【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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35 脳筋と俺

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「おらぁ!お行儀の良い騎士の剣じゃ生粋の傭兵にゃ通用しねぇぜ!」

「洗練された剣技と言え!お前らの雑な取り回しでは遅れをとるわ!」

 ガン!ガキン!練習用の剣が何本も折られて隅に転がっているし、皇帝麾下、騎士団員もすみっこの方で転がっている。負けたんだな……。

「へっ!これが負けなしカリウス自慢の騎士団かよ!」

「結局は猪突猛進のカリウスが居なきゃこの程度か!!」

 折角だから、修練場を見に来たらフローラ傭兵団が大暴れしていた。何してんの?脳筋達。

「なあ、何でこんなに強いのに負けたんだ?」

 片眼の脳筋、名前は……シュウって言ったかな?俺より遥かに大きいおっさんに聞くと

「そりゃあ歴戦の戦士が奴隷落ちなんて王族を庇って殿しんがりを勤めたからが大半でしょう」

「おっさんも?」

「そうですよ。まあ情けなかったですね。こんな奴等に仕えていた自分が、ですけど。ま、過去のシューゲン・ルクトは死にましたし、これからは片眼のシュウさんとして元気にやって行きますよ!わはははは!よろしくお願いしますよ!リーヤ様」

 バンバンと背中を叩かれて、息が詰まる!痛い痛い!あんなゴツゴツのグローブみたいな手で叩かれたら俺は死ぬわ!

「ルクト近衛隊長!稽古つけて下さいよ!」

「そいつのそっくりさんで良ければ、しごいてやるが?」

「お願いしますっ!」

 わはははは!のっしのっしと歩いて行く。なんだか楽しそうだなぁ。

 そういえばこの傭兵団も解散だな。何せ約束は母さんを皇帝に会わせるまでだ。
 母さんは何年もの空白を埋めるように父さん……カリウス皇帝にくっ付いて歩いている。皇帝も母さんから離れないし、なんなら手を繋いで離さない。

 別に良い。誰かに頼りっぱなしで生きてきた貴族の娘が、突然捨てられ、騙され……貧民街に流れ着き、頼れる物もほとんどなく、必死で生きてついでに子供まで育てたんだ。
 そこにやっと頼って良い存在が両手を広げて現れたんだ。飛び込んで何が悪い?
 父さんにしたって命より大事な人を失い、全てを捨てて探し回ってやっと会えたんだ。

 まあイチャコラしてくれや。ついでに弟でも妹でも好きにこさえたら良いと思うぞ。俺なんかより立派な貴族になるだろうし。
 むしろ、俺は貴族にゃなれないな。前世の記憶と言う奴で大人しく振る舞っているが、生まれも育ちも庶民以下の俺にこんな生活ができる訳がない。

 ……あのデズモンドの被害者が見つからなくなったら俺は何処かに消える予定だ。皇帝の息子ってことは王太子って事だろう?んでそのまま行けば次の皇帝だ。

 俺には無理。そんなモンなりたくねぇよ。

 ……だから都合が良いのかもしれないな、俺が娘として振る舞うのはさ。誰か適当な奴と結婚したとか言って消えてしまうにゃちょうど良い。
 眼鏡達もそこまで考えているんだろうし、ほんっと優秀だよ、あの眼鏡はさ。

 俺も剣でも習おうかな?何せ今度は一人で生きて行かなきゃならない。母さんは父さんに任せれば良いんだしね。
 これが親離れってやつか。前世では親にくっつく前に放置された記憶しかないからな。離れる前に親孝行でもしておくかぁ~。

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