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「噛みたい」
「……」
旦那様は私を後ろから抱きしめてうなじに顔を埋めながら呟いた。
「あの……」
「いや、分かっている。私はもう少し反省すべきだ。本当にすまなかったアクア」
「いえ、ですから」
「ああ、堪らないな……アクア、アクア。私のつがい、良い匂いだ……噛みたい」
さっきからずっとこの繰り返し。良いですよ、と言いたかったのに旦那様は最後まで言わせてくれない。あれから私は旦那様とずっと密着している。旦那様も私を離さないし、私もなんだか離れがたい。この人にくっ付いているととても安らいでいられる。今までアメシスに怯えて生きて来たのが嘘のように暖かくて気持ちが良い。
「……つがい」
私のつがい、旦那様はそうおっしゃる。つがい、本で読んだことがあるけれど、本当に?私なんかがこんな美しい人のつがいでいいのか?私の様にビクビクと怯え命令されて生きてきた平民がこんな素晴らしい人のつがいで良い訳がないのに……。
「アクア、アクア……どうした?悲しい顔をしている。ああ、私が悪かった、無理やり私の元に連れて来たのに、何日も放置して……分かっている、自分勝手で都合がいい私を許せなどとは言えない。でももう君を手放せないんだ……アクア、アクア……どうしたら君は少しでも笑顔になれる?馬鹿な私に教えておくれ」
必死で懇願してくる旦那様。違う、違うんです……あなたのせいじゃない。
「旦那様……別に私は旦那様の事が……」
「それ以上言わないでくれ!君にこれ以上嫌われたら私はどう生きて行けばいいか分からない!」
またか……流石にちょっとイライラしてきた。旦那様の事は……旦那様の事は……。
「もう!最後まで聞いてくださいよ!!私だってそろそろ怒りますけど!?旦那様の事は好きですけどっ!?何か文句あります!?」
大声で叫んでしまった……しまった、なんて態度が悪いんだ。これは流石に叱られる。旦那様はきょとんと驚いたかっこいい以外の顔をして、まじまじとこちらを見てから笑った。コチコチになっていた砂糖の塊がお茶の中でさぁっと溶けていくようだなと思うくらいの変化だった。
「は、はは?本当かい?」
「え?ええ……確かに最初はどうなる事と思いましたが、旦那様は暖かいし、良い匂いがするし……その、お素敵ですし……」
後なんだろう……色々あるんだけど、言い表せない。とにかく旦那様の事が好きみたいなんだ。そこまで考えて自分がとても恥ずかしい事を叫んだ事に気がついた。かあっと顔に熱が集まって行くのが分かる。駄目だ、恥ずかしい!
「アクア……首まで赤い」
「ほっといて下さい!今、私はすごく恥ずかしいんです」
「可愛い、可愛い……私のアクア……」
そうやってまた抱きしめるから、私はずっと真っ赤のままだった。
(о´∀`о)この異世界には角砂糖っぽい物があると思っていただけると嬉しいです。但しとても高価で物凄い偉い人のお茶会にだけ登場する。
「……」
旦那様は私を後ろから抱きしめてうなじに顔を埋めながら呟いた。
「あの……」
「いや、分かっている。私はもう少し反省すべきだ。本当にすまなかったアクア」
「いえ、ですから」
「ああ、堪らないな……アクア、アクア。私のつがい、良い匂いだ……噛みたい」
さっきからずっとこの繰り返し。良いですよ、と言いたかったのに旦那様は最後まで言わせてくれない。あれから私は旦那様とずっと密着している。旦那様も私を離さないし、私もなんだか離れがたい。この人にくっ付いているととても安らいでいられる。今までアメシスに怯えて生きて来たのが嘘のように暖かくて気持ちが良い。
「……つがい」
私のつがい、旦那様はそうおっしゃる。つがい、本で読んだことがあるけれど、本当に?私なんかがこんな美しい人のつがいでいいのか?私の様にビクビクと怯え命令されて生きてきた平民がこんな素晴らしい人のつがいで良い訳がないのに……。
「アクア、アクア……どうした?悲しい顔をしている。ああ、私が悪かった、無理やり私の元に連れて来たのに、何日も放置して……分かっている、自分勝手で都合がいい私を許せなどとは言えない。でももう君を手放せないんだ……アクア、アクア……どうしたら君は少しでも笑顔になれる?馬鹿な私に教えておくれ」
必死で懇願してくる旦那様。違う、違うんです……あなたのせいじゃない。
「旦那様……別に私は旦那様の事が……」
「それ以上言わないでくれ!君にこれ以上嫌われたら私はどう生きて行けばいいか分からない!」
またか……流石にちょっとイライラしてきた。旦那様の事は……旦那様の事は……。
「もう!最後まで聞いてくださいよ!!私だってそろそろ怒りますけど!?旦那様の事は好きですけどっ!?何か文句あります!?」
大声で叫んでしまった……しまった、なんて態度が悪いんだ。これは流石に叱られる。旦那様はきょとんと驚いたかっこいい以外の顔をして、まじまじとこちらを見てから笑った。コチコチになっていた砂糖の塊がお茶の中でさぁっと溶けていくようだなと思うくらいの変化だった。
「は、はは?本当かい?」
「え?ええ……確かに最初はどうなる事と思いましたが、旦那様は暖かいし、良い匂いがするし……その、お素敵ですし……」
後なんだろう……色々あるんだけど、言い表せない。とにかく旦那様の事が好きみたいなんだ。そこまで考えて自分がとても恥ずかしい事を叫んだ事に気がついた。かあっと顔に熱が集まって行くのが分かる。駄目だ、恥ずかしい!
「アクア……首まで赤い」
「ほっといて下さい!今、私はすごく恥ずかしいんです」
「可愛い、可愛い……私のアクア……」
そうやってまた抱きしめるから、私はずっと真っ赤のままだった。
(о´∀`о)この異世界には角砂糖っぽい物があると思っていただけると嬉しいです。但しとても高価で物凄い偉い人のお茶会にだけ登場する。
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※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
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