19 / 69
19 変わってゆく
しおりを挟む
次の日からホルランド殿下はビシッとバシっ! と言い切って、俺への陰湿なイジメもどきは無くなって中々快適な学園生活を送らせて貰った。
でも、殿下が卒業しちゃった後、俺が三年生で14歳の時がまぁ酷かった。テンプレ再びなんだよ、もう!
「暇なのかな?」
まあまあ学園の方は対処はして行ったんだけど……どんどんおかしくなって行った。
「ホルランド様……?」
殿下と顔を合わせる日がどんどん減って行ったんだ。俺は王太子の婚約者だけど、この国での立場はほぼ無いに等しい。だから殿下の御威光に縋るしかないんだけど、どんどん余所余所しくなって来た。
学園の卒業パーティーは来てくれたし、色々お話もしてくれたし、一緒にいてくれた。
でもその後、この国では18歳にならないと婚礼は上げられないことになっていて、後3年は待つ必要があった。その間俺は今まで通り王城で暮らしながら勉強したり魔法を覚えたり、体内リュージュしたり……人から褒められることに精を出したりしてた教授達からも順調ですね、良い王太子妃になれますよ、と太鼓判を押されていたし、侍従やメイド達からも信頼されていた。それに殆ど顔を合わせなかったけれど、皇帝やお妃様からも苦情を貰うこともなかった。
「チッ!」
「……」
ホルランド様と目が合うと舌打ちされるようになってしまった。俺はホルランド様に嫌われるようなことをしたつもりはないのだけれど、きっと何か気に食わないことをしたんだろう。この後ろ盾のない国で人気取りをし過ぎたのもいけなかったのかもしれない。あのダメ神父にくっ付いた時、神聖力を使う方法を知ったから、人にヒールをかけてやることもできるようになった。今じゃ魔力と神聖力の切り替えもちょちょいのちょいだから、そういうところがムカついたのかもしれない。
ホルランド様は俺を無視して遠ざけ、令嬢達を侍らすようになった。綺麗な色とりどりのご令嬢達は高位から下位までいっぱいいて、選びたい放題だね、凄いね。まあある意味俺もそれを望んだんだから、俺の望み通りなのかもしれない。あの中から好きな人を選んで正妃にして、可愛い子供を産んで貰うと良いと思う。
勿論、王太子の婚約者を変更するべきだって声はどんどん大きくなって行った。ホルランド様はとても優秀な王太子だもんね、その血は次代に引き継がれるべきだ。
「……」
いてぇなんて気のせいだよ。6歳だった俺に眩しい位の笑顔で駆けよって来て、手を取ってくれた綺麗なホルランド殿下。殿下が幸せになる道はそっちだ。俺の道とは違う道。キラキラ輝いて美しいお嬢さんと可愛い子供に囲まれた仲睦まじい絵に描いたような素敵な皇帝一家。
「シャトルリアの道は違う道……俺みたいなクソ虫がとりついたおかげで変なことになっちゃっただけ」
ごめんな、シャトルリア。もっとちゃんとした道があったろうに。糸くずゴミクズ寄生虫君はここでバイバイだ。俺ももうすぐ18歳になる。18歳になったら結婚できちゃうからきっとその前に婚約破棄されるだろうな……それで良いと思う。12年もここに居て色々愛着も沸いた気がするけど、絶対気のせいだ。
「シャトルリア様……あの」
「殿下にもお考えがあるのでしょう」
俺に懐いてくれている侍女ちゃんや侍従君がが毎日心配そうに声をかけてくれるけど、きっとホルランド様の幸せはこっち方向になかっただけ。大丈夫、皆分かってるよ。
「慰謝料っていっぱいくれるかなぁ……」
俺の呟きはちょっとだけ大きかったみたいだ。近くに控えていた侍女ちゃん達が声を殺して泣き始めてしまった。泣かないで欲しいな、俺なら平気だよ?
「そんな……そんなお辛そうな顔で……言わないでくださいまし……!」
「あれ……おかしいなあ。ちゃんと表情を変えない練習もしたのに、私もまだまだだね……」
やっぱり俺じゃこの国の一番偉い人の隣に立って幸せにしてあげることなんてできないんだよ、きっと良かったんだ、それで。
上手く殺し切れずに一粒だけ流れた涙は床に落ちて弾けて消えて行った。ああ、俺ってばホルランド様のこと結構好きだったんだなぁ……ずっと一緒にいて、可愛いって笑いかけてくれて大事にしてくれて……特別扱いしてくれてたのも嬉しかったんだなぁ。
でも、それも全部何かの間違いだったんだ。そりゃそうだよね、誰が好き好んで男を婚約者に据えるもんか。シャトルリアの外見は確かに可愛いらしい。並の女性より可愛い、美しいっていろんな人が気を遣って言ってくれるけど、でも男なんだ。
そんなのを今まで置いておいた方が間違い、間違いは正さなくちゃならないよね。
でも、殿下が卒業しちゃった後、俺が三年生で14歳の時がまぁ酷かった。テンプレ再びなんだよ、もう!
「暇なのかな?」
まあまあ学園の方は対処はして行ったんだけど……どんどんおかしくなって行った。
「ホルランド様……?」
殿下と顔を合わせる日がどんどん減って行ったんだ。俺は王太子の婚約者だけど、この国での立場はほぼ無いに等しい。だから殿下の御威光に縋るしかないんだけど、どんどん余所余所しくなって来た。
学園の卒業パーティーは来てくれたし、色々お話もしてくれたし、一緒にいてくれた。
でもその後、この国では18歳にならないと婚礼は上げられないことになっていて、後3年は待つ必要があった。その間俺は今まで通り王城で暮らしながら勉強したり魔法を覚えたり、体内リュージュしたり……人から褒められることに精を出したりしてた教授達からも順調ですね、良い王太子妃になれますよ、と太鼓判を押されていたし、侍従やメイド達からも信頼されていた。それに殆ど顔を合わせなかったけれど、皇帝やお妃様からも苦情を貰うこともなかった。
「チッ!」
「……」
ホルランド様と目が合うと舌打ちされるようになってしまった。俺はホルランド様に嫌われるようなことをしたつもりはないのだけれど、きっと何か気に食わないことをしたんだろう。この後ろ盾のない国で人気取りをし過ぎたのもいけなかったのかもしれない。あのダメ神父にくっ付いた時、神聖力を使う方法を知ったから、人にヒールをかけてやることもできるようになった。今じゃ魔力と神聖力の切り替えもちょちょいのちょいだから、そういうところがムカついたのかもしれない。
ホルランド様は俺を無視して遠ざけ、令嬢達を侍らすようになった。綺麗な色とりどりのご令嬢達は高位から下位までいっぱいいて、選びたい放題だね、凄いね。まあある意味俺もそれを望んだんだから、俺の望み通りなのかもしれない。あの中から好きな人を選んで正妃にして、可愛い子供を産んで貰うと良いと思う。
勿論、王太子の婚約者を変更するべきだって声はどんどん大きくなって行った。ホルランド様はとても優秀な王太子だもんね、その血は次代に引き継がれるべきだ。
「……」
いてぇなんて気のせいだよ。6歳だった俺に眩しい位の笑顔で駆けよって来て、手を取ってくれた綺麗なホルランド殿下。殿下が幸せになる道はそっちだ。俺の道とは違う道。キラキラ輝いて美しいお嬢さんと可愛い子供に囲まれた仲睦まじい絵に描いたような素敵な皇帝一家。
「シャトルリアの道は違う道……俺みたいなクソ虫がとりついたおかげで変なことになっちゃっただけ」
ごめんな、シャトルリア。もっとちゃんとした道があったろうに。糸くずゴミクズ寄生虫君はここでバイバイだ。俺ももうすぐ18歳になる。18歳になったら結婚できちゃうからきっとその前に婚約破棄されるだろうな……それで良いと思う。12年もここに居て色々愛着も沸いた気がするけど、絶対気のせいだ。
「シャトルリア様……あの」
「殿下にもお考えがあるのでしょう」
俺に懐いてくれている侍女ちゃんや侍従君がが毎日心配そうに声をかけてくれるけど、きっとホルランド様の幸せはこっち方向になかっただけ。大丈夫、皆分かってるよ。
「慰謝料っていっぱいくれるかなぁ……」
俺の呟きはちょっとだけ大きかったみたいだ。近くに控えていた侍女ちゃん達が声を殺して泣き始めてしまった。泣かないで欲しいな、俺なら平気だよ?
「そんな……そんなお辛そうな顔で……言わないでくださいまし……!」
「あれ……おかしいなあ。ちゃんと表情を変えない練習もしたのに、私もまだまだだね……」
やっぱり俺じゃこの国の一番偉い人の隣に立って幸せにしてあげることなんてできないんだよ、きっと良かったんだ、それで。
上手く殺し切れずに一粒だけ流れた涙は床に落ちて弾けて消えて行った。ああ、俺ってばホルランド様のこと結構好きだったんだなぁ……ずっと一緒にいて、可愛いって笑いかけてくれて大事にしてくれて……特別扱いしてくれてたのも嬉しかったんだなぁ。
でも、それも全部何かの間違いだったんだ。そりゃそうだよね、誰が好き好んで男を婚約者に据えるもんか。シャトルリアの外見は確かに可愛いらしい。並の女性より可愛い、美しいっていろんな人が気を遣って言ってくれるけど、でも男なんだ。
そんなのを今まで置いておいた方が間違い、間違いは正さなくちゃならないよね。
156
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる