【完結】悪役令嬢はご病弱!溺愛されても断罪後は引き篭もりますわよ?

鏑木 うりこ

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65 そんな秘密はないはずです

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「あ、あの……どういう事、ですか」
「なんだ、両親から聞いていないのか」

 国王陛下は意外だという声で答えてくれた。

「我が王家は代々妖精の加護があるものが王になってきた。だからフェンルースの妖精の血を引くものを迎え入れることは王として必要な事なのだ」

 そ、そんなの聞いたことがない。絶対ウソだ!だってそうじゃなきゃ、現在の国王陛下が王になっている説明がつかないじゃない。それにお祖父様もお祖母様も王家になんて嫁いでいなかったし、その先代も関りがなかったはず。体の弱いフェンルースの一族はこの家門を繋いでいくのに精いっぱいで王家に人を出している余裕なんてなかったもの。

「だからアリシアがヴィクターの元に嫁いでこれはすべて丸く収まるのだ。リッツプールを持ち上げる貴族共もこぞって私の足元にひれ伏すだろうよ」
「そうだわ、私のことを馬鹿にした人達も以前のように傅いてくるのよ」

 ぞわっと寒気が背中を駆け上がる。この人達はおかしい……こんな人たちがこの国を動かしていたの?こんな自分達は何もしないで、役に立っているかどうかわからないフェンルースの妖精を見ることができる力を頼りに国王であろうとしているの?何故、ファルク様のお父様のリッツプール大公のように勉強し、人の話を聞いて政策を作ったりしないの?あまり政治に参加しない私だってわかるわ、この人達がおかしなことを言っているのは。

「……殿下……ヴィクター殿下も、同じお考えなのですか……?」

 一縷の望みをかけて殿下を見ると、寒気の度合いが上がってしまった。目の色がおかしい!

「もちろんだとも、アリシア……父上と母上の仰ることは正しい……アリシアが私の妻になれば母上が私に懸想したなどという訳の分からない気持ちの悪い噂も消えようものだ……アリシアの気持ち一つだよ……」
「ひっ……」

 私は聞いたことがなかったのだが、そんな気持ちの悪い噂が王宮から漏れ出て、街に広がっていたらしい。王妃殿下が私になり切って恋文を殿下に書いていた、そして殿下はそれに返事を出す。ご丁寧に贈り物もつけて。もちろん贈り物は私には届かない、届ば我が家から連絡が行くだろうから、殿下の贈り物は途中で王妃殿下に届くようになっていたんだろう……。二人の間には親子の情はあっても、恋人に向ける愛情はなかったはずだが、そこを面白おかしくなのか、噂話ゆえの尾ひれなのか……気持ちの悪い形で広まってしまったようだ。
 王家の良くない噂は平民にとっては美味しいごちそうなんだから。それを罰する事なんてできない。

「さあ、アリシア。私と結婚してくれるね?私と我が王家の為に必要な事だ」

 殿下がおかしくなっている……元々あまり強そうな人ではなかったけれど、心ない噂で疲弊してしまったようだ……。ゲームで見た時は頼りがいのある素敵な王子様だと思ったのに、今はただの気持ちの悪い狂人にしかみえなかった……。

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