【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ

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2 元王太子ディエスという人

「でもですね、世界は続いてるんです。王太子はその後ストーリー上生きてなきゃいけないのに魂がなくなってるんです、やばいでしょ?」
「ま、まさか……そこに俺を突っ込もうと……?!」

 神様はにやり、といやーな上司みたいな笑みを浮かべた。ああ、無理な案件を抱えてくる部長そんな顔してた。

「片田舎でスローライフ。しかもお金の心配は要りません。ホラ、条件ピッタリですよ。ちょーっと監視がついてますが、そのうち居なくなりますって」
「い、いやですよ!そんな囚人みたいな生活!!もっと普通にして下さい!」

 普通のスローライフさせてくれよと訴えてみたが、社畜神はノートサイズのタブレットをスイスイと操作して、うん、と頷き、こちらを見た。

「和志さんの魂ポイントでは足りませんね。善行不足です、このままですと次は平民で20代半ばで馬車にひかれて死にます」
「それは嫌だーーーー!」
「ですから、ちょっと我慢して「神のわがまま」に付き合えば次の次はかなり希望に沿った良い所に行けます。割と悪くない案件なんですって! 私を助けると思ってお願いします!!」

 強くつよーく拝み倒されて、了承してしまった……そして気がつくと豪華な自室で謹慎、それから「療養」に出されてしまったのだ。

「早まったかなぁ……」

 腕にはまっているリングを見てゲンナリする。これは戒めの魔道具の一つで

「女性に触れればビリビリしちゃう、ね」

 何かの間違いででもディエスは子供を残してはいけない。その措置らしい。ちょん切るかこの魔道具をつけるか?の選択を迫られた時、股間を押さえてちょん切るのだけは勘弁して貰ったのだ。

「聞いてないよー……」

 神様に女性関係の事は一言も言われてはいないが和志は「ディエス」の子孫は残らない方が良いと思う。

「こいつ、最低だしな」

 その中に入ったとはいえ、ディエスの性格は最低だ。ディエスの見た目は最高なのに差し引いて余りある性格の幼稚さ、頭の悪さ。よくもまあこれほどまで放置したなと和志でもドン引いたくらいである。

「年老いた王が側妃に産ませた王子ね。育て方を誤りそうなパターンだ」

 そしてディエスが6歳の時正妃に男の子が産まれる。蝶よ花よと育てられてきたお子ちゃまのディエス。その血筋から弟の方を立太子したい派閥が増えていたようだから、その断罪劇はもしかしたら「そういう思惑」の元上演されたのかも知れない。

 ディエスの体に入って数日の和志ですら分かる己の身の危うさにディエス自身は気づいていなかった……むしろ6歳以降、そういうパプリー頭になるように教育されてきたのかも知れない。

 そう考えると、哀れな王子様だったのかもしれないが。

「自分の身に降りかかるのはなぁ~」

 やっぱり早まった、と割れるように痛む尻を乗り心地の悪い馬車の中で抱えるしか無かった。

 
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