【完結】この手なんの手、気になる手!

鏑木 うりこ

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動物に異様に好かれる手

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「門を!東門を開けなさい!」

 獅子に言われ門を守る衛兵達は眉を顰めた。

「そんな通達は来ていない」

「獣人か?何で俺たちがお前らの言う事を聞かなきゃ何ねぇんだよ!」

 ミシェルは人の姿に戻るが

「私は側妃ミシェルよ!そこをお開け!」

 門番達の顔は渋い。何せ誰も側妃様の顔を見た事がないのである。

「確かにミシェル妃は獣人だって聞いてるがなぁ?」

「そんな命令来てないもんなぁ」

 一刻を争う時なのに!ミシェルはこの門番達を殺して門を開けさせるしか無いと苛立つ。多くの人を助けるためとは言え犠牲を出すのは本意ではないのに。

「がっ!」「うおっ!」

 後ろから殴られて門番達は倒れる。

「良いんすかー?隊長」

「良いも何も、その方は本物のミシェル妃だぞ!ジェス!ダーリス!門を開けろ!」

「へぇーい」

 犬と豹の獣人が部下と共に跳ね橋を下ろし始めた。
 ミシェルの前に少し良い鎧を着た男が跪く。人間なのに躊躇わずミシェルに頭を下げる。

「失礼致しました!ミシェル妃。なにやら緊急のご様子ですが、一体?」

 誰なのかミシェルは詮索する前に声を上げる。

「王宮に異変です!人の手に余る物が現れたようです!皆を王都の外に逃すよう!」

 隊長と呼ばれた男は頭を下げたまま、はっ!と短く返事をする。そして失礼しますと、頭を上げた。

「リンジュ、飛べる者で王宮の方へ偵察に」

「昼間ですよぉー?仕方がないですねぇ」

 コウモリ獣人はぽりぽりと頭をかいている。

「いけません!近づけば獣人とて死にます!外に、近くにシロウ達が来ているはずです。シロウに助けを求めましょう」

「「「シロウ?!シロウが来るって?!」」」

 目の前のコウモリを含めて、沢山の隊長の部下達が振り返った。

「わー!シロウ!会いたい!」

「外?外から来るの?!」

「どこどこー?早く早くーー!」

「急げー!」

「隊長!俺、王宮じゃなくてシロウ探しに行きたい!」

「アホ!仕事しろ」

 ミシェル達はしばしぽかんと呆気に取られた。

 跳ね橋は素早く降ろされ、隊長の部下達は王宮に向かわず、東の方へシロウを探しに走り出してしまった。

「ミシェル様!すみません!すみません!」

 隊長は頭を下げる。そして、レオニーの元へシロウを連れて行く前に保護したのは自分達だと伝える。

「道理で……。その節はありがとう。おかげでレオニーの命は助かりました。積もる話は後程、今は逃げる事が先決です。あなたがたも、外へ!」

「分かりました!」

 隊長は声をかけ、皆に外へ逃げるよう指示をする。門は開け放っておいた。

「あーー!あれかな!?シロウ!シロウーー!」

「!?ジェス?!ジェスなの?!」

 馬車から顔を出したシロウを見つけて、ジェスの尻尾は振り切れんばかりだったが

「ぁあん?浮気か?」

 横から顔を出して、不機嫌そうに呟き

「何言ってんの?俺がいつ浮気したのさ?」

「してねぇな。昨日も可愛いかったもんな?」

「やめて!」

 と、やり取りをしている獅子を見て、ジェスは尻尾から髭から腕から何まで全て垂れ下がってしまった。
 
「ううっ……そうだよなぁ、ほっとかれる訳ないもんなぁ……シロウ、結婚おめでと……」

 尻尾が足の間に入ってしまった。

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