上 下
1 / 80
動物に異様に好かれる手

1 女神様の言うことにゃ

しおりを挟む
「で、ずっと争ってる国を何とかして欲しいって?」

「そうなんですぅ~これから定期イベントの魔王復活があるのに、協力していないといけない国がずーっと争っていて、勇者召喚してくれないのですぅー!」

 この若干ウザい喋り方の金髪の美少女。自分を神だと名乗りやがった。しかも勇者を召喚出来ないから、それを何とかする為に俺を召喚したってどうなってるの?俺じゃなくて勇者を召喚して送り込めばいいじゃないか!

「お願い!助けると思ってー!」

「なんで俺が助けなきゃならんの?俺になんかいい事あんの?」

 美少女女神はうーんと考えて

「私の世界では不便なく暮らせるようにします!「それは当たり前でしょ」」

 被せてやった。

「元の世界の方でだよ。俺、意外と普通に暮らしてたんだから」

 じーちゃんばーちゃんとーちゃんかーちゃん、妹、弟。ポチ、タマ。そして就職したばっかりの俺の。普通の大学を出て、普通の企業に入った22歳、それが俺だ!その普通の幸せをこの女神とやらの都合で壊されたんだぞ。

「では貴方の家族が、健康で……ちょっとだけラッキーでちょっとだけ裕福に暮らせるようにします」

「うーん、なら……良いかな?」

 ちょっとだけって所が良い。ウチの身の丈に合っている。
 俺は異世界転生店舗トラッツ・クーに一思いにやられたらしい。

「ひき逃げ事件で犯人が捕まらないのは半分は異世界転生店舗の仕業ね」

「マジか!」

 意外と異世界に連れてかれてんだな!あとそんな店営業しないで欲しいけど、神様には必要なんだって。

「じゃあホントお願いするね!あなたのもふ手の力で何とかしてね!私の神鳥の神子として、神殿に降臨させるから、なんの心配もないわよ。向こうでぜーんぶ優しい神官が教えてくれるし、生きる為に必要なスキルもバンバン覚えさせてあげる!」

「もふ手?!」

「そうよー!あなたは……」

「リリーシュア?誰か来てるのー?」

 美少女は後ろからこれまた黒髪の美少女が声をかける。

「今ねー、もふ手を…あ」

「え?」

 女神が振り返った時、振り回した手に当たって、俺は突き飛ばされるように落とされた。

「間違っちゃったー!きゃーー!どうしよう!」

 どうしようじゃねえよ!許さん!!!俺は落下の速度に気を失った。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完】眼鏡の中の秘密

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:42

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:3,514pt お気に入り:1,283

【完結】幼馴染みが今日もうるさい

BL / 完結 24h.ポイント:442pt お気に入り:860

【完結】無能な魔法使いはそれでも愛でられる。

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:831

未来も過去も

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:36

処理中です...