【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ

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114 行動で示す事にしよう(ラムシェーブル視点

 ここに越してからやって来る人間の中に貫禄の増したレーツィア嬢がいる。ディエスの姉のような振る舞いは今も健在である。

「これとこれとこれもよ、ディエス」

「お、多くないか?」

「まだまだあるわよ。こっちはピンクになるクリーム」

「いや、そのっ!あのっ!」

 何故かこちらの方を見てあたふたしている私の妻は今日も可愛らしい。

「でも使って頂戴ね、ミステリアス・アイリスシリーズはあなたにかかってるんだから」

「俺ぇ?意味わかんねえ。化粧品だろう」

「化粧品よ?あなたがイメージのね」

「更に分からない……」

 レーツィア嬢はとある巨大な商会の元締めと結婚した。彼は平民の身分だが、元々は侯爵家の嫡男だった。社交界より商売の世界に生き甲斐を見出してしまい父親と大喧嘩の末、無一文で飛び出して貴族籍まで凍結された。
 侯爵家は弟が継ぎ、立派に存続させているが飛び出した先で大成功し、この国で名を知らぬ者がいないくらいの商家に成長させた。
 そこにレーツィア嬢が嫁ぎ、売上が3倍になったと言うから余程相性が良かったらしい。

 そのレーツィア嬢が頻繁に訪ねて来るようになった。いや、もうお嬢さんというのは失礼だ。彼女は5人の子供を産み、全ての子供達は独立し、支店を任されている。

「この紫がイメージカラーの高級ラインなんだけどね?」

「いや、でもさぁ俺、男だぞ?」

「だから良いのよ!そこら辺がミステリアスなの。人は危うい物に惹かれるのよ」

「うーん……?」

 大量の紫色の小瓶を手に首を捻っていたが、言われるままに使い始めた。最初は狭量にも私はレーツィア嬢に嫉妬していたかもしれない。


「うーん……?ツヤツヤ?」

「悪くない」

 ペタペタと何か塗っていたが嫌な感じはしなかった。

「そ、そうか?」

 しかしだ。

「これが指先用、これが唇用、こっちが先端用」

「何の?!」

「あらやだ、言わせたいの?」

 仲良く話しているのはやはり少しだけ腹が立つが。



「だ、だってぇ……こういうのは使えば賞味期限が伸びるかもしれないだろぉ……」

 腹の下で息も絶え絶えに啼きながら呟くから許してしまった。ああやって、ああでもないこうでもない、面倒だとか言いながら

「ラムに嫌がれたくない……」

 私の為にやっていたのかと思うとやはり可愛らしい。

「俺ぇ、きっと可愛くねえ爺さんになるぅーそしたらきっとラムに嫌われちゃう」

「嫌わない」

 何度繰り返しても否定的な考えは改まらないのは自信がないからなのだろう。

「俺、男だし……」

 何度となく呟いた言葉。カズシの世界で同性婚は数が少なく、カズシ自身考えた事もなかったらしい。未来に不安を抱え、私を疑うとは可愛いが腹立たしい。

 お前が信じるまで行動で示す事にしよう。

「ディエス、私はかなりしつこいらしいな?」

「え?うん……そう思うけど」

 質問の意味を図りかねて、不安げに瞳が揺れている。濁りのない綺麗な金色の目だ。歳を取ったとディエス本人は言うが何を言っているのか理解出来ない。ピンと張った肌は触り心地は良い上に手入れもされているから吸い付くようだ。
 大怪我をしてから更に歳を感じなくなっている。神が癒したとか言う力の効果なのではないのか?

「お前がいずれ爺になっても抱くのを止めないから覚悟しろ」

「は?!意味わかんな……やんっ!」

 そう言いながらもきちんと準備された体は苦も無く私を受け入れる。

「きゅ、急だと……びっくりする、から」

「可愛い顔をするから悪い」

「っ!?俺のせいかあ!?」

 私こそお前に嫌われないようにしなくてはいけないな。
 
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