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13 我が最大の福音よ
綺麗な馬車に乗せられて、俺は売られてゆく。レーツィアにも俺がディエスじゃない事を伝えている。
「ディエスじゃないのなら私が言う事分かるわね?」
と、前置きをしてから事の真相を教えてくれた。やはり男爵令嬢ミリアーヌはエイダン派の重鎮……いや、宰相一派から送られた令嬢モドキであった。ディエスを篭絡し、その後ろ盾であるレーツィアの公爵家から引き離すために一芝居打ったという所だ。
「私はこう見えてディエスの事を気に入っていたから、ディエスを王にしてあげたかった……でも我がヘッジ公爵家でそれは許されなかった……」
レーツィアの実家である公爵家がそうと決めた、ならばどうする事も出来なかったという事か。
「そうか……じゃあ、仕方がない。今までありがとう、レーツィア。俺はあんまり覚えてないけど、君の顔を見るとなんだが心が暖かくなるし、ぴょんぴょん弾むよ。ディエスは馬鹿だけどやっぱり君が好きだったみたいだ」
レーツィアは大きくて丸い瞳を更に大きく開いてから、極上の笑みを浮かべてくれた。
「私も、私もディエスの事が大好きだったわ!可愛い私のディエス、幸せになんて虫のいい事は言えない。でも、一つくらいいい事を見つけられる事を祈ってるわ」
「本当にありがとう、レーツィア」
レーツィア・ヘッジ公爵令嬢は本当に心も美しい公爵令嬢だった。
「俺に付き合って飛ばされて戻ってきたマーキスとクリスを何とか保護してやってくれないか?それだけが心残りだ」
そう言うとまた悲しそうな顔をしてから、約束してくれた。
「貴方は……こらから大変なのは貴方なのに、どうして騎士の心配なんて……でも良いわ、それくらい大丈夫よ。安心してちょうだい」
「ありがとう、これで綺麗さっぱり売られる事ができるよ」
「良い事?せいぜい高値で売りつけるのよ。なんなら初夜に短剣で切り掛かっても良いんだからね?」
「はは!気に入らない顔ならボコボコにしてやるよ!」
出来もしない夢想にひとしきり笑い合う。
「……どうして、婚約破棄の前に貴方に入れ替わらなかったのかしら……そうすればディエスはこの国でゆっくり過ごせた……」
「中の人が変わっても?」
「神とは時に酷い采配をなさるものね……」
レーツィアが言う酷いは何を指すのか、俺が帝国へ売られる事か、はたまた罠にかかって婚約破棄を叫んだことか、中身が入れ替わった事か……この身分に生まれたのにこんな風に育てられた事か……すべてかもしれない。
「時は巻き戻せないものだ」
「我らは只人なのですものね」
そしてレーツィアは帰って行った。きっと今生の別れになるだろう。ディエスはなんて素敵な女性に好きになって貰えたのか、彼女がいた事こそがディエス最大の福音だった。
「ざまぁが見たい……ね。神とは時に酷い采配をする」
レーツィアの言葉を繰り返す。それでも神は神であり、我々は人であるのだった。
「ディエスじゃないのなら私が言う事分かるわね?」
と、前置きをしてから事の真相を教えてくれた。やはり男爵令嬢ミリアーヌはエイダン派の重鎮……いや、宰相一派から送られた令嬢モドキであった。ディエスを篭絡し、その後ろ盾であるレーツィアの公爵家から引き離すために一芝居打ったという所だ。
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「そうか……じゃあ、仕方がない。今までありがとう、レーツィア。俺はあんまり覚えてないけど、君の顔を見るとなんだが心が暖かくなるし、ぴょんぴょん弾むよ。ディエスは馬鹿だけどやっぱり君が好きだったみたいだ」
レーツィアは大きくて丸い瞳を更に大きく開いてから、極上の笑みを浮かべてくれた。
「私も、私もディエスの事が大好きだったわ!可愛い私のディエス、幸せになんて虫のいい事は言えない。でも、一つくらいいい事を見つけられる事を祈ってるわ」
「本当にありがとう、レーツィア」
レーツィア・ヘッジ公爵令嬢は本当に心も美しい公爵令嬢だった。
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そう言うとまた悲しそうな顔をしてから、約束してくれた。
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「ありがとう、これで綺麗さっぱり売られる事ができるよ」
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「はは!気に入らない顔ならボコボコにしてやるよ!」
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「……どうして、婚約破棄の前に貴方に入れ替わらなかったのかしら……そうすればディエスはこの国でゆっくり過ごせた……」
「中の人が変わっても?」
「神とは時に酷い采配をなさるものね……」
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「我らは只人なのですものね」
そしてレーツィアは帰って行った。きっと今生の別れになるだろう。ディエスはなんて素敵な女性に好きになって貰えたのか、彼女がいた事こそがディエス最大の福音だった。
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