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10 腹黒王太子はノーサンキュー
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「なあアンセル。私の夜会に来ないか?」
「折角ですが遠慮させて頂きます、オレルアン殿下」
何度断っても王太子殿下はアンセルを誘うのをやめない。
「折角東方から珍しい薬を取り寄せたのに」
オレルアン殿下は一番最初からこうやってアンセルに声をかける。アンセルの父がベッドから起き上がれず、苦労しているのを見越しての言葉。
何度も何度も言われ続け、とうとうある日了承した。
「ユールも一緒なら」
「良いだろう」
そして案の定、この腹黒に一服盛られた。
「うっ!」
「ユール!」
殿下自ら手渡してきた飲み物をユールは素早くすり替えた。そしてその場に蹲る事になる。
飲んだアンセルが意識を失って
「しまった、アルコールの入っていた物を渡してしまった。どこかで休ませてあげよう」
そうして、腰巾着達が待ち構えている部屋へ連れ込んで、嫌がり泣き叫ぶアンセルを良いように汚す……予定が全て崩れる。
「アルコール、に、似てますが、違う。ああ、解毒剤飲んできてよか……ごめ、でも立ってられな……」
アンセルが王太子オレルアンに倒れ込むのではなく、ユールがアンセルに倒れ込む。
「ユール!すぐに帰ろう」
自分と同じくらいの背格好のユールをさっと横抱きに抱え上げる。非力で可憐と思われるアンセルの力強さにオレルアンはすこし戸惑った。この大輪の花は何か違うと。
「申し訳ありませんが、連れが体調を崩したようです。本日は失礼させていただきます」
きっぱりと言い切り、大事そうにユールを抱えて踵を返すアンセルを何も言えずに見送るしか出来なかったオレルアン。
そこからアンセルはオレルアンの誘いをことごとく跳ね除けている。
「全く、殿下の用意する薬はとんでもないものばっかりだよ」
「本当だよね」
オレルアンがいなくなりアンセルとユールは溜息を吐く。
「あの時は体が熱くて大変だったなぁ」
「無茶しないでよ?ユール。それにしても先に解毒剤を飲んでおくなんてどれだけ殿下の事を疑ってたの?」
「え?最初から全部だけど」
オレルアンは良き王太子の顔の裏でアンセルを自分専用の娼婦のようにゲームの中で扱う。そんな王太子にデザインしたのは「俺」だけど。
「あの時、私が君をあの闇から助け出さねば今頃どうなっていたか分かっているよね?」
「うう……」
そうやってゲームのアンセルの自由を奪ってベッドに押し倒すんだ。そしてアンセルがちっとも善がらず泣いたままなのにいらついて腰巾着達を呼びつけて3人がかりで犯して行く。
3人分の白濁液に塗れて水色の焦点を失った目のアンセル……。
『ドロドロ多めでお願いします』
って発注した。差分は泣き顔とか絶望顔とか……大変好評だった。なんて「俺」は思い出していたけれど、あのスチルのような状況になんて絶対しないんだからな!
「大丈夫、アンセルも最初に飲めばいいんだよ、物凄く不味いけど!」
「えーっ……まあそういうものかあ、何か少しでも美味しい解毒剤あるといいんだけど」
フフ、そう言うのを開発して貰わなきゃな。開発……薬を開発……あ!思い出した、どうせならアイツをこちら側に引き込んでおこう。そうすれば楽になるはず。
「折角ですが遠慮させて頂きます、オレルアン殿下」
何度断っても王太子殿下はアンセルを誘うのをやめない。
「折角東方から珍しい薬を取り寄せたのに」
オレルアン殿下は一番最初からこうやってアンセルに声をかける。アンセルの父がベッドから起き上がれず、苦労しているのを見越しての言葉。
何度も何度も言われ続け、とうとうある日了承した。
「ユールも一緒なら」
「良いだろう」
そして案の定、この腹黒に一服盛られた。
「うっ!」
「ユール!」
殿下自ら手渡してきた飲み物をユールは素早くすり替えた。そしてその場に蹲る事になる。
飲んだアンセルが意識を失って
「しまった、アルコールの入っていた物を渡してしまった。どこかで休ませてあげよう」
そうして、腰巾着達が待ち構えている部屋へ連れ込んで、嫌がり泣き叫ぶアンセルを良いように汚す……予定が全て崩れる。
「アルコール、に、似てますが、違う。ああ、解毒剤飲んできてよか……ごめ、でも立ってられな……」
アンセルが王太子オレルアンに倒れ込むのではなく、ユールがアンセルに倒れ込む。
「ユール!すぐに帰ろう」
自分と同じくらいの背格好のユールをさっと横抱きに抱え上げる。非力で可憐と思われるアンセルの力強さにオレルアンはすこし戸惑った。この大輪の花は何か違うと。
「申し訳ありませんが、連れが体調を崩したようです。本日は失礼させていただきます」
きっぱりと言い切り、大事そうにユールを抱えて踵を返すアンセルを何も言えずに見送るしか出来なかったオレルアン。
そこからアンセルはオレルアンの誘いをことごとく跳ね除けている。
「全く、殿下の用意する薬はとんでもないものばっかりだよ」
「本当だよね」
オレルアンがいなくなりアンセルとユールは溜息を吐く。
「あの時は体が熱くて大変だったなぁ」
「無茶しないでよ?ユール。それにしても先に解毒剤を飲んでおくなんてどれだけ殿下の事を疑ってたの?」
「え?最初から全部だけど」
オレルアンは良き王太子の顔の裏でアンセルを自分専用の娼婦のようにゲームの中で扱う。そんな王太子にデザインしたのは「俺」だけど。
「あの時、私が君をあの闇から助け出さねば今頃どうなっていたか分かっているよね?」
「うう……」
そうやってゲームのアンセルの自由を奪ってベッドに押し倒すんだ。そしてアンセルがちっとも善がらず泣いたままなのにいらついて腰巾着達を呼びつけて3人がかりで犯して行く。
3人分の白濁液に塗れて水色の焦点を失った目のアンセル……。
『ドロドロ多めでお願いします』
って発注した。差分は泣き顔とか絶望顔とか……大変好評だった。なんて「俺」は思い出していたけれど、あのスチルのような状況になんて絶対しないんだからな!
「大丈夫、アンセルも最初に飲めばいいんだよ、物凄く不味いけど!」
「えーっ……まあそういうものかあ、何か少しでも美味しい解毒剤あるといいんだけど」
フフ、そう言うのを開発して貰わなきゃな。開発……薬を開発……あ!思い出した、どうせならアイツをこちら側に引き込んでおこう。そうすれば楽になるはず。
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