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41 これからもよろしくね
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「カナさんって私の巫女さんなんですか?」
「なんかそんな事シラスが言ってたね。何のことか聞きそびれちゃったけど」
今日は色々ありすぎて、パフェを食べてそのまま帰ってきた。夕飯もスーパーで買って来たいなり寿司がメイン。
「そうだったら嬉しいな~。私、ずっとお家の中でお祀りされていたので、社に巫女さんとかいなかったんです~お家の人はお世話してくれたけれど、巫女さんって憧れます~!」
デザートに買って来たみかんを一房咥えながら、油揚げはほわわ~んっと自分の想像の中の「巫女さん」に期待を膨らませている。
「巫女ってさあ、白い着物に赤い袴の人って事しか思い浮かばないんだけれど、何をするんだろうね?」
油揚げなら詳しいかな?聞いてみると、油揚げもきょとんとした。
「えっと……神社を箒でお掃除したり?」
「お掃除」
部屋の掃除なら私もするよ。最近は油揚げもフサフサ尻尾で手伝ってくれるけれど。
「神様を可愛がったり?」
油揚げは可愛いから良くなでたりするし、掃除してくれた尻尾にはいっぱいごみがつくからきれいにしてやったりするけど。
「お供え物持って来てくれたり?」
私が買って来たご飯やら果物を一生懸命食べているな、ぬいぐるみの癖に。
「後は?」
「……ごめんなさい、分からないです……」
「じゃあ、今と大して変わらないね?」
油揚げは首をコテンと傾げて、20秒くらいたっぷり考え込んでから
「そうですね!」
ぴょんっと跳ねた。
「お!油揚げ、今の凄く良かった~!待って待って、撮影しよう~!もう一回もう一回!」
「わーーい!かなさんに褒められちゃった~~!やります、やります~~~!」
二人で夕飯そっちのけで撮影会を始めてしまった。編集はあんまり得意じゃないけれど、ぴょんぴょん跳ねる狐のぬいぐるみの動画をアップして大満足だ。
「ふー!なんだかんだで楽しいね」
「カナさんが動画が嫌いにならなくて良かったです!」
残ったいなり寿司やらみかんやらを食べてしまう。少し前までこのいなり寿司みたいだったのに、今は自由に動き回っているヘンテコな生き物。生き物なのかどうかも分からないけれど、傍に居るととてもほっこりした気持ちになる。
「ふふ、大丈夫だよ。私達には応援してくれる人がいっぱいいるからね!」
もうすでに何個かイイッスのハートが赤くなっている。リツイッツーもされているみたいだし、そのうち誰かからコメントも付くかもしれない。
あはは!最後の着地失敗可愛すぎる~!
安定のうっかり狐wwww
「カ、カナさん!?あの着地失敗したのはカットしてくれるって言ってましたよね!?」
「あれ?そうだっけ?」
「酷いーー!酷い!カナさんのばかーー!恥ずかしい~~~!」
青くなったり赤くなったり泣き出したり柔らかい前足で私をぽこぽこ叩いたりする油揚げ。もしかしたら明日にはもっと大きくなっているかもしれない。明後日には子供位の大きさになっているかもしれない。
「1年くらい動画を続けたらシラスくらいかっこいい男の人になるかなあ?」
「なりますとも!そうしたら今度は私がシラスさんのようにカナさんを守ってあげますよ。今は無力な油揚げですけれど、見ていてくださいね!」
むんっと握りこぶしを作ったように見える油揚げは結構頼りがいがありそうな気がする。
「守る前に鞄の油じみを取って欲しいんだけど?」
「うっ……それは……頑張ります……」
実は油じみはこのままでいいかな?って思っている。なにせ魚拓ならぬ油揚げ拓だ。こんな大きさのカビの生えた油揚げだったな、といつも思い出して笑ってしまうんだ。
「カビは良くないけどね」
どんな格好でも油揚げは油揚げだし。たとえ油揚げが人間サイズになっても、今と大して変わらない気がする。一緒にご飯を食べて、冗談を言って、笑って、動画を撮って。
「カナさん!今度は転びませんからね!しっかりかっこいい動画を撮ってください!」
ぴょんぴょんとテーブルの上でウォーミングアップをしている油揚げ。
「それ~~~きゃーっ!」
「油揚げ!」
テーブルから転げ落ちる油揚げを両手でキャッチした。ぬいぐるみだから落ちても痛く無いらしいけれど、やっぱり心情的に痛そうだもの。
「えへへ、失敗しました」
「平気で良かったよ、油揚げ」
「はい!」
まだしばらく、もしかしたら一生私はこの油揚げと一緒に暮らしていくのかもしれない。まあそれも悪くないかなあと思いながらふわふわの体をそっと撫でた。
油揚げ、これからもよろしくね。
【終】
「なんかそんな事シラスが言ってたね。何のことか聞きそびれちゃったけど」
今日は色々ありすぎて、パフェを食べてそのまま帰ってきた。夕飯もスーパーで買って来たいなり寿司がメイン。
「そうだったら嬉しいな~。私、ずっとお家の中でお祀りされていたので、社に巫女さんとかいなかったんです~お家の人はお世話してくれたけれど、巫女さんって憧れます~!」
デザートに買って来たみかんを一房咥えながら、油揚げはほわわ~んっと自分の想像の中の「巫女さん」に期待を膨らませている。
「巫女ってさあ、白い着物に赤い袴の人って事しか思い浮かばないんだけれど、何をするんだろうね?」
油揚げなら詳しいかな?聞いてみると、油揚げもきょとんとした。
「えっと……神社を箒でお掃除したり?」
「お掃除」
部屋の掃除なら私もするよ。最近は油揚げもフサフサ尻尾で手伝ってくれるけれど。
「神様を可愛がったり?」
油揚げは可愛いから良くなでたりするし、掃除してくれた尻尾にはいっぱいごみがつくからきれいにしてやったりするけど。
「お供え物持って来てくれたり?」
私が買って来たご飯やら果物を一生懸命食べているな、ぬいぐるみの癖に。
「後は?」
「……ごめんなさい、分からないです……」
「じゃあ、今と大して変わらないね?」
油揚げは首をコテンと傾げて、20秒くらいたっぷり考え込んでから
「そうですね!」
ぴょんっと跳ねた。
「お!油揚げ、今の凄く良かった~!待って待って、撮影しよう~!もう一回もう一回!」
「わーーい!かなさんに褒められちゃった~~!やります、やります~~~!」
二人で夕飯そっちのけで撮影会を始めてしまった。編集はあんまり得意じゃないけれど、ぴょんぴょん跳ねる狐のぬいぐるみの動画をアップして大満足だ。
「ふー!なんだかんだで楽しいね」
「カナさんが動画が嫌いにならなくて良かったです!」
残ったいなり寿司やらみかんやらを食べてしまう。少し前までこのいなり寿司みたいだったのに、今は自由に動き回っているヘンテコな生き物。生き物なのかどうかも分からないけれど、傍に居るととてもほっこりした気持ちになる。
「ふふ、大丈夫だよ。私達には応援してくれる人がいっぱいいるからね!」
もうすでに何個かイイッスのハートが赤くなっている。リツイッツーもされているみたいだし、そのうち誰かからコメントも付くかもしれない。
あはは!最後の着地失敗可愛すぎる~!
安定のうっかり狐wwww
「カ、カナさん!?あの着地失敗したのはカットしてくれるって言ってましたよね!?」
「あれ?そうだっけ?」
「酷いーー!酷い!カナさんのばかーー!恥ずかしい~~~!」
青くなったり赤くなったり泣き出したり柔らかい前足で私をぽこぽこ叩いたりする油揚げ。もしかしたら明日にはもっと大きくなっているかもしれない。明後日には子供位の大きさになっているかもしれない。
「1年くらい動画を続けたらシラスくらいかっこいい男の人になるかなあ?」
「なりますとも!そうしたら今度は私がシラスさんのようにカナさんを守ってあげますよ。今は無力な油揚げですけれど、見ていてくださいね!」
むんっと握りこぶしを作ったように見える油揚げは結構頼りがいがありそうな気がする。
「守る前に鞄の油じみを取って欲しいんだけど?」
「うっ……それは……頑張ります……」
実は油じみはこのままでいいかな?って思っている。なにせ魚拓ならぬ油揚げ拓だ。こんな大きさのカビの生えた油揚げだったな、といつも思い出して笑ってしまうんだ。
「カビは良くないけどね」
どんな格好でも油揚げは油揚げだし。たとえ油揚げが人間サイズになっても、今と大して変わらない気がする。一緒にご飯を食べて、冗談を言って、笑って、動画を撮って。
「カナさん!今度は転びませんからね!しっかりかっこいい動画を撮ってください!」
ぴょんぴょんとテーブルの上でウォーミングアップをしている油揚げ。
「それ~~~きゃーっ!」
「油揚げ!」
テーブルから転げ落ちる油揚げを両手でキャッチした。ぬいぐるみだから落ちても痛く無いらしいけれど、やっぱり心情的に痛そうだもの。
「えへへ、失敗しました」
「平気で良かったよ、油揚げ」
「はい!」
まだしばらく、もしかしたら一生私はこの油揚げと一緒に暮らしていくのかもしれない。まあそれも悪くないかなあと思いながらふわふわの体をそっと撫でた。
油揚げ、これからもよろしくね。
【終】
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こんばんは、ありがとうございます(*'ω'*)
こう……現代ならではの生き方というかなんというか……そういうのを上手表現できたらと思いつつ、書き進めて行きましたが中々難しい~!ダメ可愛いのはとても大好きです!
退会済ユーザのコメントです
ちゅんこは元気だよ!元気すぎると言うかなんというか……にぎやかしが大得意の可愛いおしゃべりさん!
やはり、¥300かな(^_^;)
1000円から300円は下げすぎでは?!(≧∇≦)