46 / 83
46 そちらもそろそろテコ入れを
しおりを挟む
リンカもそれがいいといい、アリアンは小さく縮まりながらもそのままでいいという。当人達がそれでよいなら私に何もいうことはない。
「行ってきます」
「ああ、頼んだ。リンカ」
私の手足のようにリンカは雑用から何からを買って出てくれ、何でもこなしてくれる。アリアンはずっと眠いらしく、昼夜問わずベッドの上で小さく丸まって寝ている。そして私は寝室のベッドの横に小さなテーブルと椅子を置いて仕事や読書をしていた。膝の上から降りたものの傍に居ないと不安らしい。
たまにアリアンは目を覚まし、少しだけ果物をかじりまた寝ている。たまに寝息が途切れ、ごそごそと動きだす。
「ん……」
「起きたのか」
「ん……なんでこんなにねみぃんだろぅ……」
「……季節のせいだとリンカが言っていただろう」
「そっかぁ」
卵が本格的に成長してきたからだとリンカはこっそり教えてくれる。アリアン自身に教えないのは「たぶんビビるから」だそうだ。自分の体の変化に女性でも驚くことが多いそうで、そうでなくても意外と怖がりなアリアンではどんな素っ頓狂なことをするか分からないからと笑っていた。
「ふぁ……」
「眠いなら寝ると良い」
「ん……」
アリアンは枕を抱えてまた眠りに落ちる。こうしてたまに目を覚ました時に、私かリンカが傍に居ないと慌てて探し回る。少し面倒だなと思う所もあるが、頼りにされると悪くない気持ちにもなる。仕事の方はリンカが張り切って片付けてくれるから、以前より進展が早い。リンカは私以上に仕事をこなねば気が済まない性格のようだ。私達にはしっかり休憩を取れという割に本人はどうしているのやらか。
アスガン宰相から貰って来た書類を精査する。やはり王家家族の支出額が大きい……特に王太子だ。去年より増加しているのが聖女のための支出だ。やっと周囲から聖女の存在意義について疑問視する声が上がり始めた。以前の王宮ならば事なかれ主義か私腹を肥やすのに忙しい奴らばかりだったので、まともな議題があがってこなかったが今は違う。まともに自分の頭で国のために考えることができる貴族ばかりだ。そして私やアスガン宰相が間違っていれば
きちんと反対意見を口にできる気骨のある人物が多数いる。
「存在意味のない聖女にかける金はどうなのだ」
誰もが静かに頷いたようだ。竜の巫女にもなれなかった聖女、国に災害が訪れないが故にその癒しの力を使ったこともない聖女。ただただ、王太子に侍り、騎士団長を顎で使う女。国の貴人としての教養もマナーもなく、やる気も見えないらしい。もう聖女の教師を務めたいという貴族女性はいないという話で、王妃付きの侍女が必要最低限のことを教え込んでいるが、覚えは良くない。故に外交の場に出す事もできないし、他国の支援にも使えない。
「外交パーティにも出せぬのになんだこのドレス衣装代というのは」
王太子が自分の財産から出しているのであれば誰も文句はいわない。しかし厚顔無恥にも公的に請求してきたのだ、これは流石に声が上がる。
「聖女にドレスが必要か?」
「聖女らしく僧服で良かろう」
「着飾る意味などないではないか」
至極当然な意見が交わされたと書かれているし、私も同意する所だ。大人しく神に祈り、街の人々を癒して回ればよいのに、不相応なことをしようとして余計な支出を繰り返している。それを制御できぬ王太子の無能、引いては王家の対応について貴族達からの不満は日々溜まっている。
一度アスガン宰相に出向いていただき、話を詰めねばならんかもしれない。
「行ってきます」
「ああ、頼んだ。リンカ」
私の手足のようにリンカは雑用から何からを買って出てくれ、何でもこなしてくれる。アリアンはずっと眠いらしく、昼夜問わずベッドの上で小さく丸まって寝ている。そして私は寝室のベッドの横に小さなテーブルと椅子を置いて仕事や読書をしていた。膝の上から降りたものの傍に居ないと不安らしい。
たまにアリアンは目を覚まし、少しだけ果物をかじりまた寝ている。たまに寝息が途切れ、ごそごそと動きだす。
「ん……」
「起きたのか」
「ん……なんでこんなにねみぃんだろぅ……」
「……季節のせいだとリンカが言っていただろう」
「そっかぁ」
卵が本格的に成長してきたからだとリンカはこっそり教えてくれる。アリアン自身に教えないのは「たぶんビビるから」だそうだ。自分の体の変化に女性でも驚くことが多いそうで、そうでなくても意外と怖がりなアリアンではどんな素っ頓狂なことをするか分からないからと笑っていた。
「ふぁ……」
「眠いなら寝ると良い」
「ん……」
アリアンは枕を抱えてまた眠りに落ちる。こうしてたまに目を覚ました時に、私かリンカが傍に居ないと慌てて探し回る。少し面倒だなと思う所もあるが、頼りにされると悪くない気持ちにもなる。仕事の方はリンカが張り切って片付けてくれるから、以前より進展が早い。リンカは私以上に仕事をこなねば気が済まない性格のようだ。私達にはしっかり休憩を取れという割に本人はどうしているのやらか。
アスガン宰相から貰って来た書類を精査する。やはり王家家族の支出額が大きい……特に王太子だ。去年より増加しているのが聖女のための支出だ。やっと周囲から聖女の存在意義について疑問視する声が上がり始めた。以前の王宮ならば事なかれ主義か私腹を肥やすのに忙しい奴らばかりだったので、まともな議題があがってこなかったが今は違う。まともに自分の頭で国のために考えることができる貴族ばかりだ。そして私やアスガン宰相が間違っていれば
きちんと反対意見を口にできる気骨のある人物が多数いる。
「存在意味のない聖女にかける金はどうなのだ」
誰もが静かに頷いたようだ。竜の巫女にもなれなかった聖女、国に災害が訪れないが故にその癒しの力を使ったこともない聖女。ただただ、王太子に侍り、騎士団長を顎で使う女。国の貴人としての教養もマナーもなく、やる気も見えないらしい。もう聖女の教師を務めたいという貴族女性はいないという話で、王妃付きの侍女が必要最低限のことを教え込んでいるが、覚えは良くない。故に外交の場に出す事もできないし、他国の支援にも使えない。
「外交パーティにも出せぬのになんだこのドレス衣装代というのは」
王太子が自分の財産から出しているのであれば誰も文句はいわない。しかし厚顔無恥にも公的に請求してきたのだ、これは流石に声が上がる。
「聖女にドレスが必要か?」
「聖女らしく僧服で良かろう」
「着飾る意味などないではないか」
至極当然な意見が交わされたと書かれているし、私も同意する所だ。大人しく神に祈り、街の人々を癒して回ればよいのに、不相応なことをしようとして余計な支出を繰り返している。それを制御できぬ王太子の無能、引いては王家の対応について貴族達からの不満は日々溜まっている。
一度アスガン宰相に出向いていただき、話を詰めねばならんかもしれない。
488
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました
水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。
新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。
それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。
「お前は俺の運命の番だ」
彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。
不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
悪辣と花煙り――悪役令嬢の従者が大嫌いな騎士様に喰われる話――
ロ
BL
「ずっと前から、おまえが好きなんだ」
と、俺を容赦なく犯している男は、互いに互いを嫌い合っている(筈の)騎士様で――――。
「悪役令嬢」に仕えている性悪で悪辣な従者が、「没落エンド」とやらを回避しようと、裏で暗躍していたら、大嫌いな騎士様に見つかってしまった。双方の利益のために手を組んだものの、嫌いなことに変わりはないので、うっかり煽ってやったら、何故かがっつり喰われてしまった話。
※ムーンライトノベルズでも公開しています(https://novel18.syosetu.com/n4448gl/)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる