【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ

文字の大きさ
127 / 139
番外編

1 可愛いあの子はすっとこどっこい(レーツィア視点

しおりを挟む
「あのすっとこどっこーーいっ!!」

 バシィーン!とても殴り易そうなウサギのぬいぐるみを殴って最後には壁にぶつける。
 レーツィアはちょっと冷や汗を掻いた。

 しまった、この方に下町のお上品では無い言葉とストレス発散殴打用「ボコスカうさたん、クーロちゃん」を差し上げたのは間違いだったとお茶を啜りながら遠い目をする。

「何よっ何よっあの子っ!聞いた!ねぇ、ツィアちゃんっ!」

「あ、はい。それはもう……」

 目の前で真っ黒なうさたんを拾い上げて、まるで少女のように頬を膨らませる方はこの国で一番高貴な女性だ。

「何が、何が……「最近、シミが」よっ!!あんなツルツルですべすべのお肌の癖に!!確かに私より太陽に当たることが少ないかも知れないけどっ!私より少し若いだけなのにーーー!」

「でも確かにディエスの劣化しない外見は不思議ですよね。本人は前に死にかけた時のせいだって言ってますけど」

 私、レーツィアがこの国に来てからもうだいぶ経ち、夫と結婚し、子供が産まれ……まあ所謂おばさんになった。
 その時間の流れは誰にでも訪れるはずなのに、そこから置いてきぼりを食らっている人物が一人いる。

「レーツィア、あのな。俺が使っても良さそうな、その、け、化粧品、とかある……?いや、俺が使うなんておかしいってわかってんだけどさ!で、でも……」

 たまに呼び出される王宮の皇帝の執務室でモジモジとディエスに相談される。何言ってんの?こいつ。ツルッツルのぴっちぴちの皮膚してんのに手入れしたいってほざいたかしら?

「……あー、ほら。貴方をイメージした「ミステリアス・アイリス」シリーズあるでしょ?あれで良いんじゃ?」

 しかもラムシェーブル様の目が痛い。ラムシェーブル様がいない所で話をすれば、それはそれで睨まれるし、いる所で話をすればそれはそれで睨まれる。
 でも、もう慣れた。

「ソ、ソレイユ様みたいに俺、キラキラしてないから、あの人みたいにきれいな感じのが良い」
「それ、ソレイユ様に絶対言っちゃ駄目よ」
「なんで?」
 
 きょとんとする顔。ふん、そのきれいなお顔で皇帝と仲良くやってるんでしょう?なんて思ったが口には出さないわ。ふんっ!

「怒られるわよ」
「怒られなかったよ?」

 もうやらかしてた。きょとんとするディエスを置いてソレイユ様にご挨拶に伺ったら、コレだ。

「ツィア、聞いた?! あの子、おしろいを知らないのよ!私達が一生懸命隠してるのに!隠して隠して保っているのに、「どうしてソレイユ様はそんなに美しいんですか?」ですって!作ってるのよ!私達は!なぁんにもしてないのに!手の甲に1つだけシミが出来ただけで!めそめそしてるのっ!!」

 クーロちゃんをソファにバシバシ打ち付けてソレイユ様は憤慨している。そうよね、あいつは碌なお手入れしてないのにシワ一つないのよ。ムカつくことこの上ないわ。しかももっとムカつくのが

「なぁにが「俺、きれいじゃないから……汚いおっさんなんてゴミ屑以下だろ……その、嫌われたくないし……」ですって?!最早惚気よ、惚気!!別にもうラムの事何とも思ってないけど、私より乙女ってどういう事なのっ!」

 クーロちゃんが限界まで引き伸ばされる。大丈夫、クーロちゃんはとっても丈夫なんですからね。

「シワってそれ、笑ったら出る奴よっ!皆出るの!それをシワなんての言ったら皆しわくちゃよぉーーー!」

 まあ、こうやってソレイユ様もストレス発散しているのよね。私はまだまだ暫く愚痴に付き合う事にする。

「そうそう、ソレイユ様。ディエスをギャフンと言わせる企画を立てているのですが、乗りませんか?」
「乗るわ!絶対乗る!」

 こうしてディエスの2回目の結婚式に強力な助っ人も用意できた。あー楽しみだわー!がっちりきっちりやって儲けて見せるんだからね!




しおりを挟む
感想 264

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。

フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」  可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。  だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。 ◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。 ◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

処理中です...