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117 味方皆無也

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「おぅっふ……」

 鏡の中に気持ち悪い生物がいる。それの名前はディエスって言う……つまり俺ね、きつすぎる。

「凄い……イメージ通りよ……!」

「素晴らしいわ……まさにミステリアス……!」

 レーツィアの部下達は目がおかしい。ついでにウチのメイド達も数人来ていて目をキラキラさせて

「ディエス様……素敵」「ああんっ昔から素敵でしたが、近頃は色っぽさが倍増してますわ」「あっ眩暈が……」

 みんな目がおかしい。目薬差した方が良い。

「良いわ……やっぱりいいわね!」

「大事故だろう……」

 そこにはすらりとしたドレスを身にまとわされたおっさんが、かなり高いヒールを履かされたので身長は190センチにも届こうかというおっさんが……女装のおっさんが立っているんだよ!馬鹿ァ!!

「泣きたい」

「駄目ッ!アイメイクが崩れるから!!」

 目の縁はなんか紫色で囲まれてて、怖い。唇もなんか変な色だし、ついでにこのハイヒール歩けるわけがない!2.3歩動いたらカクッてする、足首折るぞ!?

「も、もういいだろ……もう元に戻してくれ」

「まだここは控室よ、これから各国のマダム達にお披露目するんだから。始まってもいないわ」

「俺は終わってるよ……」

 部屋の中をぐるりと見まわしても、俺を見上げるキラキラした女性たちの顔、顔、顔……。

「素敵ぃ……」「ああ、神様ありがとうございます……」「夜の女神だわ……」

「俺、男な……」

 誰も俺の話なんぞ聞いちゃいねえ。助けて、誰か助けて!俺の心の叫びが天に届いたのか、この場で俺の味方に唯一なってくれそうな人物がやっと現れた。

「あ、ディエス。ラム様が来たわよ」

 扉を開けてラムが入ってきた!おおおおおおおたすけてええええ!天の助けよ!

「ラムーー!助けてぇーーー!」

「……」

 案の定俺の酷い恰好を見てラムは固まった。なんか酷い姿をしてるんだ、俺。黒い細身のドレスを着させられている。しかもどうなってんのかしらないけれど、裾に行くにしたがって微妙に色が変わって行って裾は濃い青だ。そんであちこちきらきらしているから宝石?ガラス??なんかいっぱい縫い付けてある。夜空のイメージとか言ってるけど知ったこっちゃねえ!

「ラム!動けないんだ!助けて……ラム?」

「良く……似合っている」

 味方じゃなかった。裏切り者ぉーーーー!



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