【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ

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112  えーと、ラムさん?

「なあ……ラム。するの?」

「出来ない理由があるなら聞くが?」

「特に……これと言って」

 熱があるとか、食い過ぎて腹を壊したとかないけど、俺、もうおっさんに足を突っ込み始めてるんだぞ。
 若いうちは良かったさ。何せディエスは元々の造形が良かったから、見目麗しい若者がアンアン言っててもまあ、さほど見苦しくないだろうけど。

「俺、もう……歳だし」

 ラムが真顔で首を傾げた。ど、どうした?俺、変な事言ってないぞ。

「ディエスはあまり変わっていない」

「ずっと一緒にいると気が付かないって言うから」

 変わってない訳ない。だって10年以上だ。正確に言えば6歳だったアレッシュ様が24歳になったんだ、18年だよ!そりゃイーライ様もウィルフィルド様も結婚くらいするさ!

「いや、変わっていない」

「変わったよ!……もう若くない、から」

 ラムが黙った。だって気持ち悪いだろう?良い歳したおじさんがさ、変な声出して喘いでいるなんて。

「若くなくなったから……別の若い男に乗り換えるのか……?」

「へ?」

 相変わらず音がない綺麗な足運びで壁に掛かっている剣を手に取った。ラ、ラム、さん??

「誰だ」

「へ?誰って」

「私はお前と常に一緒にいる。その私の目を盗んで誰と逢瀬を重ねた?」

「お、逢瀬ぇ?」

 そんなもん重ねてないけど。て言うかどうやって常に一緒にいるラムに気づかれずに人に会うんだよ??矛盾してますよー?ラムさん??
 でもラムはそう長くない剣を鞘から抜いた。よく手入れされていて部屋の明かりを反射してギラリと不穏に光る。

「アレッシュか」

「へ?」

「イーライかウィルフィルドと何らかの方法で連絡を取り合っているのか?」

「なんらかって……」

 そんな方法無いけど。知ってたら教えて欲しいよ。無茶な事するなーって注意したいくらいだ!

「駄目だ、許さない」

「ラム?」

 な、なんかラムの目が怖い。あ、あれ?ラム、ど、どうしたんだ……??

「ディエス、お前を誰かに渡すくらいならいっそこの場で……」

「ラ、ラムさん?!」

 ラムが抜き身の剣を手に俺にゆらりゆらりと近づいてくる。ど、ど、どうした?!どうしたんだ、ラム!

「私を捨てるなど……絶対に許さない……っ!」

「何を言ってるんだ、ラム……俺は」

 あ、あれ?ラム、ちょっと怖いよ?おーい、ラムー?ラム……?

「大丈夫だ。お前を1人にはしない。1人にしたらすぐに攫いにくる輩がたくさんいるようだからな……すぐに私も」

「ラム……」

 何言ってんだ?でも……。

「ラム。その顔めちゃくちゃかっこいいな!くそっなんでラムだけ何年経ってもカッコいいんだ……狡い!流石俺の旦那だな!このイケメンめ!」

「……」

 あれ?ラムどうした??なんか泣いてるの??どうしたんだ?!腹でも痛いのか!?


 離して貰えたのは次の次の日の夕方だった。




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