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8 バッと裏で糸を引く者 レイクリフ視点
それでも私達はルゼンの騎士、スカーレット王女付きの騎士団の人間なのだ。ちょっと訳ありの双子より自国の王女を優先しなければならない。重い気持ちで王女の警護についている騎士と交代をしなければ。あのわがまま王女の傍にいるだけで生命力や精神力を吸い取られている気がするからな。
「た、団長!副団長っ!大変ですーー! 」
「やはり何かあってしまったか! 」
他国の王宮ですら何かやらかしたのか?? やっぱり離れるべきではなかったし油断すべきではなかった。私達は頭から双子を隅に追いやり真っ赤な災厄をどう片付けようか考えながら現場へ向かった。
「だーからぁ~交換よ、交換。学生の頃にあったでしょう?他国の人間を受け入れる代わりにこちらからも誰かを行かせる、それよ」
「い、いえしかし……そのようなこと、陛下の同意なく執り行うことなど……」
「大丈夫よ、お父様には私から言っておくわ。だから貴方達は王子様達を連れて国へ戻って良いわよ」
「し、しかし……」
団長は我らのスカーレット王女の傍でにこやかに微笑むフィフナー国宰相に視線を投げた。スカーレット王女は言い出したら聞きはしない。この方に何か言ってももう無駄だから、話が分かる人と話さなければならない。
「良いではありませんか。きっと本人達にもいい刺激になりますよ」
そう人の良さそうな笑顔を寄越すも、私も団長もその裏に黒く、暗い本心が透けて見てるようだ。
「し、しかし……スカーレット王女をフィフナーへ、フィフナーの第三王子、第四王子をルゼンへお連れするなど」
「いい案でしょ?」
スカーレット王女が自慢げに言い放つが、おかしいことに気づいて欲しい。完全にこのフィフナーの宰相の手のひらで踊らされている。まず、問題児を一人放出して二人受け入れるということは数の面から見ても完全に不平等だろうが!!
「国が変われば人の在り方も変わります。それを学んでこその王族、私達はルゼンを友と信じているからこそ、王子をお願い致すのです……そちらも我々を信じて王女をお預け願えませんかね? 」
そんな女ならいくらでも持っていけ!と喉までせり上がってきたが、騎士としての矜持がそれを飲み込ませた。
「し、しかし! 」
そんな話飲めるわけがない。しかもこの場に当の王子達はいない……城の中にもいない、宿屋ですぴょすぴょと可愛い寝息を立てて寝ているからだ。本人達がいないのに決めていいわけないだろう?
「と、いってもぉ~サインしちゃったんだもんね~ふふん」
「バッ……」
バカ女、のバだけが飲み込めきれずに団長の口から吹っ飛んできた。またよく読みもしないで書類にサインをしたのかあのバカ女は!!それで何度詐欺に遭い、国費を削られたことか!まだ反省がないなんて。もう……もう嫌だ。
「団長……」
「……ああ……」
私達の心は定まった。このわがまま馬鹿王女に振り回され、しりぬぐいをさせられ続けるより、口は悪くてたまに何を言っているか分からないけれど、キラキラした目で見つめてくる双子王子の方がよっぽどいい。俺と団長は同じことを考えたんだろうな、一心同体だ。
「我々は……王女のお考えに従います。国王陛下にご連絡をお取りくださいませ」
「ありがとうございます。こちらとしてもとても助かりますよ」
宰相の口の端がニヤリとつり上がる、なんて悪人顔なんだろうと思ったが、私達は困り顔を通した。きっと双子王子の悪評を流しているのはこの宰相なんだろうな、と見当がついてしまったし、このまま反発し続ければ宰相から睨まれ、何らかの不利な状況を作られ……条件を飲まざるを得なくされそうだ。ここはわが国ではないのだから。
こうして我々は、スカーレット王女と彼女の侍女数人をフィフナー国へ残し、帰りの馬車には第三王子のリュキッシュと第四王子のマシェッツを乗せ、ルゼンへ戻ったのだった。
「た、団長!副団長っ!大変ですーー! 」
「やはり何かあってしまったか! 」
他国の王宮ですら何かやらかしたのか?? やっぱり離れるべきではなかったし油断すべきではなかった。私達は頭から双子を隅に追いやり真っ赤な災厄をどう片付けようか考えながら現場へ向かった。
「だーからぁ~交換よ、交換。学生の頃にあったでしょう?他国の人間を受け入れる代わりにこちらからも誰かを行かせる、それよ」
「い、いえしかし……そのようなこと、陛下の同意なく執り行うことなど……」
「大丈夫よ、お父様には私から言っておくわ。だから貴方達は王子様達を連れて国へ戻って良いわよ」
「し、しかし……」
団長は我らのスカーレット王女の傍でにこやかに微笑むフィフナー国宰相に視線を投げた。スカーレット王女は言い出したら聞きはしない。この方に何か言ってももう無駄だから、話が分かる人と話さなければならない。
「良いではありませんか。きっと本人達にもいい刺激になりますよ」
そう人の良さそうな笑顔を寄越すも、私も団長もその裏に黒く、暗い本心が透けて見てるようだ。
「し、しかし……スカーレット王女をフィフナーへ、フィフナーの第三王子、第四王子をルゼンへお連れするなど」
「いい案でしょ?」
スカーレット王女が自慢げに言い放つが、おかしいことに気づいて欲しい。完全にこのフィフナーの宰相の手のひらで踊らされている。まず、問題児を一人放出して二人受け入れるということは数の面から見ても完全に不平等だろうが!!
「国が変われば人の在り方も変わります。それを学んでこその王族、私達はルゼンを友と信じているからこそ、王子をお願い致すのです……そちらも我々を信じて王女をお預け願えませんかね? 」
そんな女ならいくらでも持っていけ!と喉までせり上がってきたが、騎士としての矜持がそれを飲み込ませた。
「し、しかし! 」
そんな話飲めるわけがない。しかもこの場に当の王子達はいない……城の中にもいない、宿屋ですぴょすぴょと可愛い寝息を立てて寝ているからだ。本人達がいないのに決めていいわけないだろう?
「と、いってもぉ~サインしちゃったんだもんね~ふふん」
「バッ……」
バカ女、のバだけが飲み込めきれずに団長の口から吹っ飛んできた。またよく読みもしないで書類にサインをしたのかあのバカ女は!!それで何度詐欺に遭い、国費を削られたことか!まだ反省がないなんて。もう……もう嫌だ。
「団長……」
「……ああ……」
私達の心は定まった。このわがまま馬鹿王女に振り回され、しりぬぐいをさせられ続けるより、口は悪くてたまに何を言っているか分からないけれど、キラキラした目で見つめてくる双子王子の方がよっぽどいい。俺と団長は同じことを考えたんだろうな、一心同体だ。
「我々は……王女のお考えに従います。国王陛下にご連絡をお取りくださいませ」
「ありがとうございます。こちらとしてもとても助かりますよ」
宰相の口の端がニヤリとつり上がる、なんて悪人顔なんだろうと思ったが、私達は困り顔を通した。きっと双子王子の悪評を流しているのはこの宰相なんだろうな、と見当がついてしまったし、このまま反発し続ければ宰相から睨まれ、何らかの不利な状況を作られ……条件を飲まざるを得なくされそうだ。ここはわが国ではないのだから。
こうして我々は、スカーレット王女と彼女の侍女数人をフィフナー国へ残し、帰りの馬車には第三王子のリュキッシュと第四王子のマシェッツを乗せ、ルゼンへ戻ったのだった。
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