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77 令嬢の呼吸
「収容所……」
「もっと包み隠して!一応希望者だけだよ!」
「で?汚い遊びを覚えさせて身ぐるみから給料から全部巻き上げると?貴方は鬼ですか?」
「そ、そんなこと言ってない!娯楽とセットにしないと人間働かないから……」
「鬼じゃなれば悪魔ですよ。あーもー……素晴らしい案です、すぐに作成しましょう」
「同類じゃん」
セイリオスが話が分かりすぎて困ってしまう有能っぷりだった……。そう、ラムと話していた炭鉱に街であぶれる人を連れて行こうって話をしてただけなんだけど。
「世間の闇が深い時ってさあ……娯楽とかが儲かるんだってねえ。ラスベガスとか作る?」
「らす……べがす、ですか?」
そして俺はセイリオスに一大賭博都市の話をしてしまった……。
「犯罪の温床になりませんか?」
「なるよ。だから国主導でやるんだ。闇でやるより簡単に儲けが出る様にすれば最悪は防げる。まあ後ろ暗い所と少しは繋がらないと駄目だろうけど、そう言う汚濁も飲んでの国だろう……?」
犯罪があちこちで起こるより、起こる場所が特定できれば対処もしやすいって言う考え方もある。誰もかれも幸せで犯罪もないウツクシイ国なんて地上にあるはずもないんだから。
「……広い土地が必要になりますね……しかも王都の傍の……どこかの落ち目の公爵の土地など最適ですね?」
「セ、セイリオスさん……?」
おーい、もしもーし??目が怖いんですけどーーー!?どっかのやらかし公爵に狙い定めてませんかー?おーい、おーい?
「この件は持ち帰って審議させてもらいます。警備の関係上騎士団との連携も必要かもしれません……いい結果をお持ちできると思います」
「あ、あー……も、もしホテルなどでの食事を楽しみつつの、騎士団団長との意見交換会だったらぁ……せ、接待費としてあげておいてもいいからね……」
「心得まして」
フ、となんかかっこいい笑みを一つ残して颯爽とセイリオスは宰相府へ戻って行った。きっと楽しくデートしてくる事だろう。話がまとまるんならデート料金位出してあげるよ、うん。
「……まさか誘惑された訳ではあるまいな?」
全く口出しはしてこなかったけど、ここはラムの執務室なのでラムもしっかり横で聞いていたんだよね、変なこと言うなよ、誰が誰に誘惑されるんだ、俺がクロードに真っ二つに切られちゃう!
「セイリオスは色々ハッピータイムなんだから絶対にねえよ。それにあれはドキッとする類のものじゃなくてゾワッとするやつだよ……あいつ、怖いなぁ」
「だから多少問題はあってもあの地位にいるんだ。今はその問題が解決して更に辣腕を奮っているではないか」
「こえええ……」
「あの令嬢達もかなり使える」
「サファイアとプリネラ?」
リゼロから届いたであろう報告書を見せてくれる。中には目立つ場所での昼食会や仲良く談笑する様子をみて融和が進んでいる事。セイリオスのリンツ家、クロードのラグデール家への対応、そして社交界、令嬢同士のお茶会における情報操作も呼吸をするが如くこなしているらしい。
「陛下のお声がかりという事もありますが、私はリンツ公爵家に恥じない妻として尽くしてゆく所存でございます」
「流石シルビオ家の秘宝と謳われたご令嬢だ。いつまでもセイリオスが身を固めずやきもきしておったが、これで私達も安心したよ」
「そう言っていただけると嬉しゅうございます」
両家の両親は令嬢の完璧な笑顔の裏にどんな契約が隠されているかなど一欠片も気が付いていないらしい。クロードの家は格上のご令嬢が来てくれたので更に諸手を上げたし、あのセイリオスの親であるリンツ前公爵は何やら思うところはあるようだが、この帝国でこれ以上高位の令嬢は存在しないので、サファイアの事を大切にすると決めたようだ。
「そういえばレジム公爵令嬢リリシア嬢は……」
ついこの間までこの国で婚約者を持っていない高位の令嬢で一番地位が高かったのはリリシアだった。いや、地位だけならまだ彼女が一番だ。公爵令嬢で年頃の女性はもういないのだから。しかし、リリシア自身もレジム公爵家も皇帝から不況を買ってしまった。落ちぶれるしかない家と関りになりたいものなど誰もいない。
「4か月ほど前でしょうか……貴女方とは友達でも何でもないと癇癪を起こされてしまい……私も、プリネラもそれっきりになっております。そしてこの度の事件で私達はディエス様のお声がかりもあり、御前に出ることを許されておりますが、かの令嬢がどうなっているか全く分かりません」
言い回しは完璧だが、言葉の端々とその微妙なサファイアの表情に前リンツ公爵は「そうだな、分からんな」と同意をし、安心をした。サファイアが微塵もリリシアの事を心配していない、何があっても絶対に救いの手を伸ばす事ような愚かな真似はしないと気が付いたからだ。恨んでいる、憎んでいるとも言ってもいい程であり、火の粉が飛んでくることはないと確信した。
「我が家には娘がいない。令嬢同士の茶会などからもしばし遠ざかっていた。是非ともサファイア嬢、我が家に華やかさを頼むよ」
「ええ、お任せくださいませ」
「嬉しいわ、サファイアちゃん。わたくしとも遊んで頂戴ね」
「はい、お義母様……あ、少し早かったですわね」
セイリオスの母親ともすぐに打ち解けたようだ。
「あら、いいのよ、うふふ。あなた、わたくし、サファイアちゃんとお買い物に行きたいわ、良いでしょう?」
「おお、構わぬぞ。お前は娘にドレスやお飾りをプレゼントしたいと昔から言っておったものな。選んで差し上げなさい」
「ええ!ええ!そうなのですよ!サファイアちゃん。一緒にお出かけしてくれるわよね?」
「勿論ですわ、前公爵夫人」
そこはお義母様でしょ、などと和やかに会話をしている。
「すご、完璧な可愛がられる嫁じゃん」
「プリネラも同じようにするっと懐に入り込んだらしい。彼女らを見ていると女性を軽視してはいかんとつくづく思うよ」
「それが最高に上手いのがソレイユ様じゃないかな……」
「ソレイユは……何かと凄いな」
思い当たる節があったのか、ラムは遠い目をしている。うん、彼女らは味方に引き込んで正解だったよ……。俺、いい仕事したわ……。
「もっと包み隠して!一応希望者だけだよ!」
「で?汚い遊びを覚えさせて身ぐるみから給料から全部巻き上げると?貴方は鬼ですか?」
「そ、そんなこと言ってない!娯楽とセットにしないと人間働かないから……」
「鬼じゃなれば悪魔ですよ。あーもー……素晴らしい案です、すぐに作成しましょう」
「同類じゃん」
セイリオスが話が分かりすぎて困ってしまう有能っぷりだった……。そう、ラムと話していた炭鉱に街であぶれる人を連れて行こうって話をしてただけなんだけど。
「世間の闇が深い時ってさあ……娯楽とかが儲かるんだってねえ。ラスベガスとか作る?」
「らす……べがす、ですか?」
そして俺はセイリオスに一大賭博都市の話をしてしまった……。
「犯罪の温床になりませんか?」
「なるよ。だから国主導でやるんだ。闇でやるより簡単に儲けが出る様にすれば最悪は防げる。まあ後ろ暗い所と少しは繋がらないと駄目だろうけど、そう言う汚濁も飲んでの国だろう……?」
犯罪があちこちで起こるより、起こる場所が特定できれば対処もしやすいって言う考え方もある。誰もかれも幸せで犯罪もないウツクシイ国なんて地上にあるはずもないんだから。
「……広い土地が必要になりますね……しかも王都の傍の……どこかの落ち目の公爵の土地など最適ですね?」
「セ、セイリオスさん……?」
おーい、もしもーし??目が怖いんですけどーーー!?どっかのやらかし公爵に狙い定めてませんかー?おーい、おーい?
「この件は持ち帰って審議させてもらいます。警備の関係上騎士団との連携も必要かもしれません……いい結果をお持ちできると思います」
「あ、あー……も、もしホテルなどでの食事を楽しみつつの、騎士団団長との意見交換会だったらぁ……せ、接待費としてあげておいてもいいからね……」
「心得まして」
フ、となんかかっこいい笑みを一つ残して颯爽とセイリオスは宰相府へ戻って行った。きっと楽しくデートしてくる事だろう。話がまとまるんならデート料金位出してあげるよ、うん。
「……まさか誘惑された訳ではあるまいな?」
全く口出しはしてこなかったけど、ここはラムの執務室なのでラムもしっかり横で聞いていたんだよね、変なこと言うなよ、誰が誰に誘惑されるんだ、俺がクロードに真っ二つに切られちゃう!
「セイリオスは色々ハッピータイムなんだから絶対にねえよ。それにあれはドキッとする類のものじゃなくてゾワッとするやつだよ……あいつ、怖いなぁ」
「だから多少問題はあってもあの地位にいるんだ。今はその問題が解決して更に辣腕を奮っているではないか」
「こえええ……」
「あの令嬢達もかなり使える」
「サファイアとプリネラ?」
リゼロから届いたであろう報告書を見せてくれる。中には目立つ場所での昼食会や仲良く談笑する様子をみて融和が進んでいる事。セイリオスのリンツ家、クロードのラグデール家への対応、そして社交界、令嬢同士のお茶会における情報操作も呼吸をするが如くこなしているらしい。
「陛下のお声がかりという事もありますが、私はリンツ公爵家に恥じない妻として尽くしてゆく所存でございます」
「流石シルビオ家の秘宝と謳われたご令嬢だ。いつまでもセイリオスが身を固めずやきもきしておったが、これで私達も安心したよ」
「そう言っていただけると嬉しゅうございます」
両家の両親は令嬢の完璧な笑顔の裏にどんな契約が隠されているかなど一欠片も気が付いていないらしい。クロードの家は格上のご令嬢が来てくれたので更に諸手を上げたし、あのセイリオスの親であるリンツ前公爵は何やら思うところはあるようだが、この帝国でこれ以上高位の令嬢は存在しないので、サファイアの事を大切にすると決めたようだ。
「そういえばレジム公爵令嬢リリシア嬢は……」
ついこの間までこの国で婚約者を持っていない高位の令嬢で一番地位が高かったのはリリシアだった。いや、地位だけならまだ彼女が一番だ。公爵令嬢で年頃の女性はもういないのだから。しかし、リリシア自身もレジム公爵家も皇帝から不況を買ってしまった。落ちぶれるしかない家と関りになりたいものなど誰もいない。
「4か月ほど前でしょうか……貴女方とは友達でも何でもないと癇癪を起こされてしまい……私も、プリネラもそれっきりになっております。そしてこの度の事件で私達はディエス様のお声がかりもあり、御前に出ることを許されておりますが、かの令嬢がどうなっているか全く分かりません」
言い回しは完璧だが、言葉の端々とその微妙なサファイアの表情に前リンツ公爵は「そうだな、分からんな」と同意をし、安心をした。サファイアが微塵もリリシアの事を心配していない、何があっても絶対に救いの手を伸ばす事ような愚かな真似はしないと気が付いたからだ。恨んでいる、憎んでいるとも言ってもいい程であり、火の粉が飛んでくることはないと確信した。
「我が家には娘がいない。令嬢同士の茶会などからもしばし遠ざかっていた。是非ともサファイア嬢、我が家に華やかさを頼むよ」
「ええ、お任せくださいませ」
「嬉しいわ、サファイアちゃん。わたくしとも遊んで頂戴ね」
「はい、お義母様……あ、少し早かったですわね」
セイリオスの母親ともすぐに打ち解けたようだ。
「あら、いいのよ、うふふ。あなた、わたくし、サファイアちゃんとお買い物に行きたいわ、良いでしょう?」
「おお、構わぬぞ。お前は娘にドレスやお飾りをプレゼントしたいと昔から言っておったものな。選んで差し上げなさい」
「ええ!ええ!そうなのですよ!サファイアちゃん。一緒にお出かけしてくれるわよね?」
「勿論ですわ、前公爵夫人」
そこはお義母様でしょ、などと和やかに会話をしている。
「すご、完璧な可愛がられる嫁じゃん」
「プリネラも同じようにするっと懐に入り込んだらしい。彼女らを見ていると女性を軽視してはいかんとつくづく思うよ」
「それが最高に上手いのがソレイユ様じゃないかな……」
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