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35 元婚約者と言うより幼馴染枠
「ディエス……まあまあ美人になっちゃって……随分可愛がられて毎日生まれたての小鹿のようにぷるぷるしているんですって?」
「どこで聞いたのかな?レーツィア。そしてそれは大きな声で言う事かな?」
「大丈夫よ、皆知ってる事だわ」
「辛い」
ソレイユ様の騎士アリーチェに案内されてとうとうレーツィアがこの王宮にやってきた。来てすぐラムに挨拶に来たらしい。
「偉大なる帝国の太陽、ラムシェーブル皇帝陛下の御前に初めて立たせていただきまする」
「良い。レーツィア・ヘッジ公爵令嬢であったな」
きれいに頭を下げたままの姿勢でレーツィアは止まっている。そして一瞬眉毛が下がった。
「レーツィア、もしかして……」
ラムの「良い」は頭をあげて良いって事だ。レーツィアは姿勢を戻しながら美しく口紅を引いた三日月の端を少し上げる。
「わたくし、家から追放されてしまいまして、平民のレーツィアになってしまいました」
「あちゃ……」
やっぱり、そうなってたんだ。レーツィアのことだから何かやらかすだろうと思っていたけど、御令嬢が平民になんて大事じゃないか!
「一人で商売でも始めようかと思案しておりましたところ、ソレイユ様よりの使者の方にお声掛け頂き、頼らせていただいた次第でございます」
「どこを貰った?」
「リンド伯爵夫妻の元へお邪魔させていただいております」
「高く買われたな」
「ご恩に報いるよう、日々精進しております」
えーと……俺は一生懸命帝国貴族名鑑を思い出していた。リンド伯爵、リンド伯爵……あ!ソレイユ様のお母様の妹の嫁ぎ先で帝国内外に大きな商会を持つ伯爵にしておくには勿体ないくらいでっかい家だ。ソレイユ様の覚えもめでたいし!そ、それは本当に良い所に……。流石レーツィアだよ!
「ではレーツィア・リンド伯爵令嬢とせよ」
「陛下の御心のままに」
リンド家でレーツィアは只のお客だったのかもしれないけれど、これでリンド家ではレーツィアを養女にするしかなくなったわけだ。なんだかんだ言ってラムはちゃんと皇帝だからね……。
一言でも下の者には重い言葉なんだよね。
「わたくしからも陛下に献上したい物がございます」
侍従が物凄く怪訝な顔をして、真っ赤な高そうな布に包まれた何かをトレイにいれ持ってゆく。
ラムの前に恭しく捧げ持って布を開くと中には鳥の羽根が一枚入っている。な、何これ??
ラムの眉毛が跳ね上がる前にレーツィアは取っておきの笑顔を見せた。これ、ただの鳥の羽根だよね? 何考えてるレーツィア!! いくらなんでもラムを怒らせては俺も庇い立てできないぞ!
しかし、レーツィアは艶やかな笑みのまま、口を開く。
「それで昼寝中のディエスの鼻をくすぐってみてください。「やめるにゃん、なにするにゃん」と寝言を言いますので」
「は?!」
俺、そんな事言わないけど?!?!
「ディエスがお馬鹿すぎて無性に腹が立った時にこっそり仕込んでおきました」
「は?! なにそれ知らないんだけど?!」
「貴方が仕事をサボってどこでも昼寝しているのが悪いのです。何度も笑わせていただきましたわ」
レーツィア?! 俺に何してくれちゃってんの?! 信じられない!
「レーツィア嬢……褒美を取らせよう」
「ラム?!」
「ありがとうございます、皇帝陛下」
「これからも良くソレイユに仕えるよう」
「勿体ないお言葉です」
「ちょ?! ちょっと?!?!」
二人ともおかしいだろ?! 薄く微笑み合う二人をみて、俺はとんでもないものを引き込んでしまったと戦慄した。
「どこで聞いたのかな?レーツィア。そしてそれは大きな声で言う事かな?」
「大丈夫よ、皆知ってる事だわ」
「辛い」
ソレイユ様の騎士アリーチェに案内されてとうとうレーツィアがこの王宮にやってきた。来てすぐラムに挨拶に来たらしい。
「偉大なる帝国の太陽、ラムシェーブル皇帝陛下の御前に初めて立たせていただきまする」
「良い。レーツィア・ヘッジ公爵令嬢であったな」
きれいに頭を下げたままの姿勢でレーツィアは止まっている。そして一瞬眉毛が下がった。
「レーツィア、もしかして……」
ラムの「良い」は頭をあげて良いって事だ。レーツィアは姿勢を戻しながら美しく口紅を引いた三日月の端を少し上げる。
「わたくし、家から追放されてしまいまして、平民のレーツィアになってしまいました」
「あちゃ……」
やっぱり、そうなってたんだ。レーツィアのことだから何かやらかすだろうと思っていたけど、御令嬢が平民になんて大事じゃないか!
「一人で商売でも始めようかと思案しておりましたところ、ソレイユ様よりの使者の方にお声掛け頂き、頼らせていただいた次第でございます」
「どこを貰った?」
「リンド伯爵夫妻の元へお邪魔させていただいております」
「高く買われたな」
「ご恩に報いるよう、日々精進しております」
えーと……俺は一生懸命帝国貴族名鑑を思い出していた。リンド伯爵、リンド伯爵……あ!ソレイユ様のお母様の妹の嫁ぎ先で帝国内外に大きな商会を持つ伯爵にしておくには勿体ないくらいでっかい家だ。ソレイユ様の覚えもめでたいし!そ、それは本当に良い所に……。流石レーツィアだよ!
「ではレーツィア・リンド伯爵令嬢とせよ」
「陛下の御心のままに」
リンド家でレーツィアは只のお客だったのかもしれないけれど、これでリンド家ではレーツィアを養女にするしかなくなったわけだ。なんだかんだ言ってラムはちゃんと皇帝だからね……。
一言でも下の者には重い言葉なんだよね。
「わたくしからも陛下に献上したい物がございます」
侍従が物凄く怪訝な顔をして、真っ赤な高そうな布に包まれた何かをトレイにいれ持ってゆく。
ラムの前に恭しく捧げ持って布を開くと中には鳥の羽根が一枚入っている。な、何これ??
ラムの眉毛が跳ね上がる前にレーツィアは取っておきの笑顔を見せた。これ、ただの鳥の羽根だよね? 何考えてるレーツィア!! いくらなんでもラムを怒らせては俺も庇い立てできないぞ!
しかし、レーツィアは艶やかな笑みのまま、口を開く。
「それで昼寝中のディエスの鼻をくすぐってみてください。「やめるにゃん、なにするにゃん」と寝言を言いますので」
「は?!」
俺、そんな事言わないけど?!?!
「ディエスがお馬鹿すぎて無性に腹が立った時にこっそり仕込んでおきました」
「は?! なにそれ知らないんだけど?!」
「貴方が仕事をサボってどこでも昼寝しているのが悪いのです。何度も笑わせていただきましたわ」
レーツィア?! 俺に何してくれちゃってんの?! 信じられない!
「レーツィア嬢……褒美を取らせよう」
「ラム?!」
「ありがとうございます、皇帝陛下」
「これからも良くソレイユに仕えるよう」
「勿体ないお言葉です」
「ちょ?! ちょっと?!?!」
二人ともおかしいだろ?! 薄く微笑み合う二人をみて、俺はとんでもないものを引き込んでしまったと戦慄した。
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