65 / 71
第2章
62.祠と石像。時々夫婦喧嘩
しおりを挟む
どうやらこの村には新しい情報は無い様なので、祠へ向かう事にした。
大きな川の上流を目指しているが、川魚が多く水草も多いらしい。リアが色々な薬草が沢山あると驚いていた。
上流は少し岩場になっていて、岩が積み上げられた高い位置に祠が見えた。
高さ50センチほどの小さな祠は白い石で作られており木の戸が付いている。
祠の前には村長がお供えしたであろう魚が置いてあった。
「おお、これか」
アズベルが祠の前に立ち戸を開けると、中には石像が入っていた。人型の石像は花の上に立ち、体に数本のツルが巻き付いて両手と両肩に花が咲いている。
この花はどこかで見たような気がする。
「これ、ビジランティだ」
リアが石像を見て驚いている。
「それってマイネの村の廃虚で見つけた毒のある花?」
「うん。毒草を祀ってるの? ロマノフの村って」
「そうだな、ロマノフの村長がビジランティを知らないだけかもしれないし、世間には悪魔を崇拝している奴もいる位だからな」
アズベルの言う通りかもしれない。それに毒草でもなんでも村を守った際、偶然でもこの祠があったのは間違いないだろうから、中身は何でもいいんだろう。
「毒草もそうだけど、私は祠自体が気になるわね。石なら沢山あるのにわざわざ違う石で作られているのは何故かしら。土着信仰なら余計にその地域の物を使うと思うわ」
クリスティに言われて岩を見る。岩場の岩は色々な物が混ざって出来た茶色の岩だが、祠は白くて奇麗な石が使われている。どこから持ってきたんだろう。
「あの村長、ご神体の事くわしくないみたいだった」
確か川が氾濫した際にこの周辺だけ水が溢れなかったんだっけ? 祠うんぬんじゃなくて、単純に岩が防波堤になっているだけだと思う。ただ祠があったのは事実だろうし、村としては何かを祭り上げたかったのかもしれない。
「詳しい事は村長に聞いても無駄だろうな」
「だな。村に戻って知っている人が居ないか聞いてみよう」
村に戻り一応村長に聞いてみたが、やはり知らないそうだ。
他に知ってそうな人が居ないか聞いてみたが、村長が村で一番の古株で、村長より年上は他の街からの移住者らしい。
もうこの村で調べられることは無いだろう。俺達はエリクセンへ帰る事にした。
ゲートを通ってエリクセンに到着した。軍駐屯地へ向かい報告をしたら、報告終了後は速やかにエル・ド・ランへ向かうように言われた。どうやら進展があったらしい。
エル・ド・ランへ向かう前に一度冒険者ギルドへ顔を出した。そういえばこの仕事を受けてから一度もギルドに顔を出してないな俺。
「みんなお帰りー! 今からエル・ド・ランへ向かうところ?」
「ああ、エル・ド・ランへ行く前に顔を出しに来たんだ。紹介したい奴もいるからな」
アニタさんとアズベルが普通に会話している。夫婦になっても変わらないな~。
「紹介しよう、アニタも知ってるだろう? ギルドの受付から華麗に冒険者に転身してタイタンを一人で倒したアセリアの事を」
「確かユグドラさんとルリ子さんに弟子入りしたっていう人?」
「おうさ、彼女がアセリアだ」
俺の隣にいたリアの肩を叩いてアニタさんに紹介した。
「はじめまして、アセリアです」
「はじめましてアニタです。噂は聞いてますよアセリアさん」
「なんだか……恥ずかしいです」
アニタさんはリアの事を知っているけど会うのは初めてのはずだ。昔リアが俺から逃げた時、冒険者を追跡に出してくれたから。
「私も冒険者になろうかな~」
「はぁ!? 何言ってんだお前! ダメに決まってるだろそんなの!」
「なんで? 私だってアセリアさんと同じで一緒に居たいんだよ?」
「そりゃお前ユグドラならアセリアを守れるだろ! 俺じゃアニタを守りきる自信が無い!」
「別に一方的に守ってもらうつもりは無いわよ!」
「だってお前危ないんだぞ冒険者ってのは!」
「そんなのアズベルより知ってるよ!」
ケンカが始まってしまった。普通は喧嘩になるだろうな~、俺だってリアが冒険者になるって言った時は絶対に反対するつもりだったし。でも結果的に冒険者になってもらって良かったと思っている。既に俺の冒険には無くてはならない相棒だ。
アズベルの心配も分かるしアニタさんの言い分も分かる。
つまり、だ。
「アズベルがアニタさんを守れるくらい強ければ問題ないのか?」
二人が俺を見た。
「だからなユグドラ、そんな簡単に強くなれないから困ってるんだぞ?」
「簡単じゃないけど、良い師匠を紹介しようか?」
「は?」
「え?」
リア以外が俺を見た。リアは何も言わずに黙っている。
「俺は斧しか使えないけど、剣の扱いが上手い奴を知ってるから、今度紹介するよ」
「そ、それは願っても無いが、え? いるのかそんな人が」
「ユグドラさんユグドラさん! 弓の師匠はいませんか!?」
アニタさんがカウンターから身を乗り出して聞いてきた。
「いますよ。弓を使いたいのなら紹介します」
「お願いします!!」
大きな川の上流を目指しているが、川魚が多く水草も多いらしい。リアが色々な薬草が沢山あると驚いていた。
上流は少し岩場になっていて、岩が積み上げられた高い位置に祠が見えた。
高さ50センチほどの小さな祠は白い石で作られており木の戸が付いている。
祠の前には村長がお供えしたであろう魚が置いてあった。
「おお、これか」
アズベルが祠の前に立ち戸を開けると、中には石像が入っていた。人型の石像は花の上に立ち、体に数本のツルが巻き付いて両手と両肩に花が咲いている。
この花はどこかで見たような気がする。
「これ、ビジランティだ」
リアが石像を見て驚いている。
「それってマイネの村の廃虚で見つけた毒のある花?」
「うん。毒草を祀ってるの? ロマノフの村って」
「そうだな、ロマノフの村長がビジランティを知らないだけかもしれないし、世間には悪魔を崇拝している奴もいる位だからな」
アズベルの言う通りかもしれない。それに毒草でもなんでも村を守った際、偶然でもこの祠があったのは間違いないだろうから、中身は何でもいいんだろう。
「毒草もそうだけど、私は祠自体が気になるわね。石なら沢山あるのにわざわざ違う石で作られているのは何故かしら。土着信仰なら余計にその地域の物を使うと思うわ」
クリスティに言われて岩を見る。岩場の岩は色々な物が混ざって出来た茶色の岩だが、祠は白くて奇麗な石が使われている。どこから持ってきたんだろう。
「あの村長、ご神体の事くわしくないみたいだった」
確か川が氾濫した際にこの周辺だけ水が溢れなかったんだっけ? 祠うんぬんじゃなくて、単純に岩が防波堤になっているだけだと思う。ただ祠があったのは事実だろうし、村としては何かを祭り上げたかったのかもしれない。
「詳しい事は村長に聞いても無駄だろうな」
「だな。村に戻って知っている人が居ないか聞いてみよう」
村に戻り一応村長に聞いてみたが、やはり知らないそうだ。
他に知ってそうな人が居ないか聞いてみたが、村長が村で一番の古株で、村長より年上は他の街からの移住者らしい。
もうこの村で調べられることは無いだろう。俺達はエリクセンへ帰る事にした。
ゲートを通ってエリクセンに到着した。軍駐屯地へ向かい報告をしたら、報告終了後は速やかにエル・ド・ランへ向かうように言われた。どうやら進展があったらしい。
エル・ド・ランへ向かう前に一度冒険者ギルドへ顔を出した。そういえばこの仕事を受けてから一度もギルドに顔を出してないな俺。
「みんなお帰りー! 今からエル・ド・ランへ向かうところ?」
「ああ、エル・ド・ランへ行く前に顔を出しに来たんだ。紹介したい奴もいるからな」
アニタさんとアズベルが普通に会話している。夫婦になっても変わらないな~。
「紹介しよう、アニタも知ってるだろう? ギルドの受付から華麗に冒険者に転身してタイタンを一人で倒したアセリアの事を」
「確かユグドラさんとルリ子さんに弟子入りしたっていう人?」
「おうさ、彼女がアセリアだ」
俺の隣にいたリアの肩を叩いてアニタさんに紹介した。
「はじめまして、アセリアです」
「はじめましてアニタです。噂は聞いてますよアセリアさん」
「なんだか……恥ずかしいです」
アニタさんはリアの事を知っているけど会うのは初めてのはずだ。昔リアが俺から逃げた時、冒険者を追跡に出してくれたから。
「私も冒険者になろうかな~」
「はぁ!? 何言ってんだお前! ダメに決まってるだろそんなの!」
「なんで? 私だってアセリアさんと同じで一緒に居たいんだよ?」
「そりゃお前ユグドラならアセリアを守れるだろ! 俺じゃアニタを守りきる自信が無い!」
「別に一方的に守ってもらうつもりは無いわよ!」
「だってお前危ないんだぞ冒険者ってのは!」
「そんなのアズベルより知ってるよ!」
ケンカが始まってしまった。普通は喧嘩になるだろうな~、俺だってリアが冒険者になるって言った時は絶対に反対するつもりだったし。でも結果的に冒険者になってもらって良かったと思っている。既に俺の冒険には無くてはならない相棒だ。
アズベルの心配も分かるしアニタさんの言い分も分かる。
つまり、だ。
「アズベルがアニタさんを守れるくらい強ければ問題ないのか?」
二人が俺を見た。
「だからなユグドラ、そんな簡単に強くなれないから困ってるんだぞ?」
「簡単じゃないけど、良い師匠を紹介しようか?」
「は?」
「え?」
リア以外が俺を見た。リアは何も言わずに黙っている。
「俺は斧しか使えないけど、剣の扱いが上手い奴を知ってるから、今度紹介するよ」
「そ、それは願っても無いが、え? いるのかそんな人が」
「ユグドラさんユグドラさん! 弓の師匠はいませんか!?」
アニタさんがカウンターから身を乗り出して聞いてきた。
「いますよ。弓を使いたいのなら紹介します」
「お願いします!!」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる