【完結】妹ざまぁ小説の主人公に転生した。徹底的にやって差し上げます。

鏑木 うりこ

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2 記憶は8歳で蘇る

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 学園での婚約破棄騒動なので、私は早退をします。帰路、記憶を思い出してからの事を整頓したかったからでした。
 最初に前世の記憶が蘇ったのは私がまだ8歳の頃の話です。

「お母様、お父様の愛人がお母様亡き後、喪も明けぬうちに入り込んで来るのです」

「……アンゼリカ、お父様の愛人の事はどこで……ううん、それはもうどうでも良いことね」

 体のお強くないお母様は小説ではアンゼリカが8歳の時に儚くなってしまう。養生したとしてもアンゼリカが10歳になるまで生きられるかどうか……。

「お祖父様に手紙を書いておきましょう。あなたの助けになるように」

「分かりました」

「そしてあなたは一人で立つ事を覚えるべきですね。王太子様は味方になってくださるでしょう?」

「マルセル様は私の敵になります。いずれやってくる妹と婚約をするのです。私とは婚約破棄をして」

 そんな事が罷り通る訳が……と、お母様は呟きますが

「何があるかわかりませんものね。最悪の事態の想定は必要ね」

 そして私はお母様の実家、お祖父様に助力をしていただく事になり、このザザーラン家でできる限りの事をしようと思ったのです。

 小説のアンゼリカは訳もわからず混乱し、悲しみ、そして幼なじみに救われますが、未来の事をある程度分かっているなら、そんな事をする必要は無いのです。
 最終的に助けてくれるとは言え、幼馴染のルーアン公爵令息、あまり好きではないので。

 セルドア・ルーアン公爵令息は首都のタウンハウスが隣同士の幼馴染です。彼はどこか恩着せがましく、アンゼリカを下に置く事を望む人物ですからね。

「よーアンジェ!虫取りしようぜ!」

「……嫌です」

 私が虫が嫌いなのを知っているのに、庭の垣根の向こう側からニヤニヤして聞いてくる。
 今ならあれは気になる好きな子いじめだとわかるのですが、その意を汲んでやる必要なんてないのです。

「私が死んだ後、愛人が入り込みこの家を乗っ取る。そしてアンゼリカの婚約者であるマルセル殿下も取られる、そうなのですね?」

「その通りです、お母様」

 まだお母様がご健在の内に、私達はありとあらゆる手を打ちました。

「私と旦那様はお父様が決めた結婚でした。旦那様がこのような方だと見抜けなかったお父様、アンゼリカのお祖父様にも責任はありますね」

「心強いです、お母様」

 愛人がいる事も知り、そいつが家を乗っ取り私を虐げる……そうはさせまいとお母様は精力的に動き、なんと私が12歳になるまで生き抜いてくださいました。

「これからが勝負よ、決して負けないで」

「分かりました」

 病床のお母様は私の手を握りしめ、

「絶対に幸せになるのよ」

 そう強く願って息を引き取りました。そうして仕込んだ全てを今、使う時が来たのです。

 私は小説の中のアンゼリカのように弱くはなくてよ?やるからには徹底的に、ですわ。

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