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98 目を反らしてはいけない
「し、信じらんない」
「事実だ」
俺とラムがドン引きしながら聞いたその報は、牢の中で疼くまるエイダン君にも伝えられた。
「ソルリア国王が、王太子の1回目の保釈金支払い期限を伸ばせと、期限日に払い込みをしませんでした」
馬鹿か。帝国を馬鹿にするのもいい加減にしろ。この話を聞いた10人中30人はソルリア王は愚鈍だと気が付いただろう。え?多いって?それくらい馬鹿さ加減が突破してるんだよ。
その報告を聞いたエイダン君は土気色になって泣き叫んだらしい。
「い、嫌だ、嫌だ!死にたくない!死にたくないーーーーー!助けて、助けてください!父上父上ー!!」
だが、その願いを叶えてやる事は出来ない。金で済ませてやる事すら物凄い譲歩の上に成り立っているのに。その支払いを訳の分からない自己都合で拒否したと言う事は、支払う気がないのだ。ソルリア王は自分の息子であり王太子の命の値段をその程度の安値だとしたという事だ。
「残念だよ」
罪人の公開処刑はある意味娯楽でエンターテイメントなんだそうだ。国内の不満が溜まりに溜まっている帝国民の前にエイダン君、宰相、その娘が引き出される。
「うーっ!うーーーーっ!!」
3人は縛られて口も猿ぐつわを掛けられていた。その後に続くソルリア騎士達は静かな物で、往生際悪く最後まで泣き叫び暴れる高貴な三人とは対照的だった。
無慈悲に処刑台の上に引きずりあげられる三人を皇帝ラムシェーブルと正妃ソレイユ、その少し後ろに俺が特等席から見下ろしていた。
はっきり言って趣味が悪いし、人が死ぬ所なんて見たくない。でもこれから皇帝と共に生きて行くなら、避けて通れない道だ。甘い、お優しいだけじゃ駄目、時には処分もしなくてはいけない。俺も覚悟を決めたんだ。
すっとラムは手を上げる。合図だ。本来なら、辞世の句なんかをあげさせる所だが、三人は猿ぐつわを外すと呪詛か助けてしか言わない。
三人は跪かされ……処刑人に押さえつけられる。もがいてももがいてももう無理なのに。自分で蒔いた種なのに本当に往生際が悪い。こうなる事くらい簡単に予想出来ただろうに。
無表情でラムは手を振り下ろした。同時に振り下ろされる刃。詰めかけた民衆は熱狂して、帝国に歯向かった逆賊が振り下ろされる正義の刃に屈する事に酔っている。
「……っ」
目を離しては行けない。転がったエイダンの、弟の首を俺はしっかりと見つめていた。
三人の恨みはきっと俺に向いている。それでも俺はもうここで生きると決めたんだ。恨みもつらみも全部背負ってここでラムと一緒に生きていく。
真っ赤な血がドクドクと流れる。国民の血に酔った大歓声の中、次に連れて来られたソルリアの騎士達の処刑が全て終わるのを、じっと見つめていた。目を背ける事はもう許されない。
自分が悪いのに、ソルリア王は「王太子の敵!」と弓を引いた。予想通りの行動に俺もラムも苦笑してしまう。
「騎士団!前へ!」
「はっ!」
事前に配置していた騎士団の壁に、ソルリアの軍はほぼなすすべなく敗走した。特に志願した特攻部隊の副団長マキシマ以下あの場にいて満足な働きが出来なかった騎士達が獅子奮迅の活躍をしてソルリア軍の鼻先どころか喉元にまで喰らいついた。
「わが命はあの時捨てた!今あるのは側妃様への御恩のみ!この命この身全て使い切って果たさねばならぬ!」
帝国の狂気の血熊と二つ名が後につけられたマキシマは喉元だけじゃなくて、ソルリアの心臓にまで到達してそれを引きちぎった。
「ひ、ひいいいい!」
「命は皇帝陛下の裁きを待て!」
「グギャア……ッ!」
ほとんど何の抵抗もないソルリアの道をクロードが呆気にとられながら歩いて行くと、前方から血まみれになったマキシマと騎士達が歩いてきて、クロードの前にポンと肥え太ったおじさんを投げ捨てたそうだ。
「……王座にいたので絞めて来ました」
「……ご苦労だった、マキシマ」
「死に損ねました」
今にも自害しそうな顔でぽつりとつぶやくマキシマにクロードは釘を刺す事を忘れなかった。
「……この男は側妃様の父に当たる人物。それを捕らえたお前も軽はずみな行動は許さんぞ」
反抗勢力はマキシマ達一団の狂気に血走った死を恐れぬ戦いぶりに恐怖して、早々に降伏した。それでも血染めの熊は辛そうに首を垂れたらしい。多分全員討ち死にするつもりだったようだが、ソルリアにはそれに対抗するだけの兵力も気力もなかった。良かったのか、悪かったのか……。
「事実だ」
俺とラムがドン引きしながら聞いたその報は、牢の中で疼くまるエイダン君にも伝えられた。
「ソルリア国王が、王太子の1回目の保釈金支払い期限を伸ばせと、期限日に払い込みをしませんでした」
馬鹿か。帝国を馬鹿にするのもいい加減にしろ。この話を聞いた10人中30人はソルリア王は愚鈍だと気が付いただろう。え?多いって?それくらい馬鹿さ加減が突破してるんだよ。
その報告を聞いたエイダン君は土気色になって泣き叫んだらしい。
「い、嫌だ、嫌だ!死にたくない!死にたくないーーーーー!助けて、助けてください!父上父上ー!!」
だが、その願いを叶えてやる事は出来ない。金で済ませてやる事すら物凄い譲歩の上に成り立っているのに。その支払いを訳の分からない自己都合で拒否したと言う事は、支払う気がないのだ。ソルリア王は自分の息子であり王太子の命の値段をその程度の安値だとしたという事だ。
「残念だよ」
罪人の公開処刑はある意味娯楽でエンターテイメントなんだそうだ。国内の不満が溜まりに溜まっている帝国民の前にエイダン君、宰相、その娘が引き出される。
「うーっ!うーーーーっ!!」
3人は縛られて口も猿ぐつわを掛けられていた。その後に続くソルリア騎士達は静かな物で、往生際悪く最後まで泣き叫び暴れる高貴な三人とは対照的だった。
無慈悲に処刑台の上に引きずりあげられる三人を皇帝ラムシェーブルと正妃ソレイユ、その少し後ろに俺が特等席から見下ろしていた。
はっきり言って趣味が悪いし、人が死ぬ所なんて見たくない。でもこれから皇帝と共に生きて行くなら、避けて通れない道だ。甘い、お優しいだけじゃ駄目、時には処分もしなくてはいけない。俺も覚悟を決めたんだ。
すっとラムは手を上げる。合図だ。本来なら、辞世の句なんかをあげさせる所だが、三人は猿ぐつわを外すと呪詛か助けてしか言わない。
三人は跪かされ……処刑人に押さえつけられる。もがいてももがいてももう無理なのに。自分で蒔いた種なのに本当に往生際が悪い。こうなる事くらい簡単に予想出来ただろうに。
無表情でラムは手を振り下ろした。同時に振り下ろされる刃。詰めかけた民衆は熱狂して、帝国に歯向かった逆賊が振り下ろされる正義の刃に屈する事に酔っている。
「……っ」
目を離しては行けない。転がったエイダンの、弟の首を俺はしっかりと見つめていた。
三人の恨みはきっと俺に向いている。それでも俺はもうここで生きると決めたんだ。恨みもつらみも全部背負ってここでラムと一緒に生きていく。
真っ赤な血がドクドクと流れる。国民の血に酔った大歓声の中、次に連れて来られたソルリアの騎士達の処刑が全て終わるのを、じっと見つめていた。目を背ける事はもう許されない。
自分が悪いのに、ソルリア王は「王太子の敵!」と弓を引いた。予想通りの行動に俺もラムも苦笑してしまう。
「騎士団!前へ!」
「はっ!」
事前に配置していた騎士団の壁に、ソルリアの軍はほぼなすすべなく敗走した。特に志願した特攻部隊の副団長マキシマ以下あの場にいて満足な働きが出来なかった騎士達が獅子奮迅の活躍をしてソルリア軍の鼻先どころか喉元にまで喰らいついた。
「わが命はあの時捨てた!今あるのは側妃様への御恩のみ!この命この身全て使い切って果たさねばならぬ!」
帝国の狂気の血熊と二つ名が後につけられたマキシマは喉元だけじゃなくて、ソルリアの心臓にまで到達してそれを引きちぎった。
「ひ、ひいいいい!」
「命は皇帝陛下の裁きを待て!」
「グギャア……ッ!」
ほとんど何の抵抗もないソルリアの道をクロードが呆気にとられながら歩いて行くと、前方から血まみれになったマキシマと騎士達が歩いてきて、クロードの前にポンと肥え太ったおじさんを投げ捨てたそうだ。
「……王座にいたので絞めて来ました」
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「……この男は側妃様の父に当たる人物。それを捕らえたお前も軽はずみな行動は許さんぞ」
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