【章完結中】神の愛し子な俺、テイマー始めました!

鏑木 うりこ

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23 何も知らないぞ

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「あ?最近の様子なんてしらねーよ。フィエルがいなくなってすぐ大暴れして、ディーオにカードに閉じ込められてそれっきりだったからな」

 ガツガツと肉を食べるレオニー。

「はーん、じゃあお前もほぼ50年引きこもりかよ」

 負けじと肉を食べるアンバー。おめぇらもだろ?!んだとこらぁ!やるのか?!

 放って置こう。

「ここから離れるとひどい物だよ。この辺り一体は俺の庇護下でこうやって木も草も生えているし、アシャもいるから水があるんだ。だから生き残った動物達が集まって来て、割と肉も食べれるし、畑も作れる」

「離れるとどうなってるの?」

「平らかな?ははは」

「申し上げますと、赤土と砂が広がっております……この世界樹様の御許を離れると獣人も人も暮らしては行けません」

 え!そうなんだ。ディーオって何をやらかしちゃったの?!と、言うか僕は近くに集まっている村人達を見る。
 やっぱり獣人は多いけど、ちらほら人間も混じってる。みんな喧嘩とかしてないし、子供達は仲よく遊んでいる。

「ねぇ、獣人は人間が嫌いじゃなかったっけ?」

 尋ねると、近くにいた獣人のおじさんも、人間のおじさんも苦笑いして

「そんないがみ合っていたら、生きていけませんから。そんな世の中なんですが、年寄りには頑固な者もいますよ」

 へぇ、そうなんだ。僕が豆に入って寝ていた50年には色々あったんだね。主にディーオがやらかしたらしいけど、人間を減らすのが仕事だって言ってた。
 人間は減ったから仕事としては悪くなかったのかもしれない。他の者も大量に減ったみたいだけどね。

 そしてディーオは死んで、神様の所に戻ったんだろう。僕は、どうしようかな……。

「外、どうなってるんだろ」

「見に行けば良い」

 事もなげにハルは言う。

「そうだね。冒険しよう、フィエル。きっと楽しいよ」

 リフェリスも笑う。楽しい、楽しいかな?でも僕は皆んなを解放したかったんだ。

「やだよ、フィエル。契約解除はしない」

「解除なんかしようとしてたのか?俺を殺す気か?フィエル。フィエルから離れたら死んでしまう病の俺になんて事を!」

 そんな病気ないからね?ハル。

 アンバーとレオニーは今日も仲良く殴り合って、その辺に転がってる。レア度でいえば、アンバーはSRでレオニーはRなのに、さすがはアンバーというべき所なのかもしれない。
 
「旅か……」

 僕は旅をしたいんだろうか。いや、僕はもう……。

「て、敵襲ですっ!窃盗団が、壁を壊して!」

 村の男達は立ち上がった。敵襲?

「うん、ここは俺の力でこうして割と平和に暮らしてるじゃない?いろんなやつに狙われるんだよね」

 リフェリスは呑気にお茶を飲んでいる。

「この中心近くまでは来ないだろうし、大丈夫だよ。外側の畑や家畜が襲われたり、女子供が攫われたりするくらいだよ」

「えっ!そんな世の中なの?!酷くない??」
 
「たった50年だけど、されど50年だったんだ。ディーオのやり方は無茶苦茶だったよ。ま、でも俺達には関係ないでしょ?」

「え、う、うん……」

 かなり近くで煙が上がり、悲鳴が聞こえ始めた。逃げ惑う女性の声、怒鳴り散らす下卑た男の声。

「うう……」

 僕は気持ちが悪くなる。

「アンバー、レオニー。どっちが多く狩れるか競争して来い」

「俺に決まってんだろー!」

 ハルの声にぴょーんとアンバーは飛び起きた。

「あ?なんで俺がそんな事をしなきゃなんねーんだ?」

「自信がないのか?アンバーの姿はもう見えないが良いのか?」

「んだと?!コラァ!」

 弾かれたようにレオニーも走り出す。

「確かに嫌な声だね、フィエル。俺がいるから大丈夫だよ」

「ごめんね、フィエル。俺も気が回らなくて。誰だって嫌だよね。あんな声。木の中に戻ろうか?」

「ううん、大丈夫」

 木の中は静かだけど、やっぱりお日様の下の方が気持ちが良いから。

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