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45 メイドは見た(王宮ディエス仕えのメイド視点)
私は朝当番のメイドです。アイリスの君の朝は遅い。
「や!駄目だ!メイドちゃんが起こしに来るだろ!」
「私の予想では今日は遅れてくる」
「んな馬鹿な話があるかっ!やっ……あんっ」
私達は出来るメイドなので今日は遅れてやって来るという指令を察知しなければいけません。。陛下とアイリスの君のお部屋の扉の前でしばし佇んでいましたが、ノックせずに気配を消して厨房へ足を向けます。
「料理長、本日の朝食は昼食と兼用になりそうです」
「あはは!陛下は朝からお盛んだなぁ~!ディエス様のぼやきが聞こえそうだ!湿布でも用意してあげたら?」
「もう準備してあるから大丈夫ですよ」
そうして頃合いを見計らって静かになったのを確認してから扉をノックし遅い昼食を兼ねた朝食をお出しする。
「ああぁ……蜂蜜ジュースの甘さが喉に優しい……」
昨晩も今朝も散々な目におあいになっていたようで、お声の方が枯れていらっしゃいますね。でも私達は出来るメイドなので顔や態度に一欠片も出したりはしません。ぼんやりと遠くを見るアイリスの君も、いつもよりご機嫌が麗しい陛下の様子も何も見ていないのです。
「今日のご予定ですが……」
侍従様が急遽変わった予定表を持ってきております。
「あい分かった」
昔と違って仕事が山積みと言うほどではないらしく、融通が利くようになったと喜んでおいでですが、それでもディエス様にお聞きしたいことも多く、お休みには出来なくて申し訳ないと言っておられました。侍従様ももう予定が変わるのも慣れたようで、ディエス様がおこしになられる前のほぼ時間通りにしか動かぬ陛下との違いに人間らしくなった、と喜び半面があるそうです。
「大丈夫……慣れたから」
アイリスの君が遠い目をしていらっしゃいます。悟り切った顔なのに今日もとてもお美しいです。
男性なのに爽やかな初夏の風に揺れるようなたおやかさは本当にあやめのようなディエス様。それなのに倒れない力強さも見え隠れする不思議な方。
「ありがとうねー美味しかったよ。あ、料理長に今日の目玉焼き最高だったって伝えておいて」
「はい、お伝えしておきます」
一言このようにお礼を仰られる心の優しい方なので、誰もがディエス様を好きになってしまうのです。
「行くぞ」
「一人で歩けるけど?」
お二人は揃って執務室へお出かけになりますが、距離の近い事。毎日の事ながらアイリスの君の腰を抱いて短い距離を移動して行かれる。
本当に陛下はディエス様を好き過ぎます!
私達メイドは廊下の端で頭を下げてお二人を見送り、執務室のドアが閉まって少ししてから
「近すぎるよねぇ」
「まだ新婚みたいなものだから良いのかしら??」
「はー!私もあんな優しい旦那様欲しいなー」
「いやー!あんなに美しい旦那様だったら家にいても気持ちが落ち着かないよー!」
「わかるー!」
皇帝陛下だから、あのお美しいアイリスの君の隣にいられるのですね。
私達の間では陛下よりディエス様の方が人気があるのです!
昼の掃除担当ですわ。今日は王宮が騒がしくて、衛兵さんや侍従様達がバタバタと走り回っています。何かあったのでしょうか?
「なんで公爵令嬢が!」
「先触れもなしに、無礼だろう!」
中庭の渡り廊下をみると、真っ赤過ぎるほど真っ赤で、フリルとレースで膨らんだ豪華なドレスに身を包んだ令嬢がこちらに向かって歩いて来ます。
私達はすぐ端へ避け、頭を下げます。礼儀の事もありますが、あれは……お近づきになりたくないタイプです!そして……あのドレスは……。
「レジム公爵令嬢、本日はどのようなご用件で」
「近くまで来ましたので陛下にご挨拶をと思いまして」
令嬢がそのような事出来るのかしら?出来ないわよねぇ?侍従様達の思いっきり眉間に皺が寄った顔には「帰れ!場違い!」と、大きく書かれているように見えますね。
何せここは陛下やアイリスの君にとっては仕事場ですもの。令嬢がいても邪魔なだけです。この方、頭が悪いのかしら?きっと悪いのね。
しかし、タイミング悪く執務室から陛下とアイリスの君が出てこられました。どうやらこれから騎士団の視察へ向かわれるようです。
「だから、脳筋って言う種族がいてな。なんでも筋肉で解決しようとするんだ」
「そのような事出来るわけがないだろう?少し考えれば誰だって分かる」
「分からないのが脳筋だ。あいつらにははいかイエスで従わせるしかないんだ」
「それは選択肢がないではないか」
「いらないんだよ!脳筋だから!」
お二人は何かよく分からない会話をしながら、早足でやって来ます。お二人とも足がとても長いので、普通に歩いてもかなりの速度で歩かれるようです。
件の令嬢も流石に陛下の歩みを邪魔しないよう、一応端でお辞儀をしております。流石令嬢、礼はとても美しく見えますが自分を見て欲しいとの顕示欲がこれでもかと伝わって来て、少々、いえかなり……気持ち悪いです。
「……」
見慣れないとても派手で目立つドレスの令嬢の姿が陛下の目に止まったようですが、陛下はアイリスの君に目配せして、無言でした。
そのアイリスの君は侍従様に。侍従様が目を伏せ、首を緩く横に振ると、お二人は何も目に入らなかった、と言う風に令嬢の前を通り過ぎます。
「……っ?!」
すぐに小さくなって行くアイリスの君の背中を射殺さんばかりに令嬢は睨み付け……持って来た扇をバキン!と折ってしまいました!怖い!!
「こ、このわたくしをむ、無視するとは……っ無能のくせに生意気よ……っお父様に報告しなくちゃ……!」
怒りて全身を戦慄かせながら、顔まで真っ赤にして令嬢は去っていきます。怖い……!
「おい」
「はっ」
令嬢が去った後動くのは「王家の影」の方達のようです。あの方達に目をつけられるなんて……。
「あの女、ディエス様の事を無能と呼んだな……レジム家は取り潰されるかもしれん。対応しろ」
「はっ!」
そうよね、ディエス様を蔑ろにする貴族の家なんて潰されちゃうわよね。これって自業自得って言うんだっけなぁ?私達もあの令嬢の事が一度で大っ嫌いになってしまいました!
「や!駄目だ!メイドちゃんが起こしに来るだろ!」
「私の予想では今日は遅れてくる」
「んな馬鹿な話があるかっ!やっ……あんっ」
私達は出来るメイドなので今日は遅れてやって来るという指令を察知しなければいけません。。陛下とアイリスの君のお部屋の扉の前でしばし佇んでいましたが、ノックせずに気配を消して厨房へ足を向けます。
「料理長、本日の朝食は昼食と兼用になりそうです」
「あはは!陛下は朝からお盛んだなぁ~!ディエス様のぼやきが聞こえそうだ!湿布でも用意してあげたら?」
「もう準備してあるから大丈夫ですよ」
そうして頃合いを見計らって静かになったのを確認してから扉をノックし遅い昼食を兼ねた朝食をお出しする。
「ああぁ……蜂蜜ジュースの甘さが喉に優しい……」
昨晩も今朝も散々な目におあいになっていたようで、お声の方が枯れていらっしゃいますね。でも私達は出来るメイドなので顔や態度に一欠片も出したりはしません。ぼんやりと遠くを見るアイリスの君も、いつもよりご機嫌が麗しい陛下の様子も何も見ていないのです。
「今日のご予定ですが……」
侍従様が急遽変わった予定表を持ってきております。
「あい分かった」
昔と違って仕事が山積みと言うほどではないらしく、融通が利くようになったと喜んでおいでですが、それでもディエス様にお聞きしたいことも多く、お休みには出来なくて申し訳ないと言っておられました。侍従様ももう予定が変わるのも慣れたようで、ディエス様がおこしになられる前のほぼ時間通りにしか動かぬ陛下との違いに人間らしくなった、と喜び半面があるそうです。
「大丈夫……慣れたから」
アイリスの君が遠い目をしていらっしゃいます。悟り切った顔なのに今日もとてもお美しいです。
男性なのに爽やかな初夏の風に揺れるようなたおやかさは本当にあやめのようなディエス様。それなのに倒れない力強さも見え隠れする不思議な方。
「ありがとうねー美味しかったよ。あ、料理長に今日の目玉焼き最高だったって伝えておいて」
「はい、お伝えしておきます」
一言このようにお礼を仰られる心の優しい方なので、誰もがディエス様を好きになってしまうのです。
「行くぞ」
「一人で歩けるけど?」
お二人は揃って執務室へお出かけになりますが、距離の近い事。毎日の事ながらアイリスの君の腰を抱いて短い距離を移動して行かれる。
本当に陛下はディエス様を好き過ぎます!
私達メイドは廊下の端で頭を下げてお二人を見送り、執務室のドアが閉まって少ししてから
「近すぎるよねぇ」
「まだ新婚みたいなものだから良いのかしら??」
「はー!私もあんな優しい旦那様欲しいなー」
「いやー!あんなに美しい旦那様だったら家にいても気持ちが落ち着かないよー!」
「わかるー!」
皇帝陛下だから、あのお美しいアイリスの君の隣にいられるのですね。
私達の間では陛下よりディエス様の方が人気があるのです!
昼の掃除担当ですわ。今日は王宮が騒がしくて、衛兵さんや侍従様達がバタバタと走り回っています。何かあったのでしょうか?
「なんで公爵令嬢が!」
「先触れもなしに、無礼だろう!」
中庭の渡り廊下をみると、真っ赤過ぎるほど真っ赤で、フリルとレースで膨らんだ豪華なドレスに身を包んだ令嬢がこちらに向かって歩いて来ます。
私達はすぐ端へ避け、頭を下げます。礼儀の事もありますが、あれは……お近づきになりたくないタイプです!そして……あのドレスは……。
「レジム公爵令嬢、本日はどのようなご用件で」
「近くまで来ましたので陛下にご挨拶をと思いまして」
令嬢がそのような事出来るのかしら?出来ないわよねぇ?侍従様達の思いっきり眉間に皺が寄った顔には「帰れ!場違い!」と、大きく書かれているように見えますね。
何せここは陛下やアイリスの君にとっては仕事場ですもの。令嬢がいても邪魔なだけです。この方、頭が悪いのかしら?きっと悪いのね。
しかし、タイミング悪く執務室から陛下とアイリスの君が出てこられました。どうやらこれから騎士団の視察へ向かわれるようです。
「だから、脳筋って言う種族がいてな。なんでも筋肉で解決しようとするんだ」
「そのような事出来るわけがないだろう?少し考えれば誰だって分かる」
「分からないのが脳筋だ。あいつらにははいかイエスで従わせるしかないんだ」
「それは選択肢がないではないか」
「いらないんだよ!脳筋だから!」
お二人は何かよく分からない会話をしながら、早足でやって来ます。お二人とも足がとても長いので、普通に歩いてもかなりの速度で歩かれるようです。
件の令嬢も流石に陛下の歩みを邪魔しないよう、一応端でお辞儀をしております。流石令嬢、礼はとても美しく見えますが自分を見て欲しいとの顕示欲がこれでもかと伝わって来て、少々、いえかなり……気持ち悪いです。
「……」
見慣れないとても派手で目立つドレスの令嬢の姿が陛下の目に止まったようですが、陛下はアイリスの君に目配せして、無言でした。
そのアイリスの君は侍従様に。侍従様が目を伏せ、首を緩く横に振ると、お二人は何も目に入らなかった、と言う風に令嬢の前を通り過ぎます。
「……っ?!」
すぐに小さくなって行くアイリスの君の背中を射殺さんばかりに令嬢は睨み付け……持って来た扇をバキン!と折ってしまいました!怖い!!
「こ、このわたくしをむ、無視するとは……っ無能のくせに生意気よ……っお父様に報告しなくちゃ……!」
怒りて全身を戦慄かせながら、顔まで真っ赤にして令嬢は去っていきます。怖い……!
「おい」
「はっ」
令嬢が去った後動くのは「王家の影」の方達のようです。あの方達に目をつけられるなんて……。
「あの女、ディエス様の事を無能と呼んだな……レジム家は取り潰されるかもしれん。対応しろ」
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