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4 契約を遂行して
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「な、何だって……?アンゼリカを呼べ!」
リルファが帰宅してすぐ呼び出される。あの子は喜び勇んで私が婚約破棄された事をお父様にお伝えしたんでしょうね。まあ……予想通りね。
「お呼びでしょうか、お父様」
大して使われてもいないお父様の執務室に入る。そして挨拶もしないうちに
「アンゼリカ!お前、マルセル殿下に婚約破棄されたそうだな!使えない馬鹿娘が!」
予想通り過ぎて笑ってしまいそうになるのを必死で堪える。
「それにしてもリルファは良くやった。お前が新たにマルセル殿下の婚約者となると、私も鼻が高いぞ。可愛いリルファ、殿下を盛り立てて頑張るのだぞ?」
「私でお役に立てれば嬉しいのですが……頑張りますわ」
「これに比べてアンゼリカ……お前はなんという出来損ない!この親不孝者が!この家から消えてしまえ!」
「宜しいのですか?」
「なにぃ……?」
「私がこの家から出て、ザザーラン家から縁を切ってよろしいのですかと聞いております」
年齢よりかなり進んだ頭髪の寂しさが露わなお顔を真っ赤にして、お父様は言い切りました。
「お前など私の娘ではない!さっさとこの家から出ていけ!金輪際ザザーラン家に関わるな!勿論縁も切る!」
はっきり言いましたわね、このタコ頭野郎が。
「フィリッツ、聞きまして?」
「はい、しっかりと」
「では、契約を遂行して」
「お任せくださいませ」
執事のフィリッツは深く礼をして出ていきます。これからやる事が多いですからね。
そして私はタコ頭親父に向き合い、美しく最後の礼をするのです。
「分かりましたわ。これより、私はこのザザーラン家の一切より縁を切らせて頂きます。12歳までお世話になりました。まあ、そこから今まではお世話してやったのですけれどね?ではご機嫌よう」
「な……何を……」
私があまりにあっさりしているので面食らっているのでしょうね。くるりと踵を返して、私は元お父様の執務室を出て行きます。
「お嬢様、書類の鞄でございます」
メイドの一人が恭しく鞄を差し出してくれた。
「ありがとう。馬車はついているかしら?」
「公爵令息が首を長くしてお待ちです」
嫌だわ、セルドアは必要ないのに。
「仕方がないわね、行きましょう」
「はい、お嬢様」
メイドはぺこりと頭を下げ、私に付き従う。
「おい!塩でも撒いておけ!」
「……」
メイドは少しだけ振り返り
「ふん」
冷たい視線を元お父様に投げた後、私の後ろへ続きます。お父様はメイド達からも嫌われていますからね。
「な、なんなんですの!あのメイド!このお屋敷のご主人様に向かってあの態度!お父様、首にしましょう!」
「そうだな、リルファ!おい、メイド!お前は首だ!首になりたくなければ土下座をして、わしに頭を下げろ!!」
勿論メイドは振り返る事すらなく、私の後をついてくるのですけれどもね?
リルファが帰宅してすぐ呼び出される。あの子は喜び勇んで私が婚約破棄された事をお父様にお伝えしたんでしょうね。まあ……予想通りね。
「お呼びでしょうか、お父様」
大して使われてもいないお父様の執務室に入る。そして挨拶もしないうちに
「アンゼリカ!お前、マルセル殿下に婚約破棄されたそうだな!使えない馬鹿娘が!」
予想通り過ぎて笑ってしまいそうになるのを必死で堪える。
「それにしてもリルファは良くやった。お前が新たにマルセル殿下の婚約者となると、私も鼻が高いぞ。可愛いリルファ、殿下を盛り立てて頑張るのだぞ?」
「私でお役に立てれば嬉しいのですが……頑張りますわ」
「これに比べてアンゼリカ……お前はなんという出来損ない!この親不孝者が!この家から消えてしまえ!」
「宜しいのですか?」
「なにぃ……?」
「私がこの家から出て、ザザーラン家から縁を切ってよろしいのですかと聞いております」
年齢よりかなり進んだ頭髪の寂しさが露わなお顔を真っ赤にして、お父様は言い切りました。
「お前など私の娘ではない!さっさとこの家から出ていけ!金輪際ザザーラン家に関わるな!勿論縁も切る!」
はっきり言いましたわね、このタコ頭野郎が。
「フィリッツ、聞きまして?」
「はい、しっかりと」
「では、契約を遂行して」
「お任せくださいませ」
執事のフィリッツは深く礼をして出ていきます。これからやる事が多いですからね。
そして私はタコ頭親父に向き合い、美しく最後の礼をするのです。
「分かりましたわ。これより、私はこのザザーラン家の一切より縁を切らせて頂きます。12歳までお世話になりました。まあ、そこから今まではお世話してやったのですけれどね?ではご機嫌よう」
「な……何を……」
私があまりにあっさりしているので面食らっているのでしょうね。くるりと踵を返して、私は元お父様の執務室を出て行きます。
「お嬢様、書類の鞄でございます」
メイドの一人が恭しく鞄を差し出してくれた。
「ありがとう。馬車はついているかしら?」
「公爵令息が首を長くしてお待ちです」
嫌だわ、セルドアは必要ないのに。
「仕方がないわね、行きましょう」
「はい、お嬢様」
メイドはぺこりと頭を下げ、私に付き従う。
「おい!塩でも撒いておけ!」
「……」
メイドは少しだけ振り返り
「ふん」
冷たい視線を元お父様に投げた後、私の後ろへ続きます。お父様はメイド達からも嫌われていますからね。
「な、なんなんですの!あのメイド!このお屋敷のご主人様に向かってあの態度!お父様、首にしましょう!」
「そうだな、リルファ!おい、メイド!お前は首だ!首になりたくなければ土下座をして、わしに頭を下げろ!!」
勿論メイドは振り返る事すらなく、私の後をついてくるのですけれどもね?
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