【完結】不憫令息を幸せにする。責任を取ったつもりがこういうのはちょっと違うと思います!

鏑木 うりこ

文字の大きさ
12 / 26

12 お薬マニアの実力

しおりを挟む
「まずは頑張って少しづつ歩いて下さい。痛み止めをお持ちしました」
「……ふむ、君の言う事も一理あるな」

 公爵の前にダルタンと私、アンセルがドキドキしながら立っていた。

「回復は中々しないと思いますけど、動かさないのはダメですから」
「相当痛むが?」
「我慢していただくより他ありません」

 ダルタンの言う事は正しいが権威ある公爵様に痛みを堪えて歩けなんて子爵の身分じゃ言いづらい。ただそこは薬マニアの血が騒いだんだろう。自分の作った痛み止めでどこまで行けるのかと。

「分かった、試してみよう。作成する薬代を用意する、作ってみてくれ」
「は、はい!!」

 良し! ダルタンをこっちに引き込んだぞ!! ダルタンは薬の材料費が無くてランディ先輩からの悪い誘いに乗ってしまう。そこで違法な薬を作っては先輩に二束三文で買い叩かれ、ズブズブと悪い沼に埋まって抜け出せなくなってしまう。
 今度はきちんとしたスポンサーがついたからランディ先輩におかしな薬を調合させられる事もないだろう。公爵の前から礼をして辞し、三人でフェルム邸を歩いている。空いている所にダルタンの製薬室を設けてくれる事になった。

「なーダルタン。美味しい解毒剤って作れない?」

 私がお願いすると、ダルタンは口を尖らせる。

「やだよ、味をよくすると効果が落ちるか高価になるもん、意味ないよ」
「意味あるよ?!」

 だからダルタンなんだよなーーー! 飲む人の事なんて何も考えてないんだもの! だから駄目なんだよ~~! くすりと笑ってアンセルが横から言ってくれた。

「美味しいの作ってよ、ダルタン。私が費用を出すから」
「……アンセルが言うならぁ」

 最初、アンセルの側に寄るだけで眩しそうにしていたけれど、慣れたのか普通に会話できるようになってた。そんなダルタンなんだけどちょっと前髪を上げたら……わかってる、イケメンなんだよ。そう言う設定にしたのは「俺」です、ドヤァ!

「ありがとう、ダルタン」
「アンセルは人気者だからなぁ、どこで媚薬盛られるか分かったもんじゃないしね。ユール、ちゃんとアンセルのこと守ってよ?」

「勿論だとも!」

 因みにダルタンは完璧な薬オタクで、アンセルを好きになる事はないようだった。流石だ……。

「私はむしろアンセルが子供を産んだらどんな美形が産まれて来るかが気になるな!」

「ダルタン……私は男だよ?赤ちゃんは産めないよ、何言ってるの?」

 だよな?ダルタン……まさか……?

「それがね!最近の研究でさ、すんごい論文が発表されたんだよ!なんと、男の子でも赤ちゃんが産める可能性があるんだって!」

 おいおい!風向きが怪しいんですけど?!

「へーじゃあさ、ユールが私の子供を妊娠したらどうなる?」

「あっ!それ良いね。すごく興味ある」

 2人とも何を言ってんだよ……。

「そうだよなー、公爵になるアンセルが赤ちゃんを産むのはやっぱり不味いもんね。そこは腰巾着のユールが産んでくれればいいんだよね、成果を見たいところだ!」

「私とユールの子供かぁ。絶対可愛いよねぇ」

「アンセルの血を引いたら皆可愛いと思うけど、まあユールも中々見れる顔だしいいと思う!それでね?ヒドラっているだろ?アレの体組織を使うんだ!やっぱり魔物を使うから公爵様では試せないし、ユール出番だよ!」

 そんな出番要らないし!!全くランディ先輩から離れたんだからそう言う薬の開発は要らないって言うんだよ!ちょっと、二人で盛り上がらないで欲しいんですけれど!?


しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

黒とオメガの騎士の子育て〜この子確かに俺とお前にそっくりだけど、産んだ覚えないんですけど!?〜

せるせ
BL
王都の騎士団に所属するオメガのセルジュは、ある日なぜか北の若き辺境伯クロードの城で目が覚めた。 しかも隣で泣いているのは、クロードと同じ目を持つ自分にそっくりな赤ん坊で……? 「お前が産んだ、俺の子供だ」 いや、そんなこと言われても、産んだ記憶もあんなことやこんなことをした記憶も無いんですけど!? クロードとは元々険悪な仲だったはずなのに、一体どうしてこんなことに? 一途な黒髪アルファの年下辺境伯×金髪オメガの年上騎士 ※一応オメガバース設定をお借りしています

絶対に追放されたいオレと絶対に追放したくない男の攻防

藤掛ヒメノ@Pro-ZELO
BL
世は、追放ブームである。 追放の波がついに我がパーティーにもやって来た。 きっと追放されるのはオレだろう。 ついにパーティーのリーダーであるゼルドに呼び出された。 仲が良かったわけじゃないが、悪くないパーティーだった。残念だ……。 って、アレ? なんか雲行きが怪しいんですけど……? 短編BLラブコメ。

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

ざまぁされた悪役令嬢の息子は、やっぱりざまぁに巻き込まれる

たまとら
BL
ざまぁされて姿を消した令嬢の息子が、学園に入学した。

【完結】王子様たちに狙われています。本気出せばいつでも美しくなれるらしいですが、どうでもいいじゃないですか。

竜鳴躍
BL
同性でも子を成せるようになった世界。ソルト=ペッパーは公爵家の3男で、王宮務めの文官だ。他の兄弟はそれなりに高級官吏になっているが、ソルトは昔からこまごまとした仕事が好きで、下級貴族に混じって働いている。机で物を書いたり、何かを作ったり、仕事や趣味に没頭するあまり、物心がついてからは身だしなみもおざなりになった。だが、本当はソルトはものすごく美しかったのだ。 自分に無頓着な美人と彼に恋する王子と騎士の話。 番外編はおまけです。 特に番外編2はある意味蛇足です。

大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります

かとらり。
BL
 前世でやっていたRPGの中ボスの大魔法使いに生まれ変わった僕。  勇者に倒されるのは嫌なので、大人しくアイテムを渡して帰ってもらい、塔に引きこもってセカンドライフを楽しむことにした。  風の噂で勇者が魔王を倒したことを聞いて安心していたら、森の中に小さな男の子が転がり込んでくる。  どうやらその子どもは勇者の子供らしく…

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

処理中です...