【完結】妹ざまぁ小説の主人公に転生した。徹底的にやって差し上げます。

鏑木 うりこ

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28 真の上質より上辺だけ

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 まともに働き、給金を得る事を出来ないまま、元ザザーラン邸の補修は終わりかける。以前より品があり美しい屋敷に生まれ変わったと言えるだろう。そこそこに広い庭も、家人の趣味だろうか?薄い色の薔薇が品よくまとめられて植えていて、公爵家の庭に相応しかった。

「なにこの庭、センスがないわ!私ならもっと赤とかオレンジとか高級なバラをたくさん植えるのに!」

 ドロシーは庭に花を植える仕事を受け持っていた。ザザーラン公爵夫人であった時はそんな事気に留めた事もなかった癖に、今更に文句をぼろぼろとこぼす。
 何も考えずに値段が高い花を植えて自己満足に浸りたい。人からどう見られるかなんて気に留めたこともないそんな発言だったが

「そうよね、こんな安っぽい小さな花なんて見栄えがしないわ。引っこ抜いちゃおう!どうせ私達が屋敷に戻ったら植え直すんだから、今やっても良いわよね?」

「あら、リルファったら流石ね。そうしましょう」

 勝手に花を植え替えては、造園士にこっ酷く叱られる。

「お前ら!何やってんだ!!フェアリーローズを引き抜いて趣味の悪い安物を植えるなんて!!お前らが引き抜いておったフェアリーローズがいくらすると思ってるんだ!お前らの一週間分の給金より高いんだぞ!!」

「う、嘘でしょ……」

「分からんのか!この高貴な佇まい、密やかに変わる繊細な色味!美しい香り!ああ!全て特級品!こんな薔薇を扱えるなんて公爵家の庭くらいしかないと言うのに!」

「え……そう言われてみれば匂いは良いわね?仕方がないわ。これにしておいてあげる」

 造園士は「こいつら何言ってんだ?」と軽蔑の眼差しで見たが、ドロシーとリルファは気づかぬままだった。

「この家に戻った時に自慢できるわね」

 自慢できる相手もいないと言うのに。同じような事をタティオも繰り返していた。

「ワシの執務室の扉の取手はやはり金でなければ」

「なに安っぽいメッキの取手をつけようとしてんだよ!品が下がる!親方の設計通りにやれ!」

「しかし、ワシはこっちの方が良い」

「ふざけてんのか!それにしても趣味悪すぎるだろ?本当にそんなのつけるやつは成り上がりの中でも見栄ばっかりはる小僧だけだろ!俺達だってそんなのつけねえよ」

「へ?」

「本物の貴族の公爵様がそんなモン使う訳ねーだろ!少し考えりゃ誰だって分かる!付け直しとけ!」

「……そう言われてみればそうか……?」

 タティオ達が余計な事をするせいで完成は三日ほど遅れたが、以前とは比べ物にならない美しい屋敷にザザーラン邸は生まれ変わった。

 あともう少しで苦役から解放されるはず、と何とか働き続けるリルファの横にある屋敷の玄関に美しい貴族の馬車が止まった。勉強不足のリルファには分からなかったが、それはラグージ家の紋章がついた馬車だった。

 そして、紳士に付き添われ美しい令嬢が降りてくる。

「あ」

 リルファははしたなく大口を開けてその令嬢を見上げると

「屋敷の仕上がりはどうかしら?少し急ぐようにお願いしたのだけれども」

「申し訳ごさいません、アンゼリカ様。三日ほど遅れておりますが、大体完成でございます」

「悪くないわね。ごめんなさいね、こちらも急ぐ用事があって。給金は割増になってると思うけれど、もう少し上乗せするわ」

「あ!ありがとうございます!!」

 現場監督と話しているのは、リルファの元姉のアンゼリカだった。

「ア、アンゼリカ!!」

 リルファの大きな叫び声が辺りに響いた。
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