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32 そこまで嫌がる事もないだろう(皇帝ラムシェーブル視点
最初のディエスのお披露目となる夜会にはソレイユも参加すると言う。なるほど効果的だ。
ディエスとソレイユ。ディエスは完全に自分の事をソレイユの部下だと位置付けているから、間違いなくそのように振る舞うだろう。
2人の力関係を読み切っていない貴族どもに知らしめてしまうのに一番効果的だ。
「しかしディエスのお披露目だ、ディエスをエスコートする」
「馬鹿言ってんじゃねーよ。ソレイユ様が来るならソレイユ様だろーが!俺はそうだなぁ……リンダかアリーチェに連れてって貰う!」
「あの2人はただの騎士だ。しかもソレイユ麾下の。せめて私の配下の……」
「いーやーだー!俺はソレイユ様の腰巾着として生きるー」
べえ!と舌を出したから思いっきり吸ってやったが何を考えているのか!
……そう思ったが、それは割と良い選択だと分かった。
当日は私はディエスに言われた通りソレイユをエスコートした。
「よろしいので?」
「ディエスがそうしろと言って聞かないんだ。私に逆らうとは、後でお仕置きをしてやらねばならない」
「ふふ、あまり虐めませんよう。私の侍女達にもディエス様は人気があるんですから」
「毎月せっせと貢ぎ物をしているようだな。わたしには何も買ってこないのに」
ソレイユにばかり気を遣っているのが少し腹立たしい。
「あらあら。皇帝陛下の嫉妬心を煽るのもディエス様はお上手ね。流石、なのかしら」
「茶化すな、ソレイユ」
華やかに笑うソレイユ。とても女性らしい笑みはソレイユならではで、ディエスならばこんな顔は出来ないだろう。
「わたくしはディエス様の事が好きよ。だから貴方もディエス様の事を好きになってね」
「最初から気に入っているから問題ない」
「あら……そうなの?ふふ、それは良かったわ。大事にしてあげましょうね」
「ああ」
昔と違って最近はソレイユと会話を交わす事も少なかったのに、ディエスの話題だとこうも会話が続くものか。不思議な奴だと思いながら、壇上にソレイユと二人で座る。一段高い席は皇帝とその正妃の為の場所なのだから。
会場を見渡せば隅の方でディエスが人に囲まれている。しかし一緒に連れだって来たのがソレイユの部下であるリンダと知り、反ソレイユ派の面々は大っぴらにディエスに声をかけることが出来ずにいるようだ。むしろソレイユ派の重鎮達に守られているように見える。なるほど、もしこれがディエスの策なのだとしたら素晴らしい考えだ。
夜会の開始が合図され、有力貴族達からの挨拶を受け……ソレイユと供だってディエスの方に向かった。
「ソレイユ様!」
「ディエス様、良い夜ね」
「今日は月の女神様のようですね……流石お美しいです」
私よりソレイユに先に声をかけるのも腹立たしいし、ソレイユばかり褒めるのも腹立たしい。確かにソレイユは私に気を使って黒と青のドレスを身につけている。腹に子がいるので胸の下で布地を絞り、そこから床までストンと伸びたスカートは黒い透けた布にバラの刺繍が施されたなかなか豪華なものだ。ソレイユの金髪は良く映えるだろう。
「ありがとうございます。先日の焼き菓子、とても美味しかったわ」
「お口に合って何よりです」
二人でにこやかに話しているとなんだか似合いに見えてくる……ソレイユはディエスが嫉妬心を煽るのが上手いと冗談で言っていたが、これは二人で私をからかっているのではないのだろうか?この落とし前はディエスに払ってもらうとするか。
「では、また」
「はい」
ここで、ディエスについて来た護衛のリンダはソレイユの元へ行き、私はディエスを連れてソレイユと別行動をすることになる。なるほどスムーズに行くな。
「ソレイユ様は今日も美人だ」
「……そうだな」
ディエスも中々人目を集めているのだが、その辺に頓着はしていないようだ。
「さあ、貴族へ顔見せだ。しっかり働け」
「分かってるよ」
会場についてからもリンダに上位貴族の顔と名前を教えてもらっていたらしく、挨拶も滞りなく終わった。
「はは、これはお似合いですな」
「美しい側妃様ですな」
「正妃様とも良好とは……」
大体好反応でディエスのお披露目は成功したと言っていいだろう。
「っだーーっつかれたああ!」
夜会から戻って来て「皺になるから」と上着を脱いだ後、行儀悪くベッドへ寝転がる。さっきまでの賢そうな顔はどこへやらいつもの素に戻っている。まあ私の前でだけこういう格好をしているのだから……やはり可愛いというものだろう。
「ディエス……ソレイユばかり褒めるとは浮気か?」
「はぁ?何言ってんの。ソレイユ様は上司だぞ、ゴマすらなくてどうするんだ!」
ゴマすりね……そういうものだろうか?
「まあどちらにしろ私の機嫌を損ねたんだから、責任くらいは取るがいい」
そのまま上に乗りあげれば、焦って両手をばたつかせる。
「は!?なんでさ!俺は上手くやっただろうが!勝手に機嫌を損ねるな!」
「お前が上手くやりすぎるとなんだか腹が立つ」
「理不尽!理不尽の極みっ!!」
少しだけ抵抗したが、「お前言い出したら絶対聞かないよな……」と諦めて素直に力を抜く。
「そういう所も気に入っている」
「絶対に伸びない納期もある事を俺は知ってるんだ……」
死人みたいな目をしてそう呟いた。おい、そこまで嫌がる事はないだろう?!
ディエスとソレイユ。ディエスは完全に自分の事をソレイユの部下だと位置付けているから、間違いなくそのように振る舞うだろう。
2人の力関係を読み切っていない貴族どもに知らしめてしまうのに一番効果的だ。
「しかしディエスのお披露目だ、ディエスをエスコートする」
「馬鹿言ってんじゃねーよ。ソレイユ様が来るならソレイユ様だろーが!俺はそうだなぁ……リンダかアリーチェに連れてって貰う!」
「あの2人はただの騎士だ。しかもソレイユ麾下の。せめて私の配下の……」
「いーやーだー!俺はソレイユ様の腰巾着として生きるー」
べえ!と舌を出したから思いっきり吸ってやったが何を考えているのか!
……そう思ったが、それは割と良い選択だと分かった。
当日は私はディエスに言われた通りソレイユをエスコートした。
「よろしいので?」
「ディエスがそうしろと言って聞かないんだ。私に逆らうとは、後でお仕置きをしてやらねばならない」
「ふふ、あまり虐めませんよう。私の侍女達にもディエス様は人気があるんですから」
「毎月せっせと貢ぎ物をしているようだな。わたしには何も買ってこないのに」
ソレイユにばかり気を遣っているのが少し腹立たしい。
「あらあら。皇帝陛下の嫉妬心を煽るのもディエス様はお上手ね。流石、なのかしら」
「茶化すな、ソレイユ」
華やかに笑うソレイユ。とても女性らしい笑みはソレイユならではで、ディエスならばこんな顔は出来ないだろう。
「わたくしはディエス様の事が好きよ。だから貴方もディエス様の事を好きになってね」
「最初から気に入っているから問題ない」
「あら……そうなの?ふふ、それは良かったわ。大事にしてあげましょうね」
「ああ」
昔と違って最近はソレイユと会話を交わす事も少なかったのに、ディエスの話題だとこうも会話が続くものか。不思議な奴だと思いながら、壇上にソレイユと二人で座る。一段高い席は皇帝とその正妃の為の場所なのだから。
会場を見渡せば隅の方でディエスが人に囲まれている。しかし一緒に連れだって来たのがソレイユの部下であるリンダと知り、反ソレイユ派の面々は大っぴらにディエスに声をかけることが出来ずにいるようだ。むしろソレイユ派の重鎮達に守られているように見える。なるほど、もしこれがディエスの策なのだとしたら素晴らしい考えだ。
夜会の開始が合図され、有力貴族達からの挨拶を受け……ソレイユと供だってディエスの方に向かった。
「ソレイユ様!」
「ディエス様、良い夜ね」
「今日は月の女神様のようですね……流石お美しいです」
私よりソレイユに先に声をかけるのも腹立たしいし、ソレイユばかり褒めるのも腹立たしい。確かにソレイユは私に気を使って黒と青のドレスを身につけている。腹に子がいるので胸の下で布地を絞り、そこから床までストンと伸びたスカートは黒い透けた布にバラの刺繍が施されたなかなか豪華なものだ。ソレイユの金髪は良く映えるだろう。
「ありがとうございます。先日の焼き菓子、とても美味しかったわ」
「お口に合って何よりです」
二人でにこやかに話しているとなんだか似合いに見えてくる……ソレイユはディエスが嫉妬心を煽るのが上手いと冗談で言っていたが、これは二人で私をからかっているのではないのだろうか?この落とし前はディエスに払ってもらうとするか。
「では、また」
「はい」
ここで、ディエスについて来た護衛のリンダはソレイユの元へ行き、私はディエスを連れてソレイユと別行動をすることになる。なるほどスムーズに行くな。
「ソレイユ様は今日も美人だ」
「……そうだな」
ディエスも中々人目を集めているのだが、その辺に頓着はしていないようだ。
「さあ、貴族へ顔見せだ。しっかり働け」
「分かってるよ」
会場についてからもリンダに上位貴族の顔と名前を教えてもらっていたらしく、挨拶も滞りなく終わった。
「はは、これはお似合いですな」
「美しい側妃様ですな」
「正妃様とも良好とは……」
大体好反応でディエスのお披露目は成功したと言っていいだろう。
「っだーーっつかれたああ!」
夜会から戻って来て「皺になるから」と上着を脱いだ後、行儀悪くベッドへ寝転がる。さっきまでの賢そうな顔はどこへやらいつもの素に戻っている。まあ私の前でだけこういう格好をしているのだから……やはり可愛いというものだろう。
「ディエス……ソレイユばかり褒めるとは浮気か?」
「はぁ?何言ってんの。ソレイユ様は上司だぞ、ゴマすらなくてどうするんだ!」
ゴマすりね……そういうものだろうか?
「まあどちらにしろ私の機嫌を損ねたんだから、責任くらいは取るがいい」
そのまま上に乗りあげれば、焦って両手をばたつかせる。
「は!?なんでさ!俺は上手くやっただろうが!勝手に機嫌を損ねるな!」
「お前が上手くやりすぎるとなんだか腹が立つ」
「理不尽!理不尽の極みっ!!」
少しだけ抵抗したが、「お前言い出したら絶対聞かないよな……」と諦めて素直に力を抜く。
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