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13 ダルタンったら
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「俺」は現代知識があるから、公爵の怪我は脊椎損傷系、椎間板ヘルニアの酷い奴とかそういうのだって分かってる。でも治す手段が分からなかった。それなのにやっぱり天才は違った。
「切り取ったヒドラの中に増やしたい人間の一部……公爵様の場合は背骨の中に通っている筋は痛いので血液から作りまして、それを傷ついた場所に入れるんです。すると傷んだ部分を修復してくれるんですよ」
まあマニアがごちゃごちゃ語るが、得体のちょっと知れない物を体にぶち込んで良いか?と聞かれた公爵様は少し考えてから
「やってくれ」
ときっぱり言った。公爵も凄い決断だと思ったけれど、ダルタンはやっぱり天才で、成果を出した。変な液体を日を開けながら数回注入して暫くすると。
「おお……おおお!立てる!立てるぞ!」
両脇を抱えられながらだけど、公爵様が立った!痛みに顔を顰めながらだけれど、10年以上ぶりの快挙だ!
「よしっ!!」
こうしてダルタンは公爵家のお抱えとなって資金に困らない研究を心ゆくまで出来る事になった。
貧しかったダルタンの実家も公爵家からの支援で何とか持ち直す。ダルタンが研究している最新の薬以外も昔からの煎じ薬用の薬草を栽培し、庶民にも手の届く薬を用意したりしてくれて、公爵様の領地や所縁の貴族達にインチキじゃない薬が回り始めた。
「あの時、ユールが声をかけてくれて僕の人生は変わった、感謝してるよ」
「私は公爵様の為に頼んだだけだし。それにダルタンの薬でうちの妹や弟も風邪なんかもすぐ治るし助かってる」
ゲームではランディ先輩の後ろをおどおどしながら着いて歩くスチルばかりだったけど、今は違う。
今は元気に救護室に入り浸り、これまた薬マニアの救護室の先生と毎日熱いトークを生き生きと繰り広げているんだ。
「アンセル!聞いてよ。あの論文って救護室のグリーブ先生が書いてたんだ!もう、ボクどうしたら良いか分かんないよ!!あー!グリーブ先生最高!好きになっちゃいそう!」
「あれ?お付き合いしてたんじゃないの?毎日毎晩一緒だよね。最近、寮の部屋に帰らないで先生の部屋に行ってるよね?」
ぼん!とダルタンから煙が上がった。ほうほう?なるほどなるほど?
「えっ?!お、お付き合いなんて、し、してないし?!ボ、ボクが勝手に先生の事、す、好きなだけ!」
前髪で一生懸命に顔を隠しているけど、ダルタン、真っ赤な顔が隠れてないよ?
「私だったら好きでもない人と始終一緒に居たくないけどねぇ」
ちょっと煽ってみよっかな?
「私はユールとずっと一緒にいたいなぁ」
アンセル、今は君の話じゃないってば。ダルタンとグリーブ先生の話をしましょう!
「えっ!でも先生との話凄い楽しいし、ずっと一緒にいても凄い嬉しいし……」
「先生はなんて言ってるの?」
まあ、実は先生の気持ちも知ってるんだけどねー。
「えっ……特に」
ダルタンの鈍さには先生も頭を抱えてたぞ……。
「一緒に暮らさない?とか毎日朝ご飯を食べたいとか言ってなかった?」
「あ、うん。ボク熱中するとすぐ夜更かししてご飯食べ忘れるからだよね。いつも先生に注意されてて……」
違うよ、ダルタン。そうじゃない……。
「結婚して一緒に暮らそうって言われてない?」
「えっ?!」
「朝ご飯って事は一緒に夜寝て起きないと食べられないよね?ユールが私の家でたまに食べていく時はそうだもの」
アンセルがちょこちょこ口を挟んでくるけれど、それは夜遅くまで勉強してて寝落ちした時とかだぞ。私はアンセルと結婚して一緒に暮らしているわけじゃあない。
「えっ、け、結婚……っ、ボ、ボクと、先生、が?!」
ぼん!の後にぼぼぼぼ!って更に真っ赤になったぞ、良かったね、グリーブ先生。脈アリ所か決定打ですよ、両想いですね。
「ユール君……その、ディルは、わ、私の事を何とも思っていないのだろうか……」
「そんな事はないと思いますが」
ずっとグリーブ先生から呼び出されているんだ……ディルはダルタンの愛称でグリーブ先生しかそう呼ばない。もうこの辺でラブラブなんだけれど、どうもダルタンが分かってないようで、先生もヤキモキしてる。
「わ、私は!ディルの事が好きだ!あの前髪に隠れた顔がとても可愛らしい事も知っているし、薬の知識も凄いし、それに何の躊躇いもなく自分を薬の非検体にしてしまう所とかもう好きで好きで堪らない!ああ!ディルに私の子供を産んでもらいたいんだ!!」
グリーブ先生も結構マッドさんだった。でも何だろうしっくり、ぴったり。そんな言葉が合うんだよね。この二人って。ホントくっ付いて欲しいな。というか別の人とくっ付いても不幸しか生まれない気がするから、ここでまとまっておいて欲しい。
「もう媚薬のテストって言って襲ってしまっては如何です?」
面倒になって適当に言ったら青い顔したっけな。
「そ、そんな非誠実な事は出来ない!そう言う事はちゃんとした然るべき手続きを踏んでからだ!」
本当に良く似た2人だから早く結婚したらいいと思う。
「ほら、前に言ってただろう?男性が子供を妊娠出来るとかなんとか。ダルタンがグリーブ先生の子供を産んで確かめれば良いじゃないか」
ほら、名案だろ?ととんでもない事を提案してみたら、ダルタンが乗ってきてしまった。
「そ、それだ!ユール。君は天才だな!早速先生に頼んでくる!!」
ダルタンは土埃を巻き上げる勢いで走って行って帰ってこなかった。きっと馬鹿正直に話したんだろうなあ、先生子作りしましょうとか言ったのかな……。
「ねえユール。私の家でグリーブ先生も支援したら良いのかな?」
「多分ダルタンの家の入り婿になるから今まで通りで良いと思うな」
まあ優秀な薬師が更に確保出来たのは嬉しい事だと思う。ちょっとアレだけどきっと二人はいい仕事してくれるよ。
「ボク……先生と結婚するぅ……」
なんかとてもツヤツヤで美人になったダルタンと次に会ったのは1週間後で、私とアンセルは
「おめでとう、良かったね」
と、色々突っ込まずに祝福しておいた。勿論グリーブ先生もツヤツヤでニッコニコだったから察したよ?
「切り取ったヒドラの中に増やしたい人間の一部……公爵様の場合は背骨の中に通っている筋は痛いので血液から作りまして、それを傷ついた場所に入れるんです。すると傷んだ部分を修復してくれるんですよ」
まあマニアがごちゃごちゃ語るが、得体のちょっと知れない物を体にぶち込んで良いか?と聞かれた公爵様は少し考えてから
「やってくれ」
ときっぱり言った。公爵も凄い決断だと思ったけれど、ダルタンはやっぱり天才で、成果を出した。変な液体を日を開けながら数回注入して暫くすると。
「おお……おおお!立てる!立てるぞ!」
両脇を抱えられながらだけど、公爵様が立った!痛みに顔を顰めながらだけれど、10年以上ぶりの快挙だ!
「よしっ!!」
こうしてダルタンは公爵家のお抱えとなって資金に困らない研究を心ゆくまで出来る事になった。
貧しかったダルタンの実家も公爵家からの支援で何とか持ち直す。ダルタンが研究している最新の薬以外も昔からの煎じ薬用の薬草を栽培し、庶民にも手の届く薬を用意したりしてくれて、公爵様の領地や所縁の貴族達にインチキじゃない薬が回り始めた。
「あの時、ユールが声をかけてくれて僕の人生は変わった、感謝してるよ」
「私は公爵様の為に頼んだだけだし。それにダルタンの薬でうちの妹や弟も風邪なんかもすぐ治るし助かってる」
ゲームではランディ先輩の後ろをおどおどしながら着いて歩くスチルばかりだったけど、今は違う。
今は元気に救護室に入り浸り、これまた薬マニアの救護室の先生と毎日熱いトークを生き生きと繰り広げているんだ。
「アンセル!聞いてよ。あの論文って救護室のグリーブ先生が書いてたんだ!もう、ボクどうしたら良いか分かんないよ!!あー!グリーブ先生最高!好きになっちゃいそう!」
「あれ?お付き合いしてたんじゃないの?毎日毎晩一緒だよね。最近、寮の部屋に帰らないで先生の部屋に行ってるよね?」
ぼん!とダルタンから煙が上がった。ほうほう?なるほどなるほど?
「えっ?!お、お付き合いなんて、し、してないし?!ボ、ボクが勝手に先生の事、す、好きなだけ!」
前髪で一生懸命に顔を隠しているけど、ダルタン、真っ赤な顔が隠れてないよ?
「私だったら好きでもない人と始終一緒に居たくないけどねぇ」
ちょっと煽ってみよっかな?
「私はユールとずっと一緒にいたいなぁ」
アンセル、今は君の話じゃないってば。ダルタンとグリーブ先生の話をしましょう!
「えっ!でも先生との話凄い楽しいし、ずっと一緒にいても凄い嬉しいし……」
「先生はなんて言ってるの?」
まあ、実は先生の気持ちも知ってるんだけどねー。
「えっ……特に」
ダルタンの鈍さには先生も頭を抱えてたぞ……。
「一緒に暮らさない?とか毎日朝ご飯を食べたいとか言ってなかった?」
「あ、うん。ボク熱中するとすぐ夜更かししてご飯食べ忘れるからだよね。いつも先生に注意されてて……」
違うよ、ダルタン。そうじゃない……。
「結婚して一緒に暮らそうって言われてない?」
「えっ?!」
「朝ご飯って事は一緒に夜寝て起きないと食べられないよね?ユールが私の家でたまに食べていく時はそうだもの」
アンセルがちょこちょこ口を挟んでくるけれど、それは夜遅くまで勉強してて寝落ちした時とかだぞ。私はアンセルと結婚して一緒に暮らしているわけじゃあない。
「えっ、け、結婚……っ、ボ、ボクと、先生、が?!」
ぼん!の後にぼぼぼぼ!って更に真っ赤になったぞ、良かったね、グリーブ先生。脈アリ所か決定打ですよ、両想いですね。
「ユール君……その、ディルは、わ、私の事を何とも思っていないのだろうか……」
「そんな事はないと思いますが」
ずっとグリーブ先生から呼び出されているんだ……ディルはダルタンの愛称でグリーブ先生しかそう呼ばない。もうこの辺でラブラブなんだけれど、どうもダルタンが分かってないようで、先生もヤキモキしてる。
「わ、私は!ディルの事が好きだ!あの前髪に隠れた顔がとても可愛らしい事も知っているし、薬の知識も凄いし、それに何の躊躇いもなく自分を薬の非検体にしてしまう所とかもう好きで好きで堪らない!ああ!ディルに私の子供を産んでもらいたいんだ!!」
グリーブ先生も結構マッドさんだった。でも何だろうしっくり、ぴったり。そんな言葉が合うんだよね。この二人って。ホントくっ付いて欲しいな。というか別の人とくっ付いても不幸しか生まれない気がするから、ここでまとまっておいて欲しい。
「もう媚薬のテストって言って襲ってしまっては如何です?」
面倒になって適当に言ったら青い顔したっけな。
「そ、そんな非誠実な事は出来ない!そう言う事はちゃんとした然るべき手続きを踏んでからだ!」
本当に良く似た2人だから早く結婚したらいいと思う。
「ほら、前に言ってただろう?男性が子供を妊娠出来るとかなんとか。ダルタンがグリーブ先生の子供を産んで確かめれば良いじゃないか」
ほら、名案だろ?ととんでもない事を提案してみたら、ダルタンが乗ってきてしまった。
「そ、それだ!ユール。君は天才だな!早速先生に頼んでくる!!」
ダルタンは土埃を巻き上げる勢いで走って行って帰ってこなかった。きっと馬鹿正直に話したんだろうなあ、先生子作りしましょうとか言ったのかな……。
「ねえユール。私の家でグリーブ先生も支援したら良いのかな?」
「多分ダルタンの家の入り婿になるから今まで通りで良いと思うな」
まあ優秀な薬師が更に確保出来たのは嬉しい事だと思う。ちょっとアレだけどきっと二人はいい仕事してくれるよ。
「ボク……先生と結婚するぅ……」
なんかとてもツヤツヤで美人になったダルタンと次に会ったのは1週間後で、私とアンセルは
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