メートル吹き飛ばされ壁に激突してしまった。
なんだ!? いったい……なんなんだ?
「おいストーカー」
急いで立ち上がると、リアも何事かとこちらを見ている。
よかった、見失わないですんだ。
目の前に黒い鎧を着こんだ男が現れた。こいつが俺を蹴ったのか?なぜだ?
「おいと言っている! 返事くらいしたらどうなんだ!!!」
今度は殴り掛かってきた!なんとかかわして壁際から逃れたものの、すぐさま蹴りが放たれた。
腕でガードして相手を見るが、見た事のない男だ。
ひょっとしてどこかで恨みを買ったのかと思ったが、本当に、全く知らない奴だ。
「誰だ、お前は」
「俺はブラスティー。少女を追い回す悪漢め、騎士団の名において成敗してくれる!」
「悪漢……? 俺の事か!?」
「お前以外に誰がいる。朝っぱらから盛りの付いた犬め、牢屋に入れてやるから大人しくしていろ!」
「いやちょっと待て、俺とリアはふう」
ブラスティーとかいう男は,大剣を抜いて斬りかかってきた。
いやだから待てって言ってるのに聞けよこいつ!
なんとか剣をかわしているが、とてつもなく鋭い。
騎士団っていうのはこんなに強いのか!? 冒険者とは違いすぎるぞ!
「くっやるな、それならこれでどうだ!」
タメを作り、掛け声とともに突進してきた。
「一閃・鋭岩断気!」
一秒にも満たない間に、複数回の攻撃を仕掛けてくる。まさか攻撃スキルか!?
防御したものの幾いくつかまともに攻撃を食らい、口から血を吐いて膝を付く。
マズい!次の攻撃が来たらやられる!ポーションとヒールを……
黒い具足が視界に入る。
こんな所で……理由も分からず殺されるのか?せめてリアに……リアに……
「やめてください!」
俺の頭が温かく包まれた。
「もうやめてください……私が……この人は私の夫です」
リ……ア……?
「夫だと?ならなぜ逃げていた!」
「喧嘩を……したんです」
「私にはただの喧嘩には見えなかったがな」
「こんな事をしなくてもっ、この人は何もしていないのに!」
リアが俺をかばってくれているのか?
「そうだよなぁ、いきなり斬りかかるのはやりすぎだよな」
どうやら野次馬が騒いでいるようだ。
「このあんちゃんは剣も抜いてないのに、一方的だもんな~」
「最近の騎士団は横暴すぎじゃないか?」
どうやら騎士団は人気がない様だ。
「クッ、紛らわしいことをするな!」
そういって視界から黒い具足が見えなくなった。
だがその後で“俺に恥をかかせやがって”という言葉を、歯ぎしりしながら呟いたことに、俺は気が付かなかった。
目が覚めたのは日が沈んでからだった。
ベッドで寝ていた俺が目を覚ますと、椅子に座ったリアが泣きながら、手を握りしめているのがわかった。
「リア、どうしたの、悲しいことがあったの?」
流石にダメージが残っているのか、あまり声が出ていない。
「ユーさん、よかった。ごめんなさい……私……私のせいでこんな事になってしまって」
下を向いて顔が見えなくなってしまった。でも涙が絶え間なく落ちている。
なんとか上半身を起こし、リアを抱きしめる。
「やっと捕まえた。ありがとう、夫って言ってくれて」
「ユーさん、ユーさん!」
オレに抱き付いて大声で泣き出してしまった。俺も涙が流れてる。やっとリアと一緒に居られる喜びで。
いつまで抱きしめ合っていただろうか。俺の腹が鳴ってやっと手が緩んだ。
「そういえば朝飯食べたっきりだ」
「私も」
「お店開いてるかな」
「大丈夫だと思う」
「じゃあ行こうか」
宿の部屋を出る前に、まずは顔を洗った。
二人とも目が真っ赤で、涙が乾いた跡が付いていたから。
店はコレオプテールより一回り大きく、メニューも多いみたいだ。
いくつか注文すると、ゆっくりと話しを始めた。
「王都に行くつもりだったの?」
「うん」
「どうして?」
「王都には私を知ってる人は居ないし、仕事もあると思ったから」
「俺が追いかけるとは思わなかった?」
「追いかけて来てほしい……と思ってた。でも、私はユーさんを……」
「殺す気なんて無かったんでしょ?」
「わかんない」
リアの手を取って手のひらを見た。
「この傷、あの時のだね。痛かっただろうに」
手のひらに真っ直ぐな傷跡がある。
傷を指でいたわるようになぞると、食事が運ばれてきたので食べ始めた。
「痛いよりも、よかったって」
やっと微笑んでくれた。
「ごはん、冷めないうちに食べないと店長に怒られちゃうね」
「そうだね」
肩を寄せて二人一緒の時間だ。
何日ぶりだろう、とっても久しぶりな感じがする。
食事が終わり宿に戻ってきたら、突然リアが泣き始めた。
「ど、どうしたの!?」
流石に突然すぎたので、ベッドに座らせて様子を見るしかできない。
「わたしっ! 私ユーさんを二回も殺す所だった……! もうあんな思いはしたく無いからって離れたのに!」
二回……俺をナイフで傷つけた時と、黒い鎧の騎士に殺されそうになった時か?
きっとリアは兄さんが死んだときの悲しみを、二度と味わいたくないからと俺から離れたんだろう。
「でも私は、心のどこかでユーさんが死ぬはずない、負けるはずがないって思ってて……でもそんなはずがなくて……」
リアの手を握る。
「ユーさんは……ユーさんは優しくて、甘えたくなって、ずっと甘えっぱなしで、でも恩返しも何もできなくて」
「そんな事ないよ。俺はリアと居るととっても心が安らぐ。甘えてるのは俺の方だよ」
「でも、でも普通は許してくれないよ、あんな事したら」
「俺がリアのお兄さんを殺したのは事実だ、それは変わらない。だから俺がリアに謝らないといけないんだ」
リアの手を離して頭を下げる。
「ごめんリア。許してほしいとは思わない、でも受け止めてほしいんだ。放っておいたら犠牲者が増えてしまう」
「大丈夫わかってる。お兄ちゃんは賞金が付くほどの悪党だったんだもん、きっと沢山人も殺してる。だからお礼をいわせて? これ以上罪を重ねる前に終わらせてくれてありがとう。そして、私の我儘につきあわせてしまって、ごめんなさい」
リアは強い。家族を殺した人間に、やさしい言葉をかけるなんてできない。なのに俺を受け入れてくれた。
「俺達さっきから謝ってばっかりだな」
「ほんと、最初から謝る事なんてしなきゃよかった」
「じゃあこの話しはこれでおしまい。次は楽しい話しをしよう」
「例えばどんな楽しい話し?」
「んー、実は俺、嘘をついた」
「いきなり何!?」
「俺はリアと居ると心安らぐって言ったけど」
「違うの!?」
「今はすっごくドキドキしてる」
「……私も……だから……甘えさせて?」
ギルドマスターと話しをして足跡・足の大きさなどから、街道で見つかった足跡はネイル・ライオンで間違いないだろうと結論が出た。
報酬は山分けだが、国からも資金が出ているので結構な額になる。
さて、アニタさんにリアの様子を聞こう。流石に釈放されているはずだからな。
「アセリアさんはジョザ・マルーザへ向かっています。皆さんが出発した日の昼に釈放されたので、まだ道中だと思います」
あー当日に釈放されたのか。なんてタイミングの悪い。
「ところでジョザ・マルーザってどこですか?」
「エル・ド・ランとは別のルートで王都へと繋がる街です。湖に行く途中で道が分かれていた先ですね」
そういえば分かれ道があったな。エル・ド・ランの近くには山があるらしいから、湖と山を迂回して王都へ向かう道かな。
「ジョザ・マルーザへは馬車で何日ですか?」
「四日~五日です。今から追いかけてもすでに街へ入っているでしょう。冒険者に追跡をさせていますから、居場所は直ぐにわかると思います」
「流石アニタさん。出来る女は違いますね」
「もっと褒めてもいいですよ。とはいえお願いしたのはこちらですし、今回もユグドラさんがいないと危なかったらしいですから。これ位はね?」
「では早速行ってきます」
「お気をつけて」
食料だけ買い足してリアの後を追う。
すでに昼を回っているので、二泊はしないとダメかもしれないな。
途中何回かモンスターに襲われたが特に問題なく、二日後の朝早くにジョザ・マルーザへと到着した。
エリクセンと同じか少し大きい街だ。外壁もしっかりしている。
ギルドへ向かい受付嬢に自己紹介をすると、早速リアの情報を教えてくれた。
「現在アセリアさんは王都へ向かう準備をしています。馬車乗り場で待っていれば会えるでしょう。案内をさせます」
案内をする冒険者に付いて行くと、馬車乗り場は沢山の荷馬車と沢山の人でごった返していた。
まだリアは来ていないようなので、路地に姿を隠して待つことにした。
暫く待つとどこかからか合図が鳴ったらしい。
どうやらもう一人冒険者がいてリアを追跡しているらしく、冒険者同士でしか分からない合図があったんだとか。
案内人が指を差した先を見ると……リア……ああやっと会えた。一番最初に出会った時の服装だ。
居ても立ってもいられず、人ごみをかき分けて走り出す。
「リア!」
後ろから声を掛けるとリアは立ち止まり、ゆっくりこちらを振り向いた。
「ユー……さん」
リア、リア。近づいて抱きしめようとするが、顔を見て手が止まる。
「どうして……そんな表情をするの?」
怯えている訳ではないだろうが、戸惑っている。なぜだ?そうかまだ気にしているのか。
「リア大丈夫だ、俺は怪我なんてしていない。それよりリアの傷の方が」
「来ないでください!」
そういって走り出してしまった。
「り、リア!?」
慌てて後を追いかけるが、人が多すぎて中々進めない。
しかしリアも同じで、走ろうにも走れないため距離は離れはしなかった。
「まって!リア!リアー!」
「追いかけてこないでください!」
どうして、なんで?やっと会えたのに、やっと笑顔を見れると思ったのに!
「まって、話しを聞いて!リア!リうわっ!」
やっと人ごみを抜けた時、一人の男の足に引っかかり転んでしまった。
「すみません、急いでいるものでグアッ!」
起き上がろうとすると蹴り飛ばされて、数メートル吹き飛ばされ壁に激突してしまった。
なんだ!? いったい……なんなんだ?
「おいストーカー」
急いで立ち上がると、リアも何事かとこちらを見ている。
よかった、見失わないですんだ。
目の前に黒い鎧を着こんだ男が現れた。こいつが俺を蹴ったのか?なぜだ?
「おいと言っている! 返事くらいしたらどうなんだ!!!」
今度は殴り掛かってきた!なんとかかわして壁際から逃れたものの、すぐさま蹴りが放たれた。
腕でガードして相手を見るが、見た事のない男だ。
ひょっとしてどこかで恨みを買ったのかと思ったが、本当に、全く知らない奴だ。
「誰だ、お前は」
「俺はブラスティー。少女を追い回す悪漢め、騎士団の名において成敗してくれる!」
「悪漢……? 俺の事か!?」
「お前以外に誰がいる。朝っぱらから盛りの付いた犬め、牢屋に入れてやるから大人しくしていろ!」
「いやちょっと待て、俺とリアはふう」
ブラスティーとかいう男は,大剣を抜いて斬りかかってきた。
いやだから待てって言ってるのに聞けよこいつ!
なんとか剣をかわしているが、とてつもなく鋭い。
騎士団っていうのはこんなに強いのか!? 冒険者とは違いすぎるぞ!
「くっやるな、それならこれでどうだ!」
タメを作り、掛け声とともに突進してきた。
「一閃・鋭岩断気!」
一秒にも満たない間に、複数回の攻撃を仕掛けてくる。まさか攻撃スキルか!?
防御したものの幾いくつかまともに攻撃を食らい、口から血を吐いて膝を付く。
マズい!次の攻撃が来たらやられる!ポーションとヒールを……
黒い具足が視界に入る。
こんな所で……理由も分からず殺されるのか?せめてリアに……リアに……
「やめてください!」
俺の頭が温かく包まれた。
「もうやめてください……私が……この人は私の夫です」
リ……ア……?
「夫だと?ならなぜ逃げていた!」
「喧嘩を……したんです」
「私にはただの喧嘩には見えなかったがな」
「こんな事をしなくてもっ、この人は何もしていないのに!」
リアが俺をかばってくれているのか?
「そうだよなぁ、いきなり斬りかかるのはやりすぎだよな」
どうやら野次馬が騒いでいるようだ。
「このあんちゃんは剣も抜いてないのに、一方的だもんな~」
「最近の騎士団は横暴すぎじゃないか?」
どうやら騎士団は人気がない様だ。
「クッ、紛らわしいことをするな!」
そういって視界から黒い具足が見えなくなった。
だがその後で“俺に恥をかかせやがって”という言葉を、歯ぎしりしながら呟いたことに、俺は気が付かなかった。
目が覚めたのは日が沈んでからだった。
ベッドで寝ていた俺が目を覚ますと、椅子に座ったリアが泣きながら、手を握りしめているのがわかった。
「リア、どうしたの、悲しいことがあったの?」
流石にダメージが残っているのか、あまり声が出ていない。
「ユーさん、よかった。ごめんなさい……私……私のせいでこんな事になってしまって」
下を向いて顔が見えなくなってしまった。でも涙が絶え間なく落ちている。
なんとか上半身を起こし、リアを抱きしめる。
「やっと捕まえた。ありがとう、夫って言ってくれて」
「ユーさん、ユーさん!」
オレに抱き付いて大声で泣き出してしまった。俺も涙が流れてる。やっとリアと一緒に居られる喜びで。
いつまで抱きしめ合っていただろうか。俺の腹が鳴ってやっと手が緩んだ。
「そういえば朝飯食べたっきりだ」
「私も」
「お店開いてるかな」
「大丈夫だと思う」
「じゃあ行こうか」
宿の部屋を出る前に、まずは顔を洗った。
二人とも目が真っ赤で、涙が乾いた跡が付いていたから。
店はコレオプテールより一回り大きく、メニューも多いみたいだ。
いくつか注文すると、ゆっくりと話しを始めた。
「王都に行くつもりだったの?」
「うん」
「どうして?」
「王都には私を知ってる人は居ないし、仕事もあると思ったから」
「俺が追いかけるとは思わなかった?」
「追いかけて来てほしい……と思ってた。でも、私はユーさんを……」
「殺す気なんて無かったんでしょ?」
「わかんない」
リアの手を取って手のひらを見た。
「この傷、あの時のだね。痛かっただろうに」
手のひらに真っ直ぐな傷跡がある。
傷を指でいたわるようになぞると、食事が運ばれてきたので食べ始めた。
「痛いよりも、よかったって」
やっと微笑んでくれた。
「ごはん、冷めないうちに食べないと店長に怒られちゃうね」
「そうだね」
肩を寄せて二人一緒の時間だ。
何日ぶりだろう、とっても久しぶりな感じがする。
食事が終わり宿に戻ってきたら、突然リアが泣き始めた。
「ど、どうしたの!?」
流石に突然すぎたので、ベッドに座らせて様子を見るしかできない。
「わたしっ! 私ユーさんを二回も殺す所だった……! もうあんな思いはしたく無いからって離れたのに!」
二回……俺をナイフで傷つけた時と、黒い鎧の騎士に殺されそうになった時か?
きっとリアは兄さんが死んだときの悲しみを、二度と味わいたくないからと俺から離れたんだろう。
「でも私は、心のどこかでユーさんが死ぬはずない、負けるはずがないって思ってて……でもそんなはずがなくて……」
リアの手を握る。
「ユーさんは……ユーさんは優しくて、甘えたくなって、ずっと甘えっぱなしで、でも恩返しも何もできなくて」
「そんな事ないよ。俺はリアと居るととっても心が安らぐ。甘えてるのは俺の方だよ」
「でも、でも普通は許してくれないよ、あんな事したら」
「俺がリアのお兄さんを殺したのは事実だ、それは変わらない。だから俺がリアに謝らないといけないんだ」
リアの手を離して頭を下げる。
「ごめんリア。許してほしいとは思わない、でも受け止めてほしいんだ。放っておいたら犠牲者が増えてしまう」
「大丈夫わかってる。お兄ちゃんは賞金が付くほどの悪党だったんだもん、きっと沢山人も殺してる。だからお礼をいわせて? これ以上罪を重ねる前に終わらせてくれてありがとう。そして、私の我儘につきあわせてしまって、ごめんなさい」
リアは強い。家族を殺した人間に、やさしい言葉をかけるなんてできない。なのに俺を受け入れてくれた。
「俺達さっきから謝ってばっかりだな」
「ほんと、最初から謝る事なんてしなきゃよかった」
「じゃあこの話しはこれでおしまい。次は楽しい話しをしよう」
「例えばどんな楽しい話し?」
「んー、実は俺、嘘をついた」
「いきなり何!?」
「俺はリアと居ると心安らぐって言ったけど」
「違うの!?」
「今はすっごくドキドキしてる」
「……私も……だから……甘えさせて?」
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