9 / 75
9 パーフェクト・ダイフク・ビジュアル
しおりを挟む
「誠子……」
「駄目だ」
「誠子ぉ……」
「駄目だって言ってるだろう!」
わっ!と大福は顔をお腹の下に隠して泣いている。完全に大福である。
「何が梅酒が飲みたいだ!?ふざけんな!死ぬ気か!」
「うわーーー!初夏のお楽しみではないかーーー!」
季節は夏になりかけている。
「せめて梅の実をカリカリしたいのだ」
「駄目だ!ハムスターには有害な物質が含まれているって検索結果に出ている!しかもアルコールは駄目っ!ハムスターは水以外飲めん!」
大福の真っ黒な黒豆みたいな目に水の膜が張って行く。ポロリ、体に似合わぬ大きな涙が真っ白い毛の上を滑って落ちた。
「う……うう……わ、私は酒も飲めんのか……」
「大福……」
なんだか憐れ。
「だが、駄目だ」
ピシャリと言い切る私に
「誠子おおおおーーー!」
今日も大福の叫び声が響く。やめろ、近所に聞こえたら誤解されるじゃないか!
「えー?少しくらい良くないですかぁ?」
佐倉改め海野美智子はトントンと書類を整えながら言う。良い結婚式だった。一応私も呼ばれたのだ。
出会い?勿論ないぞ。
「なんでも、ハムスターは体が小さいだろう?だから、人間がほんの少しだと思ってもハムスターにとっては致命傷なんだと」
へえ!海野さんはまじまじと私を見た。
「朝比奈さんって割と色んなことどうでも良さそうにしてるけど、大福ちゃんに関しては真面目なんですね」
「はは、バレてたか」
私は真面目な社員とは言えない。普通程度に仕事をして、普通程度に老いて、あまり人に迷惑をかけずに死んで行こうと思っている。
親ももう居ないし、兄弟もいないからそれで良いと思ってるし、大福だってハムスターだ。確実に私より早く死ぬだろう。
「出来る事なら長生きして、天寿を全うさせてやりたいからな」
親の介護はできなかったが、大福の介護はしてやる気満々なんだ。
「優しいんですね」
海野さんはそう言ったが、わたしがそうしたいだけだし、家に帰れば
「うわーーー誠子ぉーー!米が食べたいーーー!」
「駄目だ!頬袋にくっついて腐るって書いてある!」
「うわーーーー!」
大福は今日も泣き叫んでいる。
けして虐待ではない!
「駄目だ」
「誠子ぉ……」
「駄目だって言ってるだろう!」
わっ!と大福は顔をお腹の下に隠して泣いている。完全に大福である。
「何が梅酒が飲みたいだ!?ふざけんな!死ぬ気か!」
「うわーーー!初夏のお楽しみではないかーーー!」
季節は夏になりかけている。
「せめて梅の実をカリカリしたいのだ」
「駄目だ!ハムスターには有害な物質が含まれているって検索結果に出ている!しかもアルコールは駄目っ!ハムスターは水以外飲めん!」
大福の真っ黒な黒豆みたいな目に水の膜が張って行く。ポロリ、体に似合わぬ大きな涙が真っ白い毛の上を滑って落ちた。
「う……うう……わ、私は酒も飲めんのか……」
「大福……」
なんだか憐れ。
「だが、駄目だ」
ピシャリと言い切る私に
「誠子おおおおーーー!」
今日も大福の叫び声が響く。やめろ、近所に聞こえたら誤解されるじゃないか!
「えー?少しくらい良くないですかぁ?」
佐倉改め海野美智子はトントンと書類を整えながら言う。良い結婚式だった。一応私も呼ばれたのだ。
出会い?勿論ないぞ。
「なんでも、ハムスターは体が小さいだろう?だから、人間がほんの少しだと思ってもハムスターにとっては致命傷なんだと」
へえ!海野さんはまじまじと私を見た。
「朝比奈さんって割と色んなことどうでも良さそうにしてるけど、大福ちゃんに関しては真面目なんですね」
「はは、バレてたか」
私は真面目な社員とは言えない。普通程度に仕事をして、普通程度に老いて、あまり人に迷惑をかけずに死んで行こうと思っている。
親ももう居ないし、兄弟もいないからそれで良いと思ってるし、大福だってハムスターだ。確実に私より早く死ぬだろう。
「出来る事なら長生きして、天寿を全うさせてやりたいからな」
親の介護はできなかったが、大福の介護はしてやる気満々なんだ。
「優しいんですね」
海野さんはそう言ったが、わたしがそうしたいだけだし、家に帰れば
「うわーーー誠子ぉーー!米が食べたいーーー!」
「駄目だ!頬袋にくっついて腐るって書いてある!」
「うわーーーー!」
大福は今日も泣き叫んでいる。
けして虐待ではない!
2
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
菱沼あゆ
キャラ文芸
「同窓会っていうか、クラス会なのに、知らない人が隣にいる……」
クラス会に参加しためぐるは、隣に座ったイケメンにまったく覚えがなく、動揺していた。
だが、みんなは彼と楽しそうに話している。
いや、この人、誰なんですか――っ!?
スランプ中の天才棋士VS元天才パティシエール。
「へえー、同窓会で再会したのがはじまりなの?」
「いや、そこで、初めて出会ったんですよ」
「同窓会なのに……?」
大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
菱沼あゆ
キャラ文芸
華族の三条家の跡取り息子、三条行正と見合い結婚することになった咲子。
だが、軍人の行正は、整いすぎた美形な上に、あまりしゃべらない。
蝋人形みたいだ……と見合いの席で怯える咲子だったが。
実は、咲子には、人の心を読めるチカラがあって――。
記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー
コーヒー微糖派
ファンタジー
勇者と魔王の戦いの舞台となっていた、"ルクガイア王国"
その戦いは多くの犠牲を払った激戦の末に勇者達、人類の勝利となった。
そんなところに現れた一人の中年男性。
記憶もなく、魔力もゼロ。
自分の名前も分からないおっさんとその仲間たちが織り成すファンタジー……っぽい物語。
記憶喪失だが、腕っぷしだけは強い中年主人公。同じく魔力ゼロとなってしまった元魔法使い。時々訪れる恋模様。やたらと癖の強い盗賊団を始めとする人々と紡がれる絆。
その先に待っているのは"失われた過去"か、"新たなる未来"か。
◆◆◆
元々は私が昔に自作ゲームのシナリオとして考えていたものを文章に起こしたものです。
小説完全初心者ですが、よろしくお願いします。
※なお、この物語に出てくる格闘用語についてはあくまでフィクションです。
表紙画像は草食動物様に作成していただきました。この場を借りて感謝いたします。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる