22 / 27
22 ここの馬の骨でした……
殿下が私に感謝の意を伝えに来てくれたことは分かった。それでもお父様の眉間の皺は一向に改善されない。他に何か気がかりなことがあるんだろうか?
「アネモネ嬢」
「は、はい」
私はお嬢様と呼ばれるのに相応しいかどうかわからないけど、呼ばれたので返事はした。お父様の眉間の皺はどんどん深くなる。
「「もう2度と会わない。その方かお互いに助かるでしょう」」
「!?」
どうしてラナン殿下は私があのどこの誰とも知らない騎士風の人と一夜を過ごし、分かれる際にいった言葉を口にしたのかしら!?
きっと私は物凄く驚いた顔をしたんだと思う。それをみて、殿下は悪戯が成功した子供のような笑顔で笑った。
「ふふ、あの時私は部下と二人で息抜きで下町へ繰り出していたんだ。そうしたらどう見ても訳ありな令嬢が近づいてとんでもない提案をしてきたんだ……流石の私も凄く驚いたよ。あんな提案をしたんだ、遊び慣れているのかと了承してみればなんと初めてだったじゃないか……驚きで、ついどこの誰か調べてしまったよ。」
「え、ええええ……」
「そしたらそのご令嬢はしつこい酷い婚約者と別れる為に極端な手段に出たんだと判明したんだ。驚いたよ、一介の令嬢がそんな大胆な手段に出るなんてね。」
「そ、それは……」
普通のご令嬢ならそんな手段考えつくはずもない。でも私には前の人生の記憶がある。23歳までしか生きられなかったけれど、頼れるお父様を亡くし、放蕩三昧のナルクを抱え、借金で首も回らず……そんな散々な人生を歩まされたのだから、回避する為ならなんだってできた。
「本当はすぐに正体を明かすつもりだった。でもアネモネ嬢の婚約破棄が済んでからの方が良いかと思い待っていたら、トッドリア侯爵が強硬手段に出てね」
「あの噂は本当でしたか」
「ああ」
王太子殿下には三名の婚約者候補がいた。一人はアイビー・トッドリア侯爵令嬢だったのだが、他の二人が揃って候補の座を降りたのだ。勿論、社交界はざわついたがトッドリア侯爵家を牽制する立場であった我が家の名声が地に落ち……誰もトッドリア侯爵に口出しできなくなった。その隙に他の二つの家に圧力をかけたんだろう。
「あっという間に私の婚約者はアイビー嬢となり……やはりトッドリア家に押されあっという間に結婚してしまった」
「それは……」
王家とはいえ力ある家の意向を無視はできないものだ。
「そうしてこのザマだ。まさか子供を焦ったアイビーがおかしな薬を使うなんて思ってもみなかった」
自嘲気味に笑うラナン殿下になんと慰めて良いか見当もつかなかった。
「アネモネ嬢」
「は、はい」
私はお嬢様と呼ばれるのに相応しいかどうかわからないけど、呼ばれたので返事はした。お父様の眉間の皺はどんどん深くなる。
「「もう2度と会わない。その方かお互いに助かるでしょう」」
「!?」
どうしてラナン殿下は私があのどこの誰とも知らない騎士風の人と一夜を過ごし、分かれる際にいった言葉を口にしたのかしら!?
きっと私は物凄く驚いた顔をしたんだと思う。それをみて、殿下は悪戯が成功した子供のような笑顔で笑った。
「ふふ、あの時私は部下と二人で息抜きで下町へ繰り出していたんだ。そうしたらどう見ても訳ありな令嬢が近づいてとんでもない提案をしてきたんだ……流石の私も凄く驚いたよ。あんな提案をしたんだ、遊び慣れているのかと了承してみればなんと初めてだったじゃないか……驚きで、ついどこの誰か調べてしまったよ。」
「え、ええええ……」
「そしたらそのご令嬢はしつこい酷い婚約者と別れる為に極端な手段に出たんだと判明したんだ。驚いたよ、一介の令嬢がそんな大胆な手段に出るなんてね。」
「そ、それは……」
普通のご令嬢ならそんな手段考えつくはずもない。でも私には前の人生の記憶がある。23歳までしか生きられなかったけれど、頼れるお父様を亡くし、放蕩三昧のナルクを抱え、借金で首も回らず……そんな散々な人生を歩まされたのだから、回避する為ならなんだってできた。
「本当はすぐに正体を明かすつもりだった。でもアネモネ嬢の婚約破棄が済んでからの方が良いかと思い待っていたら、トッドリア侯爵が強硬手段に出てね」
「あの噂は本当でしたか」
「ああ」
王太子殿下には三名の婚約者候補がいた。一人はアイビー・トッドリア侯爵令嬢だったのだが、他の二人が揃って候補の座を降りたのだ。勿論、社交界はざわついたがトッドリア侯爵家を牽制する立場であった我が家の名声が地に落ち……誰もトッドリア侯爵に口出しできなくなった。その隙に他の二つの家に圧力をかけたんだろう。
「あっという間に私の婚約者はアイビー嬢となり……やはりトッドリア家に押されあっという間に結婚してしまった」
「それは……」
王家とはいえ力ある家の意向を無視はできないものだ。
「そうしてこのザマだ。まさか子供を焦ったアイビーがおかしな薬を使うなんて思ってもみなかった」
自嘲気味に笑うラナン殿下になんと慰めて良いか見当もつかなかった。
あなたにおすすめの小説
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
「退屈な女だ」と婚約破棄されたので去りましたが、翌日から国政が止まったそうです。え、私はもう存じませんけど?
にたまご
恋愛
公爵令嬢クラーラは、ユリウス王太子殿下に婚約を破棄された。
「退屈な女だ」「何の取り柄もない」と。
否定はしない。
けれど殿下が知らないだけで、通商条約も予算案も外交書簡も、この国の政務の大半を六年間匿名で回していたのは──この「退屈な女」だ。
婚約破棄の翌朝、宰相補佐官のレオンが焼き菓子と四十二件の緊急報告を携えて公爵邸を訪れる。
「貴女がいなくなった王宮は、控えめに申し上げて、地獄です」
──存じません。私はもう、ただの無職ですので。
婚約破棄? ありがとうございます。やっと本当の人生が始まります
たくわん
恋愛
婚約破棄された令嬢がすべきことといえば、泣くか、喚くか、復讐を誓うか——らしい。
リーナ・フォスター公爵令嬢がしたことは、荷造りだった。
「冷たくて人を愛せない」と王太子に切り捨てられた夜、リーナは一度も振り返らずに王城を出た。向かった先は辺境の荒れ地。目的は薬草の栽培と薬品事業の立ち上げ。前世の記憶から温めてきた、誰にも言えなかった計画の実行だ。
リーナはそこで不器用だが誠実な騎士ヴァルターと出会う。一方、残された王太子とその新しい婚約者は、少しずつ、静かに、取り返しのつかない方向へと歩んでいたーー。
婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません
黒木 楓
恋愛
子爵令嬢パトリシアは、カルスに婚約破棄を言い渡されていた。
激務だった私は婚約破棄になったことに内心喜びながら、家に帰っていた。
婚約破棄はカルスとカルスの家族だけで決めたらしく、他の人は何も知らない。
婚約破棄したことを報告すると大騒ぎになり、私の協力によって領地が繁栄していたことをカルスは知る。
翌日――カルスは謝罪して再び婚約して欲しいと頼み込んでくるけど、婚約する気はありません。
婚約破棄をされるのですね、そのお相手は誰ですの?
綴
恋愛
フリュー王国で公爵の地位を授かるノースン家の次女であるハルメノア・ノースン公爵令嬢が開いていた茶会に乗り込み突如婚約破棄を申し出たフリュー王国第二王子エザーノ・フリューに戸惑うハルメノア公爵令嬢
この婚約破棄はどうなる?
ザッ思いつき作品
恋愛要素は薄めです、ごめんなさい。
「では、ごきげんよう」と去った悪役令嬢は破滅すら置き去りにして
東雲れいな
恋愛
「悪役令嬢」と噂される伯爵令嬢・ローズ。王太子殿下の婚約者候補だというのに、ヒロインから王子を奪おうなんて野心はまるでありません。むしろ彼女は、“わたくしはわたくしらしく”と胸を張り、周囲の冷たい視線にも毅然と立ち向かいます。
破滅を甘受する覚悟すらあった彼女が、誇り高く戦い抜くとき、運命は大きく動きだす。
令嬢たちの華麗なる断罪 ~婚約破棄は、こちらから~
櫻井みこと
恋愛
婚約者である令嬢たちを差し置いて、ひとりの女性に夢中になっている婚約者たち。
その女性はあまりにも常識知らずだったから、少し注意をしていただけなのに、嫉妬して彼女をいじめていると言いがかりをつけられる。
どうして政略結婚の相手に、嫉妬などしなければならないのでしょう。
呆れた令嬢たちは、ひそかに婚約破棄の準備を進めていた。
※期間限定で再公開しました。
ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ
ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。
スピーナ子爵家の次女。
どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。
ウィオラはいつも『じゃない方』
認められない、
選ばれない…
そんなウィオラは――
中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。
よろしくお願いします。