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1 空前絶後の絶対☆社畜マン・死す!
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「レーツィア!お前の顔は見飽きた!お前とは婚約破棄し、代わりに愛しいミリアーヌを私の婚約者とする!」
「本当によろしいのですね?ディエス様」
これを皮切りに行われた断罪劇があった。正義は婚約破棄された令嬢側にあり、周囲の評価通り無能な王太子は誘惑してきた男爵令嬢と共に闇に葬られた。
元王太子ディエスの弟エイダンがいた為、国は滅びはしなかったが、大打撃を受けた、そんな事件。
「ないわー……ない……」
廃嫡され、地方の小さな領地に「療養」に出される元王太子ディエス。護衛という名の見張りに囲まれ、彼はこれから一生田舎の片隅で小さくなって暮らしていかねばならない。
「なんでそんなヤツに転移させられんの……」
ガタゴトと逃げ出せないように鍵までかけられた馬車で1人揺られているのはディエス……の中の人、地球では「田中和志」と呼ばれていた一匹の社畜である。
空前絶後の絶対⭐︎社畜マン「田中和志」はタイムカード上は10連勤、実質は60連勤の末、駅のベンチで心臓発作を起こし死んでしまうと言うそれはそれは現代的な死に方をした。
「ああ、生まれ変わったら片田舎でスローライフを送りながらゆっくり暮らしたい……」
彼の最後の呟きは神に聞き届けられたのだ!
「と、言う訳で。片田舎でのスローライフ、ご用意出来ました!」
「……怪しいです」
死んだ和志は金髪の美形な神様の前に立っていたけれど、絶対⭐︎社畜マンの嗅覚はこの神様の言葉のきな臭さをビンビンに感じ取っていたのだ。
この美形神、社畜臭がする!と。
「……分かりました。ざっくり言います。貴方の転移先は断罪され、廃嫡されて島流しの元王太子です!」
「チェンジで」
「もう決定事項です」
「ぬおおおおーー!」
美形だが目の下のクマを隠しきれない神様は疲れたと言いながら、いつのまにか現れた椅子にぐったり身を預ける。死ぬ直前の和志そっくりである。この人死ぬんじゃないかと少しハラハラしてしまう、生きてた。
「私の上司が「悪役令嬢ざまぁ断罪モノ」が好きで好きで堪らない人なんです。会社でもいるでしょう?横暴なんだけど、仕事出来る奴、それなんです」
「あーーー……しんどい」
2人はため息をこれでもかと吐き出す。
「で、その断罪された馬鹿王子の魂なんですけど……反省を促す前に次へ持っていっちゃったんです!あの馬鹿上司は!!」
「はあ?」
社畜神の言う事には、馬鹿王子の魂は別の世界に送り込まれ、また新たなる断罪劇を繰り返すのだそう。
「反省する前に連れてくんですよ!酷くないですか?!だからざまぁは減らない!あーもーー!」
「あーご苦労様です……」
和志は神様に心底同情してしまった。
「本当によろしいのですね?ディエス様」
これを皮切りに行われた断罪劇があった。正義は婚約破棄された令嬢側にあり、周囲の評価通り無能な王太子は誘惑してきた男爵令嬢と共に闇に葬られた。
元王太子ディエスの弟エイダンがいた為、国は滅びはしなかったが、大打撃を受けた、そんな事件。
「ないわー……ない……」
廃嫡され、地方の小さな領地に「療養」に出される元王太子ディエス。護衛という名の見張りに囲まれ、彼はこれから一生田舎の片隅で小さくなって暮らしていかねばならない。
「なんでそんなヤツに転移させられんの……」
ガタゴトと逃げ出せないように鍵までかけられた馬車で1人揺られているのはディエス……の中の人、地球では「田中和志」と呼ばれていた一匹の社畜である。
空前絶後の絶対⭐︎社畜マン「田中和志」はタイムカード上は10連勤、実質は60連勤の末、駅のベンチで心臓発作を起こし死んでしまうと言うそれはそれは現代的な死に方をした。
「ああ、生まれ変わったら片田舎でスローライフを送りながらゆっくり暮らしたい……」
彼の最後の呟きは神に聞き届けられたのだ!
「と、言う訳で。片田舎でのスローライフ、ご用意出来ました!」
「……怪しいです」
死んだ和志は金髪の美形な神様の前に立っていたけれど、絶対⭐︎社畜マンの嗅覚はこの神様の言葉のきな臭さをビンビンに感じ取っていたのだ。
この美形神、社畜臭がする!と。
「……分かりました。ざっくり言います。貴方の転移先は断罪され、廃嫡されて島流しの元王太子です!」
「チェンジで」
「もう決定事項です」
「ぬおおおおーー!」
美形だが目の下のクマを隠しきれない神様は疲れたと言いながら、いつのまにか現れた椅子にぐったり身を預ける。死ぬ直前の和志そっくりである。この人死ぬんじゃないかと少しハラハラしてしまう、生きてた。
「私の上司が「悪役令嬢ざまぁ断罪モノ」が好きで好きで堪らない人なんです。会社でもいるでしょう?横暴なんだけど、仕事出来る奴、それなんです」
「あーーー……しんどい」
2人はため息をこれでもかと吐き出す。
「で、その断罪された馬鹿王子の魂なんですけど……反省を促す前に次へ持っていっちゃったんです!あの馬鹿上司は!!」
「はあ?」
社畜神の言う事には、馬鹿王子の魂は別の世界に送り込まれ、また新たなる断罪劇を繰り返すのだそう。
「反省する前に連れてくんですよ!酷くないですか?!だからざまぁは減らない!あーもーー!」
「あーご苦労様です……」
和志は神様に心底同情してしまった。
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