【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ

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75 群を抜いて馬鹿がいる

 今年の冷夏予想を発表した。多くの貴族は信じなかったが、ソレイユ様を筆頭にセイリオスのリンツ家、ハインツのイエリア家などがまだ青く順調に伸びている小麦の苗を刈り取り、雑穀を植えたり芋を植えたりするのを見て危機感は持ったようだ。もちろん皇帝領も全部雑穀に植え替えた。
 
「やはり小麦の価格は上昇している」

「そうだろうなぁ。代替の食べ物はまだだろうし、あまりに急に上がりすぎるなら介入しないと……」

 この辺は様子を見ながら逐一調整だなぁ。俺達は日々上がってくる価格表とにらめっこする日々だ。

「小麦を買い占めるなんて……なんと情けない。天の恵みがない年もあるのは皆知っている事。そして皆で乗り切ろうというのに自らの保身ばかり……」

 このスタンスを取る事にしたんだ。多分帝国は何とかなる。冷夏の情報はもう隠すのをやめたので、近隣の国にも広がるだろうけれど他国はどう動くかそれも見るつもり。

「隣国から高値で小麦の売り込みが来ておる」

「冷夏の情報を知ってもそれなら止めたってしょうがないなぁ……流民をどこまで受け入れるかも決めて置かないと」

「関の強化も必要だな……無限に受け入れる事は出来ん」

「売ってくれるなら買っちゃうか。どの国からどのくらいの価格で来たかまとめておこう」

 馬鹿な量を輸出してくる国がありそうだなぁ……。俺達は来るであろう冷夏対策で日々を追われていた。

「あの……ディエス様……」

「ん?何?」

 小麦の価格を調査する部署の職員から手渡された資料を見て、俺は頭が痛くなった。

「馬鹿かな……」

 自国で消費する小麦の量まで足りなくなりそうなほど、帝国に輸出している馬鹿な国の名前の筆頭にある国、よおく知っている名前があって流石の俺も苦笑した。

「ソルリア……ディエスの母国じゃん……」

 何の未練も、何の思い入れも無いけど……近隣諸国の中で群を抜いて愚かだと言う事がよく分かった。こんなに売って大丈夫じゃないと誰の目から見ても明らかな量を出してきてるんだけれど?

「クロードにソルリアとの国境の整備をお願いしよう……」

 この量、冷夏がなくても普通に冬に飢饉になるレベルで出して来てるよね?

「いくら、高値で買ってるとはいえ……アリとキリギリスのキリギリス以下じゃねぇ……?」

 これ、どうするつもりなんだろう……?書類を持って執務室でラムに意見を聞くと

「我が帝国に高値で売りつけ、別の国から安値で購入すればいいと思っているらしい。だが上手く行かぬであろうな。冷夏がわが国だけに降りかかる訳ではない。この地域一帯であろうし。流石にそのような愚かな国に支援はしてはやれぬぞ?」

「良いよー別に。なんの思い入れもないもん。ディエスの昔の記憶もほとんどないしね」

 酷い話と言われるかもしれないが、自国の民と他国の民なら勿論自国の民を守るに決まっている。ただ、助けを求めるヤツより働いて税を納め、国の基盤となる自国民を優遇するのは当たり前だ。

「同盟があるわけでもないし、お前をこちらに連れてくる際も特に協定を結んだこともない」

「俺も側妃として帝国国民を守る義務があるからそっちの事はそっちでやれってことにしとこ」

 ホント、何を考えてるんだろう。俺には理解できなかった。



 
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