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55 秘密の手紙の主は?
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「お判りですよね」
「……ま、まさか」
むしろ今まで気が付いていない方が不思議でならない気がする。まさか母と娘が同じ封筒を使い……これはあり得るかもしれないが、同じ筆跡で手紙を書く事なんてあるだろうか。
「こ、このフェンルース夫人の手紙には、アリシアは私と婚約を熱望している、今は学園に通えるほどの体力もついたから王妃としてもやって行けるだろう。もし、子供を産むことが難しければ側妃として仲の良いブランシェ・ルストバーン嬢を、と……このことはルストバーン家にも確約済みと……」
とんでもない内容の上にブランシェ様にまで飛び火をしたわ……なんだか申し訳ない。
「恐れながら殿下、私はそのようなお話は一切聞かされておりませんし、我が家で私が側妃候補に上げられていることも伝わっておりませんね。私は別の殿方との婚約のお話が進んでおります。もちろん両親もそちらの方との婚約にはとても賛成しておりますから」
す、っとブランシェ様がほんの少しだけ前に歩み出て、殿下の訴えを真っ向から切り捨てた。そしてとどめを刺してゆく。
「まさかとは思いますが、その我が家からの手紙というのはそちらと同じくピンク色の封筒に入っていた訳ではございませんよね?それと我が家の封蝋は氷塊とドラゴンでございます。それ以外の封蝋は使用いたしませんし、それ以外のものは我が家からの正式な手紙ではないと断言できますわ」
「うっ……」
殿下の顔色が物凄く悪いけれど、きっとそうなのね。まったく一緒にピンクの封筒にピンクの便箋……もしかしたら封蝋も百合なのかもしれないし……きっと見比べたら文字もまったく同じなのかもしれない。そのことにやっと殿下はお気づきになられたようだった……。
でも「北のドラゴン」と呼ばれて恐れられるルストバーン家のご令嬢のドラゴンの尻尾を踏んでしまったのは大失敗だと思うわ。
「殿下、もしよろしければその我が家から送られたという手紙をお持ちではございませんか?できれば頂きたいのですが。我が家の名を語る不届き者は我が家の名において成敗せねばなりませんわ……そう、それが例え王妃様であろうとも」
「は、母上がそのようなことをするはずがない……」
ない、と言いながら語尾が力なく消えゆく殿下。流石にこれはここに集まった人全員が思ったことでしょう。こんなことをして得をするのは一体だれなのか。それは一つしかなくて、殿下と私を結婚させて手元に私を置きたい人……国王陛下と王妃殿下だろうということ。そして手紙は全部女性からのみ送られていること……手紙を書いた人は女性であること。
他の貴族達も私と殿下の結婚は反対している訳ではない。でも私が病弱であること考慮し、自分の家紋から未来の王妃をと願う方が多いので、策を弄してまで殿下の婚約者に私を宛がいたいと思っている人は誰一人としていないこと。
だからこんな小細工を考えるのはかなり人数が絞られている。
「ま、まさか……」
殿下は信じられない様子だけれど、エヴァンお兄様がはっきりと言い切る。
「ともかく、この手紙は我が家にはまったく関係のない事実無根。どなたかの創作であると考えられます。つまりアリシアは殿下のことをお慕いしたことは一度としてなく、私との婚約は本人も両親も歓迎している。故に私とアリシアの婚約は継続し、卒業後は結婚いたします」
「い、一度も……す、好きになったことがない……?そ、そうすると、ずっと……ずっと届いていた手紙は」
「アリシアは一度も殿下に手紙を書いたことはありませんよ、そうだよね、アリシア」
私は大きく頷いて肯定する。
「はい、私は殿下にこれまで一度も手紙を差し上げたことはございません。しかも恋文のようなものは絶対にありえませんわ」
「ぜ、絶対に……ありえない……」
「ええ、絶対に、ありえませんわ」
しっかりはっきり言い切ってやった。ついでに2回繰り返してあげたから、これでやっと私の真意は伝わったでしょう!
「……ま、まさか」
むしろ今まで気が付いていない方が不思議でならない気がする。まさか母と娘が同じ封筒を使い……これはあり得るかもしれないが、同じ筆跡で手紙を書く事なんてあるだろうか。
「こ、このフェンルース夫人の手紙には、アリシアは私と婚約を熱望している、今は学園に通えるほどの体力もついたから王妃としてもやって行けるだろう。もし、子供を産むことが難しければ側妃として仲の良いブランシェ・ルストバーン嬢を、と……このことはルストバーン家にも確約済みと……」
とんでもない内容の上にブランシェ様にまで飛び火をしたわ……なんだか申し訳ない。
「恐れながら殿下、私はそのようなお話は一切聞かされておりませんし、我が家で私が側妃候補に上げられていることも伝わっておりませんね。私は別の殿方との婚約のお話が進んでおります。もちろん両親もそちらの方との婚約にはとても賛成しておりますから」
す、っとブランシェ様がほんの少しだけ前に歩み出て、殿下の訴えを真っ向から切り捨てた。そしてとどめを刺してゆく。
「まさかとは思いますが、その我が家からの手紙というのはそちらと同じくピンク色の封筒に入っていた訳ではございませんよね?それと我が家の封蝋は氷塊とドラゴンでございます。それ以外の封蝋は使用いたしませんし、それ以外のものは我が家からの正式な手紙ではないと断言できますわ」
「うっ……」
殿下の顔色が物凄く悪いけれど、きっとそうなのね。まったく一緒にピンクの封筒にピンクの便箋……もしかしたら封蝋も百合なのかもしれないし……きっと見比べたら文字もまったく同じなのかもしれない。そのことにやっと殿下はお気づきになられたようだった……。
でも「北のドラゴン」と呼ばれて恐れられるルストバーン家のご令嬢のドラゴンの尻尾を踏んでしまったのは大失敗だと思うわ。
「殿下、もしよろしければその我が家から送られたという手紙をお持ちではございませんか?できれば頂きたいのですが。我が家の名を語る不届き者は我が家の名において成敗せねばなりませんわ……そう、それが例え王妃様であろうとも」
「は、母上がそのようなことをするはずがない……」
ない、と言いながら語尾が力なく消えゆく殿下。流石にこれはここに集まった人全員が思ったことでしょう。こんなことをして得をするのは一体だれなのか。それは一つしかなくて、殿下と私を結婚させて手元に私を置きたい人……国王陛下と王妃殿下だろうということ。そして手紙は全部女性からのみ送られていること……手紙を書いた人は女性であること。
他の貴族達も私と殿下の結婚は反対している訳ではない。でも私が病弱であること考慮し、自分の家紋から未来の王妃をと願う方が多いので、策を弄してまで殿下の婚約者に私を宛がいたいと思っている人は誰一人としていないこと。
だからこんな小細工を考えるのはかなり人数が絞られている。
「ま、まさか……」
殿下は信じられない様子だけれど、エヴァンお兄様がはっきりと言い切る。
「ともかく、この手紙は我が家にはまったく関係のない事実無根。どなたかの創作であると考えられます。つまりアリシアは殿下のことをお慕いしたことは一度としてなく、私との婚約は本人も両親も歓迎している。故に私とアリシアの婚約は継続し、卒業後は結婚いたします」
「い、一度も……す、好きになったことがない……?そ、そうすると、ずっと……ずっと届いていた手紙は」
「アリシアは一度も殿下に手紙を書いたことはありませんよ、そうだよね、アリシア」
私は大きく頷いて肯定する。
「はい、私は殿下にこれまで一度も手紙を差し上げたことはございません。しかも恋文のようなものは絶対にありえませんわ」
「ぜ、絶対に……ありえない……」
「ええ、絶対に、ありえませんわ」
しっかりはっきり言い切ってやった。ついでに2回繰り返してあげたから、これでやっと私の真意は伝わったでしょう!
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