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38 本当に知らなかったんだって!(アリアン
しおりを挟む俺は生まれながらに強かった。卵から孵った時のことは覚えていないが、記憶がある範囲であれば俺は負けたことがなかった。何せ竜の鱗はとても硬い。大抵の攻撃など通りもしないからだ。
だから、リンカに負けて凄く驚いたし……そして、鱗がない場所がこんなに痛くておかしな感覚がするなんて知らなかったんだ。
「い、いたい……うう、いたいよう……」
「アリアン……」
わざとじゃないのは分かってる。ルシは俺を支えようとしてくれたんだってことは分かってるけど、まさか鱗がはげた場所に指が当たるなて思ってなかったし、当たっただけでこんなに痛むなんて知らなかったんだ……というか、痛みというものをつい最近知った。まさか鱗をはいだらこんなにじくじくするなんて知らなかったんだ……。
「アリアン……もう、なんてことしてるの」
「うう~……」
いい考えだと思ったし、鱗はいっぱいあるから一枚くらいって思ったらずっと痛くて驚いた。ルシの前では全然平気なフリしてたけど、いなくなったらリンカが慌てて交代して手当てしてくれた。
「包帯でも巻いておこう?」
「駄目だ。ルシにバレたらかっこ悪いだろ」
「でも……」
「平気だ!」
っていってもずっとじくじくしてた……痛みだって共有してるから全然平気じゃないことをリンカも気が付いてたけど、それ以上リンカは何もいわなかったし、怒らなかった。たまに「早くよくなーれ」って撫でてくれるくらいだった。薄い皮が張るのに何日もかかったけれど、なんとか痛みも減ってきたけど、触られると痛いんだ。
「アリアン、少し横に」
「ひっ……うご、動かないでっ……」
それにどうして鱗がない場所はこんなに変な感じがするんだ。まさかこんななんて知らなかった……だってちょっと突っ込んでそれで子種をちょっと腹の中にいれれば卵ができるって、青の奴が緑から聞いてきたのに凄く変な感じがするんだ。
「くるし……いたい……きついぃ……抜いてぇ」
「だからそれにはお前が上に乗っていては……」
「うう~……ふぅ、ふぅ……む、むりぃ」
全然力が入んねぇ……ちょっとでも動こうとすると痛みがぶり返すし、腹の中を押されてるのも気持ち悪い……リンカ、リンカ、俺、どうしたら良いんだ?
って駄目なんだ、リンカの野郎さっき変な戯言を叫びながら気絶したんだ。えーとなんだっけ、ニジソーサクがウスイホンでどうとかこうとか……わかんねぇ、よく思い出せない。
「アリアン、悪かった」
「う、うう~」
ルシが鱗が剥げた場所を優しく撫でてくれる。なんだかリンカに撫でてもらった時みたいに少しづつ痛みが引いていく気がする。俺はずっと一人でいたから知らなかったし、今まで怪我なんてしたことなかったから知らなかったんだけど、怪我した時は誰かに撫でて貰うと少しづつ治るもんなのかな?
だとしたらいっぱい撫でて欲しい、今もすげえ痛いんだもん。ルシ、いっぱい撫でてくれ……。
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