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動物に異様に好かれる手

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「はぁ……勇者かぁ」

 ぽやんと空を見上げて、シロウがため息をついたので、レジールは隣に座った。

「どうした?」

「なんかね、魔王が生まれるんだって。それでね、勇者が必要なんだって」

「へぇ。魔王って強いのか?」

「わかんない。でも放っておくとどんどん強くなるから生まれたらすぐ倒したいんだって言ってた」

 ふむ、レジールは首を傾げるが

「シロウを困らせる勇者なんぞ、俺が倒してやろう」

「勇者はまだ決まってないからいないんだよ!それに勇者を倒してどうするの?倒すなら魔王でしょう?放っておいたら、何をするかわかんないみたいだし」

「そうか。では魔王も俺が倒してしまえば良いではないか。そしたらスッキリするだろう?」

「そうかも、しれないけどー」

 うーん、シロウはレジールの顔を見る。神すら殺すと豪語するレジール。シロウも思う。レジールなら魔王に絶対負けないと。

「お前を困らせる奴は誰だろうと容赦しないぞ?」

「ふふ、過保護だなぁ!俺の旦那様は。レジール様なら、魔王なんかに絶対負けないもんね」

「当たり前だ」

「ありがとう、俺の勇者様」

「ん?俺が勇者か?」

「魔王を倒すのが勇者だよ?」

「そうか」

 勇者が選定された。



「良いの?史郎。旦那様を勇者にしちゃって」

「へ?」

 アリルレオンの見事なながい髪を梳きながらシロウは素っ頓狂な声を上げた。

「え、やだ?無意識??レジールが勇者になってるわよ!」

「えーーー!」

「選んじゃったからしょうがないわ。史郎が勇者を助けるのよ?」

「分かったけど……レジール様に謝らなくちゃ……」

「そうねぇ……なんだか内緒で選んじゃったような感じだもんね。私からも何か謝罪を……うん、こうしましょ」

「??」

「レジールなら、コレがいいわ」

「??」


「良く分かんないけど、レジール様が勇者だって。ごめんなさい、選んじゃったみたい」

「まあ魔王とやらはどうせ倒すつもりだったからな。称号などついでだ」

「へえ!良いな、勇者。シロウ、私も勇者にしてくれないか?」

 レンテドールはにこにこ笑ってシロウにお願いする。

「えー勇者ってそんな感じで良いのかな?レンテドール様も勇者になーれ!どう?」

「何も変わった感じはしないなぁ?」

「勇者は一人ってことなあ?」

 うーん?二人は悩み、レジールは横からシロウを抱き上げる。

「で?今日はどこを治して貰ったんだ?」

「?あれ?どこだろう??」

 今日の神殿訪問でアリルレオンの恩恵がどこに現れたか、シロウには分からなかった。

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