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2 「俺」はアンセルを幸せにしたい
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ただの子爵の子供の僕とフェルム公爵家の跡継ぎアンセルが何故友達かと言うと、僕の家はフェルム公爵家の所縁の家だから、歳が近い僕がアンセルの友達になったのだ。
あとフェルム家は大らかな家柄で下の者にもとても気さくだったし、何と王都のタウンハウスは僕の家とアンセルの家は隣同士で薄い生垣で仕切られただけで簡単に行き来できた。
何代か前のフェルム公爵夫人とステファン子爵夫人がとても仲が良くてこうなったらしい。
僕は生まれた時からアンセルと一緒だったけれど、父上からアンセルとの差はきちんと躾けられていたから、他の高位貴族に無礼を働かずに済んでいた。
「ごめんね、ユール。血が出てる……」
僕が勝手に転んだのにアンセルは泣きそうだ。その天使の涙目に僕の方が罪悪感を覚える。
「いてて、擦りむいちゃった! 僕、家に帰って手当して貰ってくるね。終わったら後で一緒にお勉強しよ?」
「うん……私の事嫌いにならないで」
「なんで僕がアンセルの事嫌いになるの? 僕達友達だろ?」
僕が笑うとやっと天使は微笑んだ。
「うん!」
ステファン家の庭で転んだ僕は家に戻り、メイドに傷を洗ってもらい軟膏を塗って貰った。アンセルは生垣の穴を通りフェルム家に戻って行く。後で勉強と言うのは、アンセルがユールも一緒に勉強してって言うもんでアンセルの家庭教師が来る時間に僕も隣で座って話を聞いている。
僕が分からなくて後でアンセルに教えて貰う、それがアンセルのやる気に繋がっているらしくて、フェルム公爵に頼まれている事だ。
僕も無料で勉強を教えて貰えて助かっていたりする。
手当はすぐに終わり、フェルム家の勉強時間までに少し時間がある。
「俺はどうしたらいい……?」
ここは禁天の世界なんだろうか。そうだとすればアンセルはこれから酷い目に遭う。フィクションなら良かった、でももう今まで幼馴染として過ごして来たアンセルが監禁され犯され、薬も盛られ……禁術の材料にされ、男なのに何人もの男の子供を産まされ……この世を恨んで恨んで壊れて捨てられ死んで行く、そんな風になるなんて。
しかも間違いなく「俺」のせいで。
「俺は、アンセルを救う為にここに居るんじゃないのか……?」
自然にそう思えた。もしかしたら神様と言う存在があって、アンセルを憐れんだのではないか?
確かに禁天の世界に神はいる。だから、これが本当にあの世界なら神はいるんだ。
「俺は……アンセルを救いたい」
前世で俺は満足に生きた。多分「アンセル」のおかげでだ。だから今度はアンセルを幸せにしてやる。あんな目の焦点があっていない青年のアンセルになんてさせない。
アンセルには笑顔がよく似合うんだ。
あとフェルム家は大らかな家柄で下の者にもとても気さくだったし、何と王都のタウンハウスは僕の家とアンセルの家は隣同士で薄い生垣で仕切られただけで簡単に行き来できた。
何代か前のフェルム公爵夫人とステファン子爵夫人がとても仲が良くてこうなったらしい。
僕は生まれた時からアンセルと一緒だったけれど、父上からアンセルとの差はきちんと躾けられていたから、他の高位貴族に無礼を働かずに済んでいた。
「ごめんね、ユール。血が出てる……」
僕が勝手に転んだのにアンセルは泣きそうだ。その天使の涙目に僕の方が罪悪感を覚える。
「いてて、擦りむいちゃった! 僕、家に帰って手当して貰ってくるね。終わったら後で一緒にお勉強しよ?」
「うん……私の事嫌いにならないで」
「なんで僕がアンセルの事嫌いになるの? 僕達友達だろ?」
僕が笑うとやっと天使は微笑んだ。
「うん!」
ステファン家の庭で転んだ僕は家に戻り、メイドに傷を洗ってもらい軟膏を塗って貰った。アンセルは生垣の穴を通りフェルム家に戻って行く。後で勉強と言うのは、アンセルがユールも一緒に勉強してって言うもんでアンセルの家庭教師が来る時間に僕も隣で座って話を聞いている。
僕が分からなくて後でアンセルに教えて貰う、それがアンセルのやる気に繋がっているらしくて、フェルム公爵に頼まれている事だ。
僕も無料で勉強を教えて貰えて助かっていたりする。
手当はすぐに終わり、フェルム家の勉強時間までに少し時間がある。
「俺はどうしたらいい……?」
ここは禁天の世界なんだろうか。そうだとすればアンセルはこれから酷い目に遭う。フィクションなら良かった、でももう今まで幼馴染として過ごして来たアンセルが監禁され犯され、薬も盛られ……禁術の材料にされ、男なのに何人もの男の子供を産まされ……この世を恨んで恨んで壊れて捨てられ死んで行く、そんな風になるなんて。
しかも間違いなく「俺」のせいで。
「俺は、アンセルを救う為にここに居るんじゃないのか……?」
自然にそう思えた。もしかしたら神様と言う存在があって、アンセルを憐れんだのではないか?
確かに禁天の世界に神はいる。だから、これが本当にあの世界なら神はいるんだ。
「俺は……アンセルを救いたい」
前世で俺は満足に生きた。多分「アンセル」のおかげでだ。だから今度はアンセルを幸せにしてやる。あんな目の焦点があっていない青年のアンセルになんてさせない。
アンセルには笑顔がよく似合うんだ。
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