【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ

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100  ソルリアの最後

「たたたたすけて、助けてくれ!ディエス!」

「……」

 俺のズボンの裾に縋ろうと必死に牢から手を伸ばすソルリア国王を見ても、一欠片も心が動かなかった。

「とても残念ですよ、父上」

 俺はそのまま後ろを向き、振り返らなかった。振り返る必要性も感じなかったのだが、きっと今の俺の顔は決断を下す時の冷たいラムの顔に似ている気がする。

「あれだけの温情をかけられながら全て払いのけた相手に今更何を」

「委細承知」

 俺はこの先ソルリアの処分に関わらない事にする。俺が「甘い」のは皆知っている。でも俺の甘さが国内だけだから許されているんだ。国外の事にも口を出し「甘く」なるようでは諸外国につけ込まれる。そんなことは絶対に許されないし、俺だって嫌だ。

 ラムとセイリオスがかなり厳しめに処分を下し、俺が何か言う事は一つもない。ただ、ディエスの実母という人は助かり、小さな領地に飛ばされた……ってそこ元々住んでたところだよね?つまり何のおとがめもなかったらしい。


「大丈夫か?甘すぎないか?」

「国民は元とはいえ王太子の母親がそんな小さな領地に住んでいる事を知らなかったらしい。だから王宮から地方へ飛ばされて可哀想だと言う事だ」

「へ、へぇ……」

 ディエスの母親に面会するかと聞かれたけれど、断った。何せ子供の頃のディエスの記憶もほとんどないから、会った所で何を話して良いか分からないし、ディエスの母親の方も断ったらしい。

「あのお方は帝国皇帝側妃となられました。私のような地方の一貴族がお会いして良い方ではございません」

 ディエスの母親はしっかりそう言ったそうだ。流石、賢い人は違うなあと感心した。もしかしたらディエスがあのまま王太子で、この母親が王のそばにいたらこんな事にならなかったのでは?と思ったが、王宮では常に虐められていて、正妃が幅を利かせていたから一緒だったかもしれない。

 まあ、もうどうにもならない事だ。

 結局王と王妃、その親戚と帝国に逆らった高位貴族達は処刑場に散って行き、ソルリアという国は無くなった。俺はソルリア王の最後の血筋になるけれど、誰かとの間に子供を作る事はないのでそこで途絶えるだろう。

「美女に会っても誘惑されないように」

「……心配ならあのビリビリ腕輪でもつけとく?」

「そうしよう」

「やめて!メイドちゃん達に怪我の手当てもしてもらえなくなる!」

 ラムの執務室で、報告書を見ながらそんな話をしていた。急に腕を引かれて、椅子に座るラムの膝の上に尻で着地してしまう。

「なんだよう……」

「浮気するなよ、殺してしまいたくなる」

 ちょっと物騒な告白だけれども、なんだかくすぐったい気がするから俺も相当阿呆なんだろう。

「そんなのする隙がねーじゃねえか!」

 なんだかんだ言ってラムの24時間警備は継続中だ。一日の内でラムの視界から俺が外れている時間は1時間もないだろう。俺がソレイユ様の所に遊びに行く時以外はほぼずっと一緒にいる。良く飽きねえな、と思うけれど俺も良く飽きずにラムと一緒にいるよな?

「……まあ、暇があってもしないけど……」

 お、俺だって好きで一緒にいるんだしな?!








 
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