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20 そんなのずるいよ!
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「はあ?銀髪で目が水色の若い男ぉ?そりゃあアレだろ、悪魔公爵の天使のお嫁さんアクア様!」
「あの悪魔公爵が惚れに惚れてるつがい様だもんなー!それに俺達にも優しいし!」
「アクア様が来てからこの国は明るくなったよなー!」
「お!噂をすれば公爵家の馬車だ。今日はアクア様は乗ってらっしゃるのかな??」
「すぐ分かるよ!」
その男が聞き込みをすると、すぐに情報は集まった。しかもちょうどよく目当ての人物が乗っているらしい馬車まで通りかかる。
街にいくつかある検問所の衛兵が公爵家の家紋が入った馬車を遠目に見つけて走って整列する。何せ粗相をすればクビが飛ばされる悪魔公爵の馬車だ。
衛兵達は救いを求める様に御者を注視する。目の合った御者はこくり、と小さく頷いて、両手で大きな丸を作った。
「いらっしゃる!本日はアクア様がいらっしゃる!!」
衛兵全員、安堵の溜息をこれでもかとついた。
「今日は誰もクビにならずに済む!」
「ああ!アクア様!お願いですからずっと悪魔を封印し続けて下さい!」
馬車が近づくと衛兵達はいつもの真面目な面持ちに戻り整列して馬車を迎える。
「ご苦労様です。いつもありがとうございます」
「いえ!お気遣い感謝致します!!」
びっ!と馬車の少しだけ開いた窓に敬礼する。
「アクア、私以外の男と言葉を交わすな」
「旦那様?皆さんは安全と平和の為のお仕事をしてるのですよ?感謝はすべきです。それに私が浮気でもすると思っていらっしゃるのですか?」
「それはないが、つまらん嫉妬をする男は嫌いか?」
「ふふ、好きですよ」
そんな睦言のような短いやり取りのあと、馬車は行ってしまう。馬車が小さくなると、衛兵は深呼吸して、わいわいと騒ぎ出す。
「……俺もお嫁さん欲しいーーわー!」
「うわーーー!あっつーい!本当にイチャイチャしてんだもんなー!」
クレスト家に雇われた男は見てきた事を事細かに雇い主に伝える。
「ほ、本当にあのアクアなのか??」
「間違いないと思います。こちらのご子息にそっくりで、瞳の色は水色となれば、かのタングストン公の奥様で間違いないかと」
「嘘、嘘でしょ!!なんで悪役令息がそんな幸せになってるのさ!ボクがこんなに困ってるのに!!」
地団駄を踏む勢いで怒りを顕にするが、アメシスは窮地に立たされていた。
「駄目だ、アメシス。もう庇い切れん。一体どうしたんだ??今までの優秀なお前は何処へ行ったんだ……?このままでは私の婚約者の座も退いてもらわねばならない」
「そ、そんな、そんな酷いですぅ!」
「ならば死ぬ気で取り戻すんだ。それにお前の学園での行動に疑問を持つ声が上がっている……」
そ、そんな……誰にもバレていないはずなのに!ボクはいやーな汗が滲むのを必死で隠して殿下に笑いかけるが、殿下の目はとても冷たい。
「アメシスとアクア……双子だが、筆跡の差異はあるはずなのに、似過ぎている。まるでどちらかがどちらかの筆跡に合わせたようだと」
そんなのはボクがアクアにボクの真似をする様に言ったに決まってるじゃん!だから、ボク達の字はそっくりになっているんだ。
「だが、鑑定をかければどちらのものか分かるのだよ、アメシス……」
「っ?!」
も、もしかして殿下にもバレちゃったの?!ボクの代わりにアクアにテストを受けさせてたことが!まずいじゃん!!
「アメシス、自分の力で実力を皆に示すんだ、良いね?私は君の事が好きだ。しかし王太子妃、ひいてはこの国の王妃になる者にはそれ相応の実力がなくてはいけないんだ。わかるね?アメシス」
「……はい、殿下……」
もう一生懸命やるしか無かった。でも8歳の頃からアクアに面倒を押し付け続けてきたボクのやるべき事は山積み過ぎて一年や2年では終わりそうになかった。
アクアを呼んでボクの補佐についてもらうしか道はないのに!そんな可愛がられてるなんてずるいよ!!
「あの悪魔公爵が惚れに惚れてるつがい様だもんなー!それに俺達にも優しいし!」
「アクア様が来てからこの国は明るくなったよなー!」
「お!噂をすれば公爵家の馬車だ。今日はアクア様は乗ってらっしゃるのかな??」
「すぐ分かるよ!」
その男が聞き込みをすると、すぐに情報は集まった。しかもちょうどよく目当ての人物が乗っているらしい馬車まで通りかかる。
街にいくつかある検問所の衛兵が公爵家の家紋が入った馬車を遠目に見つけて走って整列する。何せ粗相をすればクビが飛ばされる悪魔公爵の馬車だ。
衛兵達は救いを求める様に御者を注視する。目の合った御者はこくり、と小さく頷いて、両手で大きな丸を作った。
「いらっしゃる!本日はアクア様がいらっしゃる!!」
衛兵全員、安堵の溜息をこれでもかとついた。
「今日は誰もクビにならずに済む!」
「ああ!アクア様!お願いですからずっと悪魔を封印し続けて下さい!」
馬車が近づくと衛兵達はいつもの真面目な面持ちに戻り整列して馬車を迎える。
「ご苦労様です。いつもありがとうございます」
「いえ!お気遣い感謝致します!!」
びっ!と馬車の少しだけ開いた窓に敬礼する。
「アクア、私以外の男と言葉を交わすな」
「旦那様?皆さんは安全と平和の為のお仕事をしてるのですよ?感謝はすべきです。それに私が浮気でもすると思っていらっしゃるのですか?」
「それはないが、つまらん嫉妬をする男は嫌いか?」
「ふふ、好きですよ」
そんな睦言のような短いやり取りのあと、馬車は行ってしまう。馬車が小さくなると、衛兵は深呼吸して、わいわいと騒ぎ出す。
「……俺もお嫁さん欲しいーーわー!」
「うわーーー!あっつーい!本当にイチャイチャしてんだもんなー!」
クレスト家に雇われた男は見てきた事を事細かに雇い主に伝える。
「ほ、本当にあのアクアなのか??」
「間違いないと思います。こちらのご子息にそっくりで、瞳の色は水色となれば、かのタングストン公の奥様で間違いないかと」
「嘘、嘘でしょ!!なんで悪役令息がそんな幸せになってるのさ!ボクがこんなに困ってるのに!!」
地団駄を踏む勢いで怒りを顕にするが、アメシスは窮地に立たされていた。
「駄目だ、アメシス。もう庇い切れん。一体どうしたんだ??今までの優秀なお前は何処へ行ったんだ……?このままでは私の婚約者の座も退いてもらわねばならない」
「そ、そんな、そんな酷いですぅ!」
「ならば死ぬ気で取り戻すんだ。それにお前の学園での行動に疑問を持つ声が上がっている……」
そ、そんな……誰にもバレていないはずなのに!ボクはいやーな汗が滲むのを必死で隠して殿下に笑いかけるが、殿下の目はとても冷たい。
「アメシスとアクア……双子だが、筆跡の差異はあるはずなのに、似過ぎている。まるでどちらかがどちらかの筆跡に合わせたようだと」
そんなのはボクがアクアにボクの真似をする様に言ったに決まってるじゃん!だから、ボク達の字はそっくりになっているんだ。
「だが、鑑定をかければどちらのものか分かるのだよ、アメシス……」
「っ?!」
も、もしかして殿下にもバレちゃったの?!ボクの代わりにアクアにテストを受けさせてたことが!まずいじゃん!!
「アメシス、自分の力で実力を皆に示すんだ、良いね?私は君の事が好きだ。しかし王太子妃、ひいてはこの国の王妃になる者にはそれ相応の実力がなくてはいけないんだ。わかるね?アメシス」
「……はい、殿下……」
もう一生懸命やるしか無かった。でも8歳の頃からアクアに面倒を押し付け続けてきたボクのやるべき事は山積み過ぎて一年や2年では終わりそうになかった。
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