75 / 139
75 群を抜いて馬鹿がいる
しおりを挟む
今年の冷夏予想を発表した。多くの貴族は信じなかったが、ソレイユ様を筆頭にセイリオスのリンツ家、ハインツのイエリア家などがまだ青く順調に伸びている小麦の苗を刈り取り、雑穀を植えたり芋を植えたりするのを見て危機感は持ったようだ。もちろん皇帝領も全部雑穀に植え替えた。
「やはり小麦の価格は上昇している」
「そうだろうなぁ。代替の食べ物はまだだろうし、あまりに急に上がりすぎるなら介入しないと……」
この辺は様子を見ながら逐一調整だなぁ。俺達は日々上がってくる価格表とにらめっこする日々だ。
「小麦を買い占めるなんて……なんと情けない。天の恵みがない年もあるのは皆知っている事。そして皆で乗り切ろうというのに自らの保身ばかり……」
このスタンスを取る事にしたんだ。多分帝国は何とかなる。冷夏の情報はもう隠すのをやめたので、近隣の国にも広がるだろうけれど他国はどう動くかそれも見るつもり。
「隣国から高値で小麦の売り込みが来ておる」
「冷夏の情報を知ってもそれなら止めたってしょうがないなぁ……流民をどこまで受け入れるかも決めて置かないと」
「関の強化も必要だな……無限に受け入れる事は出来ん」
「売ってくれるなら買っちゃうか。どの国からどのくらいの価格で来たかまとめておこう」
馬鹿な量を輸出してくる国がありそうだなぁ……。俺達は来るであろう冷夏対策で日々を追われていた。
「あの……ディエス様……」
「ん?何?」
小麦の価格を調査する部署の職員から手渡された資料を見て、俺は頭が痛くなった。
「馬鹿かな……」
自国で消費する小麦の量まで足りなくなりそうなほど、帝国に輸出している馬鹿な国の名前の筆頭にある国、よおく知っている名前があって流石の俺も苦笑した。
「ソルリア……ディエスの母国じゃん……」
何の未練も、何の思い入れも無いけど……近隣諸国の中で群を抜いて愚かだと言う事がよく分かった。こんなに売って大丈夫じゃないと誰の目から見ても明らかな量を出してきてるんだけれど?
「クロードにソルリアとの国境の整備をお願いしよう……」
この量、冷夏がなくても普通に冬に飢饉になるレベルで出して来てるよね?
「いくら、高値で買ってるとはいえ……アリとキリギリスのキリギリス以下じゃねぇ……?」
これ、どうするつもりなんだろう……?書類を持って執務室でラムに意見を聞くと
「我が帝国に高値で売りつけ、別の国から安値で購入すればいいと思っているらしい。だが上手く行かぬであろうな。冷夏がわが国だけに降りかかる訳ではない。この地域一帯であろうし。流石にそのような愚かな国に支援はしてはやれぬぞ?」
「良いよー別に。なんの思い入れもないもん。ディエスの昔の記憶もほとんどないしね」
酷い話と言われるかもしれないが、自国の民と他国の民なら勿論自国の民を守るに決まっている。ただ、助けを求めるヤツより働いて税を納め、国の基盤となる自国民を優遇するのは当たり前だ。
「同盟があるわけでもないし、お前をこちらに連れてくる際も特に協定を結んだこともない」
「俺も側妃として帝国国民を守る義務があるからそっちの事はそっちでやれってことにしとこ」
ホント、何を考えてるんだろう。俺には理解できなかった。
「やはり小麦の価格は上昇している」
「そうだろうなぁ。代替の食べ物はまだだろうし、あまりに急に上がりすぎるなら介入しないと……」
この辺は様子を見ながら逐一調整だなぁ。俺達は日々上がってくる価格表とにらめっこする日々だ。
「小麦を買い占めるなんて……なんと情けない。天の恵みがない年もあるのは皆知っている事。そして皆で乗り切ろうというのに自らの保身ばかり……」
このスタンスを取る事にしたんだ。多分帝国は何とかなる。冷夏の情報はもう隠すのをやめたので、近隣の国にも広がるだろうけれど他国はどう動くかそれも見るつもり。
「隣国から高値で小麦の売り込みが来ておる」
「冷夏の情報を知ってもそれなら止めたってしょうがないなぁ……流民をどこまで受け入れるかも決めて置かないと」
「関の強化も必要だな……無限に受け入れる事は出来ん」
「売ってくれるなら買っちゃうか。どの国からどのくらいの価格で来たかまとめておこう」
馬鹿な量を輸出してくる国がありそうだなぁ……。俺達は来るであろう冷夏対策で日々を追われていた。
「あの……ディエス様……」
「ん?何?」
小麦の価格を調査する部署の職員から手渡された資料を見て、俺は頭が痛くなった。
「馬鹿かな……」
自国で消費する小麦の量まで足りなくなりそうなほど、帝国に輸出している馬鹿な国の名前の筆頭にある国、よおく知っている名前があって流石の俺も苦笑した。
「ソルリア……ディエスの母国じゃん……」
何の未練も、何の思い入れも無いけど……近隣諸国の中で群を抜いて愚かだと言う事がよく分かった。こんなに売って大丈夫じゃないと誰の目から見ても明らかな量を出してきてるんだけれど?
「クロードにソルリアとの国境の整備をお願いしよう……」
この量、冷夏がなくても普通に冬に飢饉になるレベルで出して来てるよね?
「いくら、高値で買ってるとはいえ……アリとキリギリスのキリギリス以下じゃねぇ……?」
これ、どうするつもりなんだろう……?書類を持って執務室でラムに意見を聞くと
「我が帝国に高値で売りつけ、別の国から安値で購入すればいいと思っているらしい。だが上手く行かぬであろうな。冷夏がわが国だけに降りかかる訳ではない。この地域一帯であろうし。流石にそのような愚かな国に支援はしてはやれぬぞ?」
「良いよー別に。なんの思い入れもないもん。ディエスの昔の記憶もほとんどないしね」
酷い話と言われるかもしれないが、自国の民と他国の民なら勿論自国の民を守るに決まっている。ただ、助けを求めるヤツより働いて税を納め、国の基盤となる自国民を優遇するのは当たり前だ。
「同盟があるわけでもないし、お前をこちらに連れてくる際も特に協定を結んだこともない」
「俺も側妃として帝国国民を守る義務があるからそっちの事はそっちでやれってことにしとこ」
ホント、何を考えてるんだろう。俺には理解できなかった。
851
あなたにおすすめの小説
婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する
SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる