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56 秘密の婚約披露パーティを
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「き、君が手紙と共に送ってくれたペンや詩集は……」
「アリシアは今までほとんど買い物に出かけたことはありません。人混みは風邪などが移りやすい。それに家に来ていた商人から若い男性に贈るようなものは買ったことがないですよ」
いやだわ、それは訂正よ。
「エ、エヴァンお兄様に差し上げた物は買いましたよ? あの水色のハンカチとか」
「ああ、あれか。可愛い雲の刺繍がしてある」
「あ、あれは薔薇です! あの頃はまだ下手だっただけですからね?!」
流石にちょっと失礼だわ、なんて思ってたらミオさんにやけに優しい眼差しを向けられてしまった。
「可愛いんだぁ、アリシア様」
「えっ、な、なにを仰るのかしらっミオさんっ」
「普通にイチャイチャしてて……もう可愛いんだから!」
「イ、イチャイチャなんてしてませんっ」
ふ、普通です、お兄様とは普通に過ごしています、本当です! でもそう言われると妙に恥ずかしくなって俯いてしまう。どうしてそんなこというのかしら、ミオさんは!
「王太子殿下、その我が家の母とアリシアの名を語った手紙をお借りしても宜しいですか? 我が家も何者かの陰謀であれば早急に対処しなければいけませんので」
「え……あの、その……」
殿下は本能的なのか渡しては不味いと気が付いたらしい。二、三歩後退りながら、手紙を自分の体の後ろへ隠そうとしている。どうしてなのだろう……殿下にはなんの不都合もないと思うのだけれど。
「クレス」
「そうだな、エヴァン……殿下、お借りするだけです。さあ」
「うっ……」
使えない使えないと皆から弄られ続けたクレス様だけれど、こういう場面ではとても頼りになる。ずいっと王太子殿下の前まで歩み出て、有無を言わさずゆっくりと手紙を取り上げた。
「鑑定結果が出次第、ご報告に参ります」
「いや、その……よろしく、頼む……」
そういうしか選択肢は残されていない。だって王太子殿下も騙されていた、ということになるんだもの。騒ぎ立てれば一大事になりえる事柄なんだから。
「では我々はこれにて失礼いたします。もうご用事もないでしょうから」
エヴァンお兄様の皮肉の聞いた台詞を殿下は呆然と聞いていたけれど、私達は殿下を置いて出て行く。きっと殿下も一人で色々考える時間が欲しいでしょうからね。それにしてもこんな形で婚約破棄騒動みたいなものが起こるなんて、凄く不思議だった。内容は全然違ったけれど、これが強制力なのかしら……?
「それにしても~ブランシェ様、どなたと婚約なさるんです!?」
「あら、聖女ミオ。そういう事だけはよく覚えていますのね」
「えーだって楽しいですもん!」
今度はブランシェ様にミオさんがまとわりついて行っているけれど、ブランシェ様が嫌がっていないのは、ミオさんの人柄かな?
「ふふ、そのうち皆さんを婚約披露パーティにお呼びしますのでお楽しみに。で宜しいかしら? 聖女に出席していただければ箔が付きますし」
そ、そういう下心もおありになったのね。
「それくらいお安い御用ですよー! たかが聖女の祝福で良ければいくらでもおつけします!」
「あら頼もしいわ」
聖女の祝福なんて、誰でも喉から手が出るほど欲しがるものでしょうに、ミオさんにかかっては「たかが」なことになってしまうんですね。
「アリシアも是非来てね。「妖精の祝福」もあれば話題性も抜群ですし」
「私で良ければいくらでも」
「ふふ、本当に私は良いお友達に恵まれましたわ」
ブランシェ様のお役に立てるのはとても嬉しい。きっとミオさんも同じような気持ちなのかしら? がっくり肩を落としている王太子殿下の事はすっかり忘れて、ブランシェ様のパーティの話で盛り上がりながらとても楽しく帰らせてもらいました。
「アリシアは今までほとんど買い物に出かけたことはありません。人混みは風邪などが移りやすい。それに家に来ていた商人から若い男性に贈るようなものは買ったことがないですよ」
いやだわ、それは訂正よ。
「エ、エヴァンお兄様に差し上げた物は買いましたよ? あの水色のハンカチとか」
「ああ、あれか。可愛い雲の刺繍がしてある」
「あ、あれは薔薇です! あの頃はまだ下手だっただけですからね?!」
流石にちょっと失礼だわ、なんて思ってたらミオさんにやけに優しい眼差しを向けられてしまった。
「可愛いんだぁ、アリシア様」
「えっ、な、なにを仰るのかしらっミオさんっ」
「普通にイチャイチャしてて……もう可愛いんだから!」
「イ、イチャイチャなんてしてませんっ」
ふ、普通です、お兄様とは普通に過ごしています、本当です! でもそう言われると妙に恥ずかしくなって俯いてしまう。どうしてそんなこというのかしら、ミオさんは!
「王太子殿下、その我が家の母とアリシアの名を語った手紙をお借りしても宜しいですか? 我が家も何者かの陰謀であれば早急に対処しなければいけませんので」
「え……あの、その……」
殿下は本能的なのか渡しては不味いと気が付いたらしい。二、三歩後退りながら、手紙を自分の体の後ろへ隠そうとしている。どうしてなのだろう……殿下にはなんの不都合もないと思うのだけれど。
「クレス」
「そうだな、エヴァン……殿下、お借りするだけです。さあ」
「うっ……」
使えない使えないと皆から弄られ続けたクレス様だけれど、こういう場面ではとても頼りになる。ずいっと王太子殿下の前まで歩み出て、有無を言わさずゆっくりと手紙を取り上げた。
「鑑定結果が出次第、ご報告に参ります」
「いや、その……よろしく、頼む……」
そういうしか選択肢は残されていない。だって王太子殿下も騙されていた、ということになるんだもの。騒ぎ立てれば一大事になりえる事柄なんだから。
「では我々はこれにて失礼いたします。もうご用事もないでしょうから」
エヴァンお兄様の皮肉の聞いた台詞を殿下は呆然と聞いていたけれど、私達は殿下を置いて出て行く。きっと殿下も一人で色々考える時間が欲しいでしょうからね。それにしてもこんな形で婚約破棄騒動みたいなものが起こるなんて、凄く不思議だった。内容は全然違ったけれど、これが強制力なのかしら……?
「それにしても~ブランシェ様、どなたと婚約なさるんです!?」
「あら、聖女ミオ。そういう事だけはよく覚えていますのね」
「えーだって楽しいですもん!」
今度はブランシェ様にミオさんがまとわりついて行っているけれど、ブランシェ様が嫌がっていないのは、ミオさんの人柄かな?
「ふふ、そのうち皆さんを婚約披露パーティにお呼びしますのでお楽しみに。で宜しいかしら? 聖女に出席していただければ箔が付きますし」
そ、そういう下心もおありになったのね。
「それくらいお安い御用ですよー! たかが聖女の祝福で良ければいくらでもおつけします!」
「あら頼もしいわ」
聖女の祝福なんて、誰でも喉から手が出るほど欲しがるものでしょうに、ミオさんにかかっては「たかが」なことになってしまうんですね。
「アリシアも是非来てね。「妖精の祝福」もあれば話題性も抜群ですし」
「私で良ければいくらでも」
「ふふ、本当に私は良いお友達に恵まれましたわ」
ブランシェ様のお役に立てるのはとても嬉しい。きっとミオさんも同じような気持ちなのかしら? がっくり肩を落としている王太子殿下の事はすっかり忘れて、ブランシェ様のパーティの話で盛り上がりながらとても楽しく帰らせてもらいました。
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