【完結】この手なんの手、気になる手!

鏑木 うりこ

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動物に異様に好かれる手

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 仲間が二人やられた。二人目など、喉を噛みちぎられている。絶対に助からない。

「ひいいい!何でこんな所に狼とライオンがいるんだよ!」

「知るかッ!命が惜しかったら走れ!」

 アオーーーーン!狼の遠吠えが響く。

「な、何が美味しい依頼だ!最悪じゃねーか!」

 三人に減った男達はそれでもどんどん逃げた。王宮らしき場所から抜け、市街地に出れば入り組んだ街が自分達を守ってくれるはずだ。更に貧民街へ抜ければ仲間も大勢いる。
 追手は幸いにも2匹のようだ。枝分かれのない一本通路さえ抜ければ、活路は見出せるはず。

 男達は必死に足を動かす。やっと家々が立ち並ぶ市街地が見えてきた。ここを抜けて三手に分かれれば、何とかなる!

 しかし、そこに数人の人影が立ち塞がる。

「退け!殺されてぇのか!!」

 男達の威嚇は何の効果も発しなかった。

「フルー。こいつらだな?」

「ええ、間違いありません。あの袋にシロウは詰め込まれています」

 人影の一番後ろにはお城の侍女服を着たフルーが立っている。

「どけって言ってんだろ!」

 男達は足を止めず、短剣を引き抜いた。それを構えたまま、突進してくる。

「ラビア」

「はっ」

 立ちはだかった人影の中でも一段と大きく、縦にも横にも大きな男が真正面に歩み出る。
 すっ、無造作に右手を振り上げたかと思うと

「え」「ぐはっ!」

 先頭の男は地面に叩きつけられていた。頭が地面にめり込んでいるように見える。

「加減しろ。死んでしまっては吐かせられん」

「人間が弱いからいけないのでしょう?ただ一発くれてやっただけじゃないですか?」

「熊の一撃を耐えられる人間は少ないからな」

 大きな男は熊の獣人で、そのどっしりとしながら素早い体躯は、彼の種族を的確に伝えてきた。

 なぁに、まだ生きてますよ、顔はぐちゃぐちゃですけどね。そう言いながら残り2名をニヤリと見下ろす。尖った犬歯を見せて笑う顔は悪魔に見えた事だろう。

「それを渡して貰おうか?手荒に扱いやがって。中身が死んでたらお前ら生きている事を後悔する事になるぞ?」

 熊の後ろから現れるのも獣人。商人風の服装はしていても、戦士の佇まいだ。

「ひい……!」

 完全に戦意を失って、男達は腰を抜かし、担いでいた物を地面に下ろした。

「ふん、シロウね?姉上も人間の奴隷一匹に何をそんなに……」

 しゅるりと結えられていた袋の口を開ける。中には相当顔色は悪いが気絶したままのシロウがやはり詰め込まれていた。
 薄い金色の髪が汗でぺたりと顔に張り付いている。袋が開けられたので、息苦しさが減ったのか呼吸が楽になったようだ。

「へえ、人間にしちゃ見所のありそうな子供ですね」

 熊が中を覗き込み、小さな黒い目を好意的に歪ませた。

「そう、だな」

 目が離せないとはこう言う事を言うのだろうか?そっと袋を剥がせば、細い体が現れる。ミシェルやレオニーの元で大事にされ、食事も睡眠もしっかり摂っていても、まだ弱った体は戻ってはいない。

「細いな」

「レジール様、そちらがシロウでございます。私達はシロウにとてもよくしてもらい、助けて貰いました。どうぞ、どうぞ、シロウを助けてやって下さいませ」

 アライグマの獣人のフローは地面に手をついてひれ伏した。慌てて熊のラビアはフローを立たせる。

「そこまでしなくても」

「いいえ!これ以上の事を私達はシロウからして貰ったのです。足りぬくらいでございます」

 レジールはそっとシロウを抱き上げる。怪我だらけの人間だ。力を入れたらぽきりと折れてしまうだろう。

「分かった。私が責任を持ってこの人間を国に連れて帰ろう」

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