【完結】不憫令息を幸せにする。責任を取ったつもりがこういうのはちょっと違うと思います!

鏑木 うりこ

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4 アンセルの助けと敵、襲来

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「貴方!」
「心配させてすまない……」

 上手く行ったと油断した。日を置いて一人で領地に視察に向かった公爵様が崖崩れに巻き込まれて大怪我をした。
 命だけは助かったが、ほぼベッドから出られない体になってしまったんだ。

「ああ、本当にマルグリットを連れて行かなくて良かった……」
「あなた……」

 ベッドにマルグリット様とアンセルがくっ付いてる……僕が油断したからだ。この世界はアンセルを不幸にしよう、不幸にしようと動いて行く……前世の「俺」のせいで。

「ごめんなさい、フェルム公爵」

 この親子水入らずの中に何故か僕もいた。フェルム公爵は驚いた顔をするけれど、笑ってくれた。

「ユールが謝る事は何もないだろう?」

 そうなんだけど、そうじゃないんだ。「俺」があんな話を創らなければ、アンセルはこの世界でも幸せに暮らして行けたんじゃないかって思うんだ。
 僕はもっと気を引き締めて行かなくちゃいけない。

「僕、アンセルに泣いてほしくない」

 もう「俺」のせいで悲しくて辛い目に合わせたくないんだ。あのゲームだけで十分のはずだろう?

「ユール……君は……。ユール、アンセルの事を頼むよ。満足に動けない私の代わりにユールの力になってやってくれ」
「僕にできる限りは!」

 僕はフェルム公爵に力強く返事をした。

「何言ってるの? ユールの方が私より年下の何だから、私がユールを助けてやるんだよ」

 そういえばそうだった。背丈だってアンセルの方が少し高いんだよな。

「でもアンセルはすんごく可愛いから、やっぱり僕が助けてあげないと駄目かなって!」
「えーっ! そんな事ないよ!」

 僕とアンセルはどっちがどっちを助けるかで揉めたけど、フェルム公爵夫妻は笑ってくれた。何とかアンセルの家族を守るんだ。


 そして敵が来た。

「テオドール殿、お呼びとあり参上仕りました」
「グレッグ殿、すまないね」
「いえ、微力ながらお力添えをさせて頂きますよ」

 フェルム公爵家の遠縁であるグレッグ・ミストレア子爵が妻子と共にやって来た。満足に動けないフェルム公爵の仕事の手伝いの為なんだが、こいつは悪党なんだ。

 こいつを悪党にしたのは前世の俺なんだけど、ゲーム内でのこいつについて思い出していた。


 ゲーム内で家族を失ったアンセルは何故かこのグレッグ・ミストレアがフェルム家の財産を取り仕切ることになる。アンセルが成人するまでの間、と言うことになっているのだが……。

「こんにちは、フェルム公爵様」

「よろしく頼むよ。ゴニー、カミルも」

 このグレッグの子供達がまた最低なんだ。ゲームで最初は大人しくしていたグレッグ達だが、葬儀が済むとすぐに牙を剥いた。古くから勤めていた使用人達を次々と首にしてフェルム家を乗っ取りにかかったんだ。まだ7歳のアンセルにはどうする事もできなかったし、グレッグ達は外面も良くて……アンセルは

「両親の死の衝撃が抜けず」

 と、言われ外界からの接触を断たれてしまう。そしてグレッグ達がフェルム家の人間のように振る舞い始めるんだ。
 屋敷では虐められ、狭い半地下に追いやられ閉じ込められ……すっかり人間不信に陥ってしまう。
 しかしそれは生来の美貌に磨きが掛かることになってしまい儚い夢のような天使が出来上がる。
 そしてフェルム家に出した招待状にやって来るのがグレッグ達で、自分達が公爵家の人間のように振る舞うミストレア子爵一家に疑問を持った王太子の活躍でアンセルは助け出される。

 ゲームでの話だ。



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