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79 どこにも行かないよ
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「イアン!」
ああ、助けて貰う側になってやっとその感動を知ることになった。思えば人間だった頃は一度も誰かに救出して貰ったことがなかったかもしれない。
「ラセル!」
「ああ、良かった!イアン!イアン!もう大丈夫だからね」
「ラセルー!」
口と手足を縛った縄を外してもらって、泣きそうな顔のラセルがぎゅっと抱きしめてくれた時に、私は小さかった時のミニィの気持ちを理解できた。きっと今の私より冷静ではいられなかっただろう子供のミニィはもっともっと辛くて切ない思いをしたのに、耐えたんだろう。
「ラセル、こいつらどうする?」
そんなミニィも今じゃ片手にごっついナイフを持って、誘拐犯の喉元を押さえつけているけれどね。逞しくなったよ、父は嬉しい……。
「僕らにとってイアンは大事な家族だけど……それ以外の人だとただの狐なんだよね。ただの狐を誘拐してもきっとこの人達はそんなに罪に問えない、そうなんでしょう?ミニィさん」
「残念ながらそうなんだよ、ラセル」
そう言いながらピタピタと刃物を首筋にに当てて皮膚の1枚くらいつつーっと裂いたりしてるんだよねえ、悪い大人になったねえ……ミニィ。
「仕方がない……このまま帰ろう。イアンの手が怪我してるし手当てしなきゃ……」
「そうするかーよし、俺と先に帰ってイアンの手当てしよう」
「うん、タムさん。ありがとう」
「先行くぜ、ミニィ、ヘイズ」
「ああ、しっかり傷薬塗ってやれよ」
私はラセルの肩越しに残っているミニィとヘイズ、そして物陰に潜んでいるクレヤボンスを見送った。ラセルの考えと、ミニィ達の考えはちょっと違う。そりゃあ色々あるよね、うん。
多分私達の姿が見えなくなり、声も聞こえなくなってから色々始めるんだろうな。
「おいこのクソ貴族共。あの狐チャンはなあ、お前らみたいなクソゴミムシが触れていい狐チャンじゃねえんだよ」
「黙って皇帝陛下のお慈悲に縋ってりゃあこんなことにならないのに、非常に残念だよ」
「あ、金庫の中身出し終わったぞ。金目ものもは全部持ち出したから火でもつけるか?」
「皇帝陛下に確認したらこいつら小悪党で、別に生きてても死んでても問題ないっつーことだったしな。まあさくっとやっちまうか」
「役に立たんなら始末しておいた方が良いだろ。こんなのはいくらでも湧いてくる」
「そーだな、賛成」
「異議ナーシ」
「一緒派手にいっとっか~」
「イアン、怖かったよね」
「ううん、だってラセル達が絶対迎えに来てくれるって信じてたもの。でもちょっと縄で縛られたのは痛かったなあ」
きっと皆で押しかけようとしたんだろうな。戻るとパムまでお玉とフライ返しで武装して起きてたものね。擦り剝けてちょっと毛皮がはげちゃった所に優しく軟膏を塗ってくれる。
「人間の姿にならなかったの?」
「人間の姿になったら余計怪しまれると思って。いざという時まで様子を見てたんだ」
「凄い、イアンは凄いな~。僕達の方が焦ってたかも!」
ラセルは凄く怖かったろうな、だって私が最後の家族だもの。家族を失うのはやっぱりつらい……私も油断していた、ラセルにこんな気持ちを味合わせないためにも日常でもうちょっとしっかりしなくてはならないな。
最近の生活が楽しすぎて、気持ちが緩み切っていたのを実感した。
「もう大丈夫だよ!ね、ラセル」
「うん!」
それでもラセルはずっと私を手放さず、その日は一緒の布団に入って眠った。
「イアン……どこにもいかないで……」
「いかないよ、ラセル」
ああ、助けて貰う側になってやっとその感動を知ることになった。思えば人間だった頃は一度も誰かに救出して貰ったことがなかったかもしれない。
「ラセル!」
「ああ、良かった!イアン!イアン!もう大丈夫だからね」
「ラセルー!」
口と手足を縛った縄を外してもらって、泣きそうな顔のラセルがぎゅっと抱きしめてくれた時に、私は小さかった時のミニィの気持ちを理解できた。きっと今の私より冷静ではいられなかっただろう子供のミニィはもっともっと辛くて切ない思いをしたのに、耐えたんだろう。
「ラセル、こいつらどうする?」
そんなミニィも今じゃ片手にごっついナイフを持って、誘拐犯の喉元を押さえつけているけれどね。逞しくなったよ、父は嬉しい……。
「僕らにとってイアンは大事な家族だけど……それ以外の人だとただの狐なんだよね。ただの狐を誘拐してもきっとこの人達はそんなに罪に問えない、そうなんでしょう?ミニィさん」
「残念ながらそうなんだよ、ラセル」
そう言いながらピタピタと刃物を首筋にに当てて皮膚の1枚くらいつつーっと裂いたりしてるんだよねえ、悪い大人になったねえ……ミニィ。
「仕方がない……このまま帰ろう。イアンの手が怪我してるし手当てしなきゃ……」
「そうするかーよし、俺と先に帰ってイアンの手当てしよう」
「うん、タムさん。ありがとう」
「先行くぜ、ミニィ、ヘイズ」
「ああ、しっかり傷薬塗ってやれよ」
私はラセルの肩越しに残っているミニィとヘイズ、そして物陰に潜んでいるクレヤボンスを見送った。ラセルの考えと、ミニィ達の考えはちょっと違う。そりゃあ色々あるよね、うん。
多分私達の姿が見えなくなり、声も聞こえなくなってから色々始めるんだろうな。
「おいこのクソ貴族共。あの狐チャンはなあ、お前らみたいなクソゴミムシが触れていい狐チャンじゃねえんだよ」
「黙って皇帝陛下のお慈悲に縋ってりゃあこんなことにならないのに、非常に残念だよ」
「あ、金庫の中身出し終わったぞ。金目ものもは全部持ち出したから火でもつけるか?」
「皇帝陛下に確認したらこいつら小悪党で、別に生きてても死んでても問題ないっつーことだったしな。まあさくっとやっちまうか」
「役に立たんなら始末しておいた方が良いだろ。こんなのはいくらでも湧いてくる」
「そーだな、賛成」
「異議ナーシ」
「一緒派手にいっとっか~」
「イアン、怖かったよね」
「ううん、だってラセル達が絶対迎えに来てくれるって信じてたもの。でもちょっと縄で縛られたのは痛かったなあ」
きっと皆で押しかけようとしたんだろうな。戻るとパムまでお玉とフライ返しで武装して起きてたものね。擦り剝けてちょっと毛皮がはげちゃった所に優しく軟膏を塗ってくれる。
「人間の姿にならなかったの?」
「人間の姿になったら余計怪しまれると思って。いざという時まで様子を見てたんだ」
「凄い、イアンは凄いな~。僕達の方が焦ってたかも!」
ラセルは凄く怖かったろうな、だって私が最後の家族だもの。家族を失うのはやっぱりつらい……私も油断していた、ラセルにこんな気持ちを味合わせないためにも日常でもうちょっとしっかりしなくてはならないな。
最近の生活が楽しすぎて、気持ちが緩み切っていたのを実感した。
「もう大丈夫だよ!ね、ラセル」
「うん!」
それでもラセルはずっと私を手放さず、その日は一緒の布団に入って眠った。
「イアン……どこにもいかないで……」
「いかないよ、ラセル」
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