【完結】双子の隠キャが踊ります?約束された幸せは幸せでした

鏑木 うりこ

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96 女神様のお怒りが深いぞ

「なんでよ……私は王女なのよ。皆、皆私のことを愛して当然なのよ?なんで私の騎士達は私を迎えに来ないの?どうして」

 そんなことを呟きながら、あの日スカーレット王女は泣き崩れたらしい。けれど誰も手を差し伸べなかったってさ。

「そりゃ……あんなのに声なんてかけたら末代まで祟られるじゃないですか。ちょっとも優しくしなかったのに、彼らがどうなったか知ってるでしょう?あー怖い怖い」

 騎士とはいえ、上に立つ者がろくでもないと真の忠誠なんて誓えないってやつだ。多分自業自得って言うと思う。

「そこのお前!お前で良いから手を貸しなさい!」

 暫くして起き上がろうとした王女は近くにいた騎士に命令をしたらしいけれど、みんな聞こえない振りをして教会から駆け出したらしい。

「うわー大変だー花嫁泥棒がー可愛らしい花嫁を攫っていったぞーうわー」
「なんてことだー王家主催の式が台無しだー犯人を捕らえろーうわー」
「うわーなんだこの花は-もしや女神様からの祝福かーうわー」
「な、なんと女神様の祝福は逃げた花嫁と騎士に降り注いでいたのかーうわー」
「するとこちらが女神様が祝福した二人なのかーうわー」

 全部棒読みで、本気で追いかけるわけでもなく、私達の後ろでそんな演劇めいた台詞を吐きながらついてきたもんで、ルゼンの国民はこの話を知ってしまったようだ。や、やめてよ恥ずかしい!

「あれ……?お姫様じゃなくて男の人だよ?」
「でも女神様が祝福してそれでいいっていってるんだからいいんじゃない?」
「そっかーじゃあいいか!」

 なんか、大変柔軟な考えの方も多いらしく「ま、いっか!」でその辺は済んでしまったらしい……いいのかな。

 それよりも女神様の怒りは全然解けなくて、私達が国から出るとまたルゼン国は暗雲に包まれて、太陽が見えなくなってしまい雨が降り、雷が鳴り続けている。完全な日照不足で作物が全部枯れちゃったり、川が決壊してみたりカビが生えたりおおよそ「まとも」な状態じゃないんだ。
 特にスカーレット王女たちが暮らしている王城の周りが酷くて、何もかもびっしゃびしゃに濡れているらしい。強固なお城の屋根も、何度も何度も雷に打たれると穴が開いてそこから雨と風が容赦なく入ってくる。直そうにも屋根に人が上がれる状態じゃないし、上がった所で強風で作業もできない。というか雷が危なくて絶対無理って状態。

「め、女神様のお怒り……」
「うるさいわねっお黙りッ!」

 誰もがそう思ったけれど、文句を言えば100倍になって罵詈雑言が帰ってくるから皆口をつぐんでるみたい。あまりの長雨のせいで風邪とかが流行っちゃってかなり悲惨な状態らしいけれど、女神様たちは許す気はないらしい。

 とても申し訳なくて、ワール商会の人たちに炊き出しを頼んだりしている。

 そしてこの長雨が降り、太陽がまったく顔を出さない状態は私達の元故郷のフィフナーでも続いていて、向こうもかなり病人が増えている……向こうの炊き出しは王太子である兄上とエリーゼちゃんが主導してくれてる。

 うーん……やっぱちょっと可哀想になってきたかもなあ……。
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