【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ

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番外編

2 ビバノノ!

 温泉は良いものだ。みんなもそう思うだろ?

「ぬはー、生き返るぅ」

「死んでいたのか?」

「……」

 定番のやり取りみたいな事をラムとする。でも今の俺はそんな些細なボケにツッコんだりしない。何故なら温泉に浸かっているからだ。温泉は良いよねぇ心もほっこりしちゃう。

 と言うか、ずっと来たかったんだよな!王都からかなり離れた場所にある温泉郷は疲れた都会貴族に大人気で、ここの開発に色々口を出したけれど、来た事はなかったんだ。
 何せ俺が旅行となると必ずラムが同行する。現役皇帝が移動するのは警備上大部隊になるし、引退してからもなんだかんだで仕事が多かったし。

 湯治って言う大義名分を掲げてやっと来れたのが嬉しい。

「ふん……」

 この温泉郷の一番高いヴィラの大浴場に浸かりながら俺はちょっとへそを曲げた。せっかく二人で来たのに!なんだよもう!
 大浴場は露天風呂というか露天プールのようになっていて、水着で入る。本当は大浴場は宿泊客が自由に入れるから何人も浸かっている人がいてもおかしくないのだが、今は俺とラムとニコラスだけだ。きっと貸し切ったんだな……。

「ほっほ。ラム様もディエス様もせっかくなので楽しまねば。ディエス様は来たい来たいとおっしゃられておったではないですか、若返るとかすべすべになるとか……」

「わーーーーっ言わなくていい!!」
 
 ニコラス、余計なこと言わないで!!

「そういう事ですのでラム様も機嫌を直されてはいかがですか?ディエス様のしたい事は大抵ラム様に好かれようとの努力ばかりなのですから」

「ニコラスーーーーー!!」

 何言っちゃってくれてんの!?そんなことないってば!そしてラムも分かりやすく機嫌を直すのやめろ!やめろおおおおお!

「うわあーーーーー!」

 俺は居た堪れなくなって大浴場の奥の方に逃げて行った。何だよ何だよっ!

「そ、その通りだけどさぁ……」

 くそっ!だって、俺達どんどん歳取るし。なんか渋くなって行くラムと違って俺は何処へ向かってるのか分からないだせぇ感じだし。ニコラスは良いよな、もう「イケてるお爺ちゃん」路線にばっちりハマってる。
 好々爺の癖にやる時はやる!って感じで、今まで育てて来た若手達を見守りつつもフォローしたりさ。ニコラスの弟子達は中々優秀であちこちで活躍してる、凄い。

「何がその通りなんです?」

「へ?」

 大浴場の奥の奥。不自然に湯気が上がっている中に誰かいた。貸切じゃなかったのか?と思ったが、あのタオルには見覚えがあった。

「風呂の中にタオルを入れるのはマナー違反だぜ、神様」

「な、何ですって?!」

 肩からタオルを掛けた残念神が腑抜けた顔で湯に浸かっていた。慌てて頭の上にタオルを上げている。うん、それならオッケー。




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